とりあえずの罠
打ち合わせをしていると「とりあえず」という言葉をよく投げかけられます。「とりあえず」は便利な言葉ではありますが、その先には罠がまっています。
○とりあえず作っておいて
○イベントまでにとりあえず作りたい
○会議があるからとりあえず資料頂戴
○わからないから、とりあえず何かたたき台を
○とりあえず、同じものを作ってください
制作者によく使う方は、その結果どちらになったか思い出してください。
いい方にいきましたか。それとも悪い方にいきましたか。
もし「悪い方向」にいった方は一読してください。
1.クリエイターに任せた「とりあえず」は大歓迎です!
一瞬ノープランに見えますが、いままでの仕事を評価してくださっての「とりあえず」は面白いことをやってくれるかもという期待と全面的な信頼の上で成り立ちます。手の平の上で自由にやらせてもらえるといった、ある意味力量を試されていると感じることができます。クリエイターの作風によっては覚悟が必要かもしれませんね。
その逆もあります。
デザイナーという肩書きのみだけで「とりあえず作って」という方がいらっしゃいます。その場合は、双方の「とりあえず」のニュアンスが違う場合はあるので、長期案件になるのではないかと危険信号が点滅します。勘はあたるので、早い段階でヒアリングをすることにしています。
2.予算と時間は有限ですか?
予算を使い切りたい!という方は、この先は読まなくても大丈夫です。
大体のクライアント様は、予算があります。
その中で生きたお金の使い方をしたい場合は「とりあえず」という言葉は使わない方がいいかもしれません。
なぜなら、「とりあえず」で作ったものがターゲット向けでないことがあるからです。案を出してから、内容そのものが変わる確立が高くなります。
見てから考えるのは、クリエイターを消耗させ、ゴールの日程までの余裕がなくなります。通常業務の傍ら、制作物のことを考えるのは大変だと思いますが、クリエイターとともに目的に向かって話をすることが、時間と予算の無駄がなくなり「いい結果」につながります。
「クリエイターを消耗させ」とクリエイターの視点で表現しましたが、もし検討違いなビジュアルが出てきた場合は、クリエイターの責任がある時もあります。その方の精一杯という場合は、残念ながら力量不足ということもあります。
他にも予算といったことがあります。最初の契約でここまでしかやらないから料金は固定といった内容だった場合は、残念ながら諦めるしかないですね。予算を値引き交渉をした場合、クリエイターは短時間で結果を出そうと思うので「とりあえず」と言うことは避けてください。最初からクリエイターの能力を引き出すためにある程度のビジョンを伝えることをオススメします。
番外編
「とりあえず」以外でも発注の仕方でいい方にいかないのは「これと同じもの」です。当然、著作権に違反していますし、どのニュアンスで伝えてくださっているのかわからないからです。「これ」のどこがいいのか具体的に伝えられない方もいらっしゃるので、クリエイターが経験をもとにしたヒアリングをしてくれると、最終的な仕上がりに影響するかもしれません。
一般論も入れて、書きましたが、クライアント様はご自身で出来ないから、新たな視点が欲しいからといってご依頼をしてくださるのは承知しております。弊社では、初回の打ち合わせは60分ということでお会いしても120分から180分くらいになることがあります。目的の一部で作って効果がすぐ出るといったことは、少なくなりました。そこで、ある程度の期間で戦略的に考え、いま必要なものを作ることにしています。