かわいい かわいい 女の子[石田 拓実]【1巻完結】おとなのためのマンガレビュー
最近、90年代が気になる人に。
2014年発売のマンガなんですけどね。'90sの空気が満ちている。
タイトル:かわいい かわいい 女の子
著者:石田 拓実(いしだ たくみ)
出版:集英社 マーガレットコミックス
既刊:1巻完結(2018年8月現在)
装丁:カザマ ユキコ
不器用でかわいい女の子たちが、ぎっしり詰まった4話のオムニバス。
といっても、一般的な「かわいい」からは、ちょっとズレているかも。
例えば1話目の主人公は、先輩男子のために、隣で飲んでる女子をナンパしてくる「釣針」役の女の子だったりします。
●読もうか迷っている人へ
髪型や服が90年代テイストなので、それが好きかどうかで物語に入り込める度合が変わりそう。
作者と同年代の私にとっては全体を包む「懐かし甘酸っぱい感じ」が堪らないのですが、最近のゆるふわファッションを見慣れている人にとっては、違和感があるかもしれません。
『CUTiE(キューティ)』をはじめとする、かつての青文字系雑誌が好きな人にはおすすめです。と言っても、ファッションにフォーカスした話は入っていないので、あしからず。
●このマンガのここが好き♡
4話それぞれに「女の子のリアル」があります。
めっちゃアホなことをしている女友達を見て「かわいいなー」と思うとき。えげつない恋愛話を聞いて「あんたそれは…」とツッコミつつも、その潔さに惚れ直すあの感じ。
その子の彼はきっとあんまり知らない、友達だから知ることができる、あの一瞬のかわいさが描かれています。作者の女の子愛が溢れ出てきてます。
2話目の主人公の希和は、「恋に浮かれるかわいい女の子」の仲間入りをしたくて、同じ大学の「遊んでいてハードルが低そう」な青野に告白。念願の初彼氏ができます。10代女子の好奇心と、理性で自分を制御できるという未熟さゆえの強がりと、人の体の温かさがリアルに伝わってくるお話。
4話目の主人公の松子は29歳。結婚を考えていた彼氏と別れた直後に、あろうことか17歳男子の新太と…。もうその設定だけで最後まで読ませてくれます。
いわゆるオチがあるわけじゃないけど、テンポの良さとふたりの関係に、読んでいるこちらが幸せな気持ちに。読後感良し。
●読むときは、ここに注意!
連載中の『カカフカカ[石田 拓実]』より、クセがあるかもしれません。そこで好みは分かれると思いますが、『かわいい かわいい 女の子[石田 拓実]』にハマったら、もう石田 拓実ワールドにどっぷり浸かることになるでしょう。
●こんな気分のときにどうぞ
自己肯定感が低くなってきたときに。自分の意思とは別の近道を選ぶ? 生きていくには小賢しくならないとダメ? と自問自答し始めたときに。自分の不器用さに不安になったときに。女の子の生々しいかわいさを実感したいときに。
●おすすめしないケース
「女性とはこうあるべきもの」というイメージが強固な人は、あまり楽しめないかもしれません。
●電子で読む場合
表紙以外の見開きがないので、電子書籍でも読みやすいです。※横ヨミで検証
●このマンガが好きな人はきっとこれも好き
90年代のリアルという点で、『さよならみどりちゃん[南 Q太]』が好きな人は、好きかもしれない。あんなに切なさいっぱいではないので、もう少しリラックスして読めます。女の子の生々しいかわいさは、『地獄のガールフレンド[鳥飼 茜]』にも通じます。
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