月曜日が待ち遠しい[相原 実貴]【1巻完結】おとなのためのマンガレビュー
自分の日常がなんだかくだらなく思えて、逃げ出したくなったときに。
現実的な人ほど、ラストはスカッとするはず。…たぶん?
タイトル:月曜日が待ち遠しい
著者:相原 実貴(あいはら みき)
出版:小学館 フラワーコミックス
既刊:1巻完結(2018年10月現在)
装丁:―
主人公のケンイチは引きこもり気味のオタク寄り男子。顔とスタイルそこそこ良し、有名難関大学に合格する程の学力あり。でも、その大学にも行かず、「(大学を)やめないでやってるだけ親孝行」とか言っちゃってる、甘ったれ。
「Xbox 360」を半額で買いたくて久しぶりに乗った満員電車で、ケンイチは美人会社員のチカンに遭います。そこで初めての快感を知ったケンイチは…という、なんすかね、ラッキースケベ展開な話。
8ページ目から始まるエロ要素は、ラスト44ページまでほぼ歩みを止めません。が、この満載のエロすら演出のひとつに過ぎないと思わせてくれる、ラストが素敵。
●読もうか迷っている人へ
思わずチカン(美人会社員)について行ったケンイチに、チカン本人が言い放つ、「は?何か御用でしょうか?」という一言。これになんかリアリティを感じたら、どうぞ一気読みしてください。反対に違和感を覚えた人は、ラストでより一層気分が悪くなる可能性があるので、やめておいた方が良いかもしれません。
●このマンガのここが好き♡
全体的に割と乾いた感じなんですが、登場人物一人ひとりにリアリティがあって見えないドラマを感じます。ケンイチの甘ったれ具合が、それを際立たせているといいますか。
久しぶりに読み返しても衰えない魅力。むしろ、前に読んだときよりも面白いと感じました。この後に続くそれぞれのドラマに、想像力が掻き立てられます。短く、シンプルだからこそ、良い話。
「うん。現実ってこういう感じかも」って腑に落ちます。世間一般から見て「ダメな恋愛」をしてきた人ほど、共感を持つというか、納得するかもしれません。
全44ページの短いストーリーなので、これ以上話したら本気でネタバレしてしまいそう。というわけで、この辺で自重。
●読むときは、ここに注意!
そこかしこにエロが散らばってます。まあ、ケンイチがエロのことしか考えてないわけですから、当たり前です。
なので、ラッシュの電車とか、おしゃれなカフェで読むのは、おすすめしません。周りの人が目のやり場に困っちゃいそう。
●こんな気分のときにどうぞ
別に凄く落ちてるわけでも、無性にイライラしてるってほどでもないのに、なんかモヤっとするとき。スカッとしたいときに。
でも、ハーレクインとか、王道少女マンガとか、スポーツマンガで爽やかにスカッとしたいときには、向きません。真逆です。
●おすすめしないケース
登場人物に感情移入しやすくて、涙もろいとき。エロが苦手な人。
●電子で読む場合
2018年10月現在、電子書籍でしか出ていない作品だと思います。電子書籍で読むことを考えたフォーマットで発行されていますので、読みやすいです。※横ヨミで検証
●このマンガが好きな人はきっとこれも好き
同じ著者の連載中の作品、『5時から9時まで[相原 実貴]』が好きな人には文句なくおすすめ。『さくらん[安野 モヨコ]』が好きな人も好きかもしれない。あと、リアリティある切迫感に満ちたドラマという意味では、『G戦場ヘヴンズドア 完全版[日本橋 ヨヲコ]』にも通じます。