【SkyDrive】空飛ぶクルマが目指す未来~100年に一度のモビリティ革命実現に向けて~【後編】
前編では、株式会社SkyDriveが開発している『空飛ぶクルマ』の特長や開発の歴史について説明した。
とはいえ、まだ夢物語の感覚があるかもしれない。
だがその夢の実現は意外に近い。すでに行政まで動き出している。
大阪府の吉村洋文知事が2020年の11月に、「空の移動革命社会実装大阪ラウンドテーブル」を設立した。2025年開催の「大阪・関西万博」で『空飛ぶクルマ』を飛ばす計画だ。もちろんこの計画には、SkyDriveも参画している。
『空飛ぶクルマ』はいつ、どのように我々の生活を変えていくのか?
後編ではSkyDrive代表の福澤知浩さんのビジョンを示したい。
■2023年度に早くも実用化へ
『空飛ぶクルマ』の話を聞いても、それを身近に感じられる人は多くないかもしれない。「それってドラえもんの世界の話じゃないの?」と。
しかし、SkyDriveは2023年度にサービスを実現しようとしている。なんと2020年からたった3年で、『空飛ぶクルマ』に乗れる時代が来ると言うのだ。
ただ、これは現在の自家用車のように一般人が自分の所有物として購入するものではない。今のバスのようなサービスを想定して欲しい。
SkyDriveは2023年度に、大阪駅とUSJ(舞洲)を10分程度で行き来できるサービスを立ち上げる予定だ。
それにしても、あと数年でそんな世界が実現できるとは驚きである。
SkyDriveの『空飛ぶクルマ』は、モーターを電池で回して飛ぶというシンプルな造りになっている。近年の急速な技術発展により、高性能なセンサーや電子機器が低価格で入手できるようになってきたことは追い風だ。
とはいえ安全性の課題があるし、公的機関から認可を得られるのかという問題もある。しかし、SkyDriveは2023年度に『空飛ぶクルマ』を実用化するためのスケジュールを立て、そこに向かって着実に進んでいるのだ。
■空飛ぶクルマで私たちの生活はどう変わる?
2020年代後半に『空飛ぶクルマ』はさらなる進化を遂げる。
このころには自動運転のシステムが完成する予定である。実際のところ、『空飛ぶクルマ』を運転することは、普通の車を運転するよりはるかに難しい。だから、一般人が個人所有するためには、自動運転の技術が必須となるのだ。
自動運転なら目的地を指定することで経路も自動的に決定されるし、安全性の問題も大幅にクリアできる。
こんな世界が実現すると、気軽に行ける場所が圧倒的に増えるだろう。
今の都内の平均的な車の速度は30km程度と言われている。信号や渋滞があるので、どうしてもこの程度になってしまう。電車は満員電車だし、スマホを眺めるくらいしか車内でできることはない。
しかし『空飛ぶクルマ』だと、武蔵小杉や三鷹などから、都心へ10分くらいで出られてしまう。しかも車内はパーソナル空間なので、映画を見ても良いし、仕事をしても良い。
そしてレジャーの可能性も広がる。例えば富士山の頂上に『空飛ぶクルマ』で簡単に行けるようになるのだ。
もちろん、全てが『空飛ぶクルマ』に置き換わるわけではないだろう。『空飛ぶクルマ』はバッテリーで動くので、それほど遠くまでは行けない。だから、ある程度の距離以上になると、既存の飛行機や車の方が使いやすいこともある。
それでも、『空飛ぶクルマ』が中距離においてタクシー的な使い方をされることで、「100年に一度のモビリティ革命」が起こることは確実だ。
■空飛ぶクルマのさらにその先へ
さあ、これで2030~2050年くらいの世界はイメージがつくだろう。これからさらに100年後の世界はどうなっているだろうか?福澤氏がそのビジョンを語ってくれた。
100年後の『空飛ぶクルマ』は、なんと「宇宙」に飛び出している可能性がある、というのだ。
宇宙船の代わりとして、『空飛ぶクルマ』が『宇宙<そら>飛ぶクルマ』に進化するわけである。
100年後は月や火星も開拓されていることだろう。だから、そこまで旅行にいっても良いし、研究に行っても良い。自家用車で山や海に遊びに行くように、気軽に月や火星に遊びに行けるようになっているかもしれない。
人間の進化はモビリティの進化とひもづいている。車が発明されて、飛行機が発明されて、人間の行動範囲は着実に広がり、それに伴い人々の発想やクリエイティブが広がっていった。
人が『空飛ぶクルマ』で宇宙に飛び出した時、人間の世界観はどう変わっているのだろうか?そんなことを想像するのは楽しい。
そして、今の段階でそんな未来を頭に描ける福澤さんの想像力に驚いた。さすが、『空飛ぶクルマ』を実現させる人だと感じた。
実際に『空飛ぶクルマ』は世界をどう変えていくのだろうか?
これからも、SkyDriveの挑戦から目が離せない。
漫画=木野花ヒランコ(Twitter)
取材・文=蔵本貴文(Twitter/Facebook)
編集=中嶋駿(Facebook)
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