『へうげもの』1巻を読んでみました
この漫画を読んだら、いつのまにか日本史の勉強になっていました。
歴史ものが苦手です。NHK大河ドラマや、映画の時代劇ものも、難しそうで中々見ようと思いません。妻も同じく歴史ものは苦手なので、家でそういう作品を観ることはないです。
ちょんまげとか、刀とか、ござるとか、そうろうとか、現代とのギャップに頭がついていかないのです。妻は西洋のドレスとか出てくる作品は好きなようです。
『へうげもの』は、歴史ものの中でもかなり異色の作品なのではないでしょうか。信長とか秀吉とか登場人物は出てくるものの、ピックアップされるのは茶器や着物や建造物といった「芸術品」です。
主人公の古田佐助は、武人でありながらレアな骨董品や美術品を欲しがる物欲にまみれた人物で、まわりからも数奇物(すきもの)と呼ばれています。
佐助は信長に仕えており、欲しいモノは国を超えてでも手に入れようとする信長のスケールの大きさを尊敬して慕っています。
そして信長も、モノの価値が分かり、いいモノを見せると本当に欲しそうにする佐助のことを気に入っており、そのことで秀吉からも一目置かれます。
1巻では明智光秀も登場し、歴史に疎い私でも知っている「本能寺の変」を示唆するような動きがありながら1巻は終わります。
作品の時代背景は、戦国時代から江戸時代にかけて。日本の1500~1600年代が描かれています。古田佐助も実在した史上の人物です。
読み始めたばかりでは、知らない武将の名前や、城の名前がどんどん出てきて、「うう。。」となっていましたが、読み進めていくと有名な史実上の出来事や、それに関わる人物の感情描写がドラマチックに描かれており、主人公の異常性も笑えます。
時代の雰囲気もだんだん分かってきて、人物名などはもちろんのこと、当時の文化や価値観を学べる作品にもなっています。
1巻では、こんな勉強ができました。(以下、内容のネタバレを含みます)
①織田信長と安土城
佐助は、築城したばかりの安土城に招かれます。安土城は、外装に金細工、内装には南蛮文化の贅沢品が豪華絢爛に取り入れられた仕上がりで、天下統一を果たした織田信長の風格を象徴するような城となっていました。
ここで信長が佐助に語ったのは、「この城から見える夜景を唐 天竺でも見たい」という、中国(明)に攻め入って制圧するという次なる野望でした。
安土桃山時代(1568年~1600年)は織田信長と豊臣秀吉が実権をにぎった時代を指します。その時代の名前にもなっている「安土城」は織田信長が築城した城でした。漫画の中では、信長の部屋に地球儀や南蛮漆器といった外国文化を感じる物が置いてあります。信長と南蛮文化には深い関係があるようです。
ポルトガルやスペインを相手に行った貿易のことを南蛮貿易といい、信長はこの貿易を重要視していました。なぜかというと、この貿易により鉄砲の火薬を輸入していたからです。信長は鉄砲を使う戦術に長けており、天下統一において最大のライバルであった武田軍との戦い(長篠の戦い)でも、鉄砲を1000丁以上用意して勝利しました。
信長は南蛮貿易を積極的におこなうために、キリスト教を保護したともいわれています。貿易の相手であるポルトガルやスペインはキリスト教の国でした。日本との貿易にはキリスト教の布教活動の意味もあったのです。
新しい武器や新しい文化を柔軟に取り入れていく姿勢も、織田信長のすごさだったのではないでしょうか。
②千利休と茶室
千利休(作中ではまだ千宗易という名前)は、漫画内でかなりキーマンとして描かれいています。1巻では信長の船に意見して、そのセンスを認められたり。秀吉に信長を討つことを進言したり、と。史実とどこまで一致しているかは分かりませんが作品をドラマチックにする重要な要素になっています。主人公の古田佐助も自分の弱みを利休に握られながらも、利休が出した条件が可笑しく弟子入りを申し込むのでした。
織田信長は茶の湯に異常に興味を持っていたようで、千利休を茶の指南役としていました。
利休は信長亡き後、秀吉の側近としても活躍した人物です。日本の古来からの美意識である「わび」を好み、利休が設計した茶室や茶道具もつつましく質素なものでした。豪華に飾り立てたものより、シンプルなものにこそ美や趣きがあるという美意識は革新的であり、現代にも通じている価値観と思います。
無印良品とかこの美意識の現代版のような気がします。私の家でも多く導入されています。
いままでの最長くらい書いたかもしれません。へうげものを読んで、戦国時代の歴史に興味がでてきた自分がいます。果たして娘は読むかな。。
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