IoT住宅で繋がる未来【後編】
前編では最新鋭のIoT プラットフォーム『HomeX』についてご紹介した。
部屋でゴロゴロしながら、タッチパネル一つで風呂も沸かせるし、シャッターも開け閉めできる。
自炊が面倒な時でも、好みに合った料理を提案してくれて、食材の配送注文から料理機器の設定までしてくれる。
この時点で、筆者のようなズボラな人間でも真っ当な生活が送れそうな、充実したサービスだと感じるが……。
パナソニック ホームズの商品開発企画部・鎌田剣さんによると、IoT機器を活用するだけではなく、もっと広い展開を考えているという。
HomeXは、そしてIoT住宅は、今後どのような暮らしをもたらしてくれるのか!?
■世界を繋げる、未来のIoT住宅
HomeXがこれからの構想として考えているのが、様々なサービスとの連携だ。
たとえば、体調が悪くなったとしよう。
病院に行くには移動の手間があるし、待合室では長い時間待たされる。
昨今の情勢をふまえると、感染リスクの不安もあるかも知れない。
だがIoT住宅と病院が連携すれば、医療の在り方も変わる。
家の中にバイタルセンサーを設置して、体調の悪い者や高熱の者がいれば即座に感知。
外部の医者に連絡がいき、オンライン診断を受けられるようにする……。
家にいるだけで体調不良にすぐ気付いてもらえて、診断までスピーディに受けられるのだ!
他にも、栄養士と連携すれば、適切な栄養のレシピの提案から、食材の配送、調理機器の設定まで自動で行えるはずだ。
子供の見守りサービスと連携して、家の中にいる小さな子供をカメラ等で見守ってもらい、異常があればすぐ対応してもらうことも可能だろう。
「家の中だけでなく、家の外も含めて、暮らし全体を良くしていくのが目標です」
と鎌田さんは語る。
家電・設備を活用することだけが、IoT住宅ではない。
世界中のサービスと繋がり、暮らし全体を向上させることが可能なのだ……!!
■三世代リモート同居時代に!?
さらに想像を広げてみよう。
IoT住宅なら、他のIoT住宅とインターネットを通じて繋がることも可能なはずだ。
少子高齢化のこの時代、年老いた両親との同居を検討する者も多いだろう。
だが同じ家で暮らすと、
『プライベートの時間が確保できない』『常に気を遣わないといけない』
などの問題が持ち上がる。
そんな問題も、未来のIoT住宅なら解決できる可能性がある。
祖父母世代・親世代・孫世代の家にそれぞれIoT設備を導入すれば、別々の家に住んでいても、ディスプレイ越しにいつでも連絡が取り合える。
食事の際には、VR機器などにより一つの部屋に疑似的に集まって、家族団らんの時間を楽しめる。
バイタルセンサーにより、離れた場所に住む家族の体調不良にもすぐ気付けるから、年老いた祖父母がいても心配はない。
別々の家に住みながらも、家族の時間を共有して、支え合うことができるのだ……!
■受け継がれていく暮らしの記憶
ここで、筆者の脳裏に一つの疑問が沸いた。
引っ越しや子供の独り立ちにより、今住んでいるIoT住宅を離れる場合はどうなるのだろうか。
データが蓄積されて自分に最適化されたAIを捨てるのは、住人にとって大きな損失になりそうだが……。
「その場合は次の家でも、蓄積された暮らしのデータを引き継げるようにしていきたい」
と鎌田さんは語る。
つまり別の家に移っても、蓄積された暮らしのデータを引き継いでいけるのが、未来のIoT住宅というわけだ。
親世代が住んでいるIoT住宅で学習したデータを、独り立ちした子供世代の住宅が引き継ぐ。
その後も孫世代、ひ孫世代の住宅にも、それまでの暮らしぶりのデータが受け継がれていく。
そんな風に、現在の住人だけではなく、子孫にまで家族のように寄り添っていく。
それこそが、未来のIoT住宅なのかもしれない……。
漫画構成=こうや豆腐(@toufu_0141)、神代徒華(@rakugaki_toka)
取材・文=茶谷葉(@tyatani_you)
編集=伊勢村幸樹
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