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じゃりン子チエの地元にお邪魔した話。
下町人情劇といえば「じゃりン子チエ」。
「まんだら屋の良太」と並び、いや、キャッチーさを評価に入れると、より好きな、人々の街での営みを描写した、大好きな漫画。
もはや、大阪出身の会社の20代の子たちに聞いても「なんですか?それ。」と言われることが増えてきて残念です。みんなぜひ見て欲しい。
高畑勲監督の劇場版が最高です。とっつきやすいし、豪華声優陣の空気感もたまらない。
大阪のドヤ とか、労働者の暴動 というキーワードで知った街が、じゃりン子チエの舞台だったのを知ったのは、比較的最近。
作者、はるき悦巳さんの見事な筆致で描かれたリアルな街の描写に、そういえばこの街にはモデルがあるのだろうか、と、「西萩」というキーワードでググってみたのがきっかけでした。
ググった先のくだりは「じゃりン子チエの街」とかで調べると詳しい情報がゴロゴロありますので端折りますが、西成区は釜ヶ崎・萩之茶屋駅周辺に、チエちゃんたちは住んでいたようです。
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2019年下半期に大阪のクライアント仕事がしばし続き、月に数度の出張をしていたのですが、これがなかなかシビアに繁忙な仕事で、出張の折に散々飲むということも叶わず。弾丸日帰りか、泊まりで深夜までホテルで仕事という残念な出張が続いていました。
味園、天満、色々遊びたかったなあ。。
で、最後の出張がこれまたなかなか大変で、前日夕方に打ち合わせ。資料と納品物を徹夜で用意し、翌朝ふらっふらでクライアント先へ、という強行軍で、無事に納品。しばし大阪に来ることもなし、と。
仕事から解放され、徹夜でクタクタ、歩くのもしんどい状態で、新幹線に乗るべく新大阪へ向かおうとしたのですが。
散々大阪通いしてたのに、頑張って仕事終わらせた思い出だけ残ることに一抹の寂しさと悔しさを感じ、思わず反対方向の電車に乗ったのでした。
南海高野線、新今宮駅のホームは人が多く賑わってたのですが、その中でも微妙に静かで人が少ない各駅停車のホームへ。ほどなくして萩之茶屋駅に。
駅のホームからは冒頭のちょっと薄暗いアーケードが見えました。
チエちゃんっていうか、労働者の街。日本のスラム。日本で唯一暴動が起こる街。
2019年の釜ヶ崎の街は、超ブルースで、チエちゃんの感慨とはまた別の痛烈なインパクトでした。
(小心者なもんで、写真は少ないです。)
柱のところに座ってるじーちゃん。
横にはばーちゃんも座っていて、でっかい風呂敷を二人掛かりで運んでいて、休憩してるところだった模様。
汗だく、二人で風呂敷を持ち上げて、「次はあそこの曲がり角で休憩するで」と言いながらゆっくりゆっくり道を渡っていきました。(「次の曲がり角」はすぐ奥の電柱だったようで、3メートルばかり歩いてまた休憩してました。)夫婦なのか、相方なのか。もう、二人の過ごしてきた時間と今に、勝手に思いを馳せてしまう。ブルース。
振り返ると、ああ、チエちゃんの地元、西萩の駅舎だ!
奥には、テツとヨシ江はんがデートした喫茶店がある、のかな。
シャッターと木賃宿、ちょっと飲み屋の商店街。
ダウナーなおっさんたちが、下向いたままフラフラ歩いているのと、なんか、自転車が交差点だろうとアーケードだろうとブレーキレスでガンガン走っている中、普通に学校帰りの子供も歩いている。
あれはマサルかタカシか。
これが西成の真ん中の、あの公園かー!と思ったけど、これは四角公園、ちょっと小さいやつ。三角公園にはたどり着けずタイムアウトしてしまった。
公園の中はブルーシートの家でパンパン。柵の外はブルーシートの泥棒市がずらり。おっさんたちがぞろぞろ立ち話。じゃりン子チエの登場人物とは打って変わって、ダウナーで無職感あるおっさんたち。
昔はキックボクサーで屋台のカルメラ屋になってたとか、カタギになってお好み屋をやってたとか、そういう感じではなかったけど、おっさんたち昔はブイブイいわしてたんだろうか。歴史を勝手に思い浮かべ、もう、超ブルージー。
超ブルージー、リアルなブルーズマンなおっさんたちが、ダウナーながらも静かに変な活気を出していて、謎に前向きなバイブスを勝手に感じてしまった。
ひときわ人が集まっていたのはだいたい飲み屋。
飲み屋はだいたいホルモン。そういえばホルモン食べれないっけ、と、自身の偏食を少々残念に思いつつ、そもそも一人でこの辺の店に入れる自信もなく、サンガリアの自販機で50円の缶コーヒーを飲みつつ一服。
チエちゃんのホルモン屋も多分この辺の路地にあったんじゃないだろうか。
漫画の舞台散歩と、自分にとっての非日常の景色、寝不足と緊張でとても不思議な気分。
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寝不足、限界、そろそろ離脱、と歩いていたら飛田新地に迷い込み、どこから集めてきたんだっていうほど可愛いねーちゃんたちに手を振られ、おばちゃんに声かけられ、やや早足で天王寺を目指しつつきっちり新地をぐるっと散歩したのですが、釜ヶ崎のそれとはだいぶ調子が違う感慨なので、今日は割愛。
今度はもうちょっと睡眠とって、もう一回。俺はホルモンは食べれないけど、2級酒 2杯くらいならなんとかなるべ。
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じゃりン子チエの人情にも、西成のリアルブルーズにもまだまだ遠いですが、MANGADORONのこのアルバム、ちびくれた酒には割とぴったりですので、よかったら、ぜひ。