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【荒船山登山】〜クレヨンしんちゃんの作者を偲んで〜

荒船山

荒船山は、群馬県甘楽郡下仁田町と長野県佐久市に跨る標高1,423mの山です。
2009年に『クレヨンしんちゃん』の作者臼井儀人先生が滑落事故で亡くなられたり、その後にも何件も事故が続いていて、危険と言われている山です。
ただし実際に登ってみると、名前や外観とは裏腹に、子供でも登れる優しいハイキングルートだと思いました。実際にリード付きの犬と一緒に登頂されている方もおられました。
また『南総里見八犬伝』の舞台の一つになったり、他にもいくつもの伝承に出てくる山です。





荒船山登山

2022年8月7日(土)

天気予報では朝には雨が止む予報でしたが、少なくとも午前中いっぱいは雨が降っていました。今回がはじめての本降りの雨中の登山となりました。しかし、山の中だと生い茂っている木に遮られて、あまり濡れないものですね。カッパを持っていなかったのですが、それでもカッパを着る必要がないくらいでした。幅の広い帽子を被っていたというのも良かったです。



駐車場は20〜25台くらいは停められそうな広さがありました。
和式の仮設トイレが2つありました。
駐車場は朝8時前の段階で、5〜6台の車がありました。タクシーで来られた方もいました。


困ったことに、この駐車場は圏外でした。事前にGPS地図アプリ「YAMAP」の地図をダウンロードしていなかったので、少々困りました。しかし尾根に出れば電波も改善されるだろうと思い、入山しました。結果的には読み通り、山中で電波が良くなったので、YAMAP地図をダウンロードできました。今回は良かったけれど、猛省しないといけないですね。地図は家を出発前にダウンロードしていかなくては。



今回のルートは、内山峠登山口(駐車場)から、荒船山(行塚山)へ行き、そのまま来た道を戻るピストン登山です。
ちょっと物足りない気もしたのですが、足を伸ばしても、周回コースにはならず結局はピストン登山になってしまいそうなので、上述コースをゆくことにしました。


7:45 出発(内山峠登山口)


雨の登山は普段なら嬉しくないのですが、ここ最近は猛暑に悩まされていたので、涼しくて良かったです。かえって快適なくらいでした。



少し急な箇所もありましたが、それでも難易度は思ったよりも優しかったです。



最初の休憩スポット。石の上にザックを置いて、水分補給。
次からはザックのショルダーハーネス(肩にかける部分)にボトルホルダーを取り付けて、行動中にも水分補給できるように改善したいと思います。





「一杯水」と呼ばれる滝を流れる水。古来からここで水分補給したという看板があったけど、橋からは滝まで手が届かず。滝の岩場を歩かないと水を得ることができないので、危険と判断して水は飲みませんでした。



「ハイキングコース」の看板。確かに登山というよりハイキングと呼んだ方が良さそうなコースでした。世間で思われているイメージとは違っているなと思いました。




「キケン、のぞくな」の張り紙。霧の先は断崖絶壁です。
柵やロープはありませんが、登山道から少し離れているため、故意に近付かない限り落下の危険はありません。



太い枝が敷かれていて、ここから先はキケンと知らせています。

まさか子供でも歩けるハイキングルートが断崖絶壁の上にあるなんて、事故のニュースがなかったら自分も気付けなかったと思います。




崖にはロープは張られていませんが、貴重な植物が生えている箇所は植生保護のためにロープが張られています。登山道整備をされている方の哲学を感じさせます。




9:15 艫岩(ともいわ)展望台


滑落事故が多発している現場です。展望台を示す看板は特にありませんでした。
「死亡事故注意」の看板が近くにあったため、身構えることができますが、崖から木が生えていて落差を感じづらいため、言われなかったらそんなに危険とは思えない場所に見えました。
特にこの日は霧に包まれていて崖下が見えないので、たとえ落ちても途中どこかで引っかかるだろうくらいに思えてしまうかもしれません。




横を見ると断崖絶壁が見えました。おそらくこの艫岩展望台の下も同じくらいかそれ以上に切り立った崖になっているのでしょう。




一部インターネットではクレヨンしんちゃんの作者は自死ではないかと噂されていますが、現場に立ってみると、その可能性は低いように感じました。

まずこの荒船山は人気な山で、登山者もそれなりにいます。それにこの山は外から見れば断崖絶壁ですが、実際には子供でも登れそうなハイキングコースです。普通なら落ちはしませんが、写真撮影に気を取られていたら、落ちる可能性は十分に考えられます。
しかも漫画家さんであれば、ロケハンと言って、漫画の舞台に出かけて資料用の写真を撮ることはよくあることです。さらに崖下の写真はネット上にもあまりないので、その写真を撮ろうとして足をとられたのが、真相なんじゃないかと、現場を見てそう感じました。

崖の直前はやや下がっていて、一度足を取られたら、そのまま転落するような崖でした。




艫岩展望台のすぐそばに建っていた休憩小屋。
半分廃屋になっていました。




立派な東家スペースがあるので、勿体無い気がします。




トイレの入口は塞がれていて、閉鎖中でした。




今度は、山頂を目指します。




平らで真っ直ぐで、やはり歩きやすい道です。




荒船山神社の小さな祠がありました。
登山の安全を祈願してゆきます。





10:00 荒船山(経塚山)登頂

標高1,423m。
不思議なのは、YAMAPの地図ではここは荒船山の山頂ではありませんでした。いつの間にか通り過ぎていたのです。
しかし、現実には「荒船山」の看板があります。

ハーネスリードを付けたを連れた方も登頂されていたので驚きました。ハイキングコースとはいえ、手を使わないと登れないような箇所が少しあったからです。





荒船山の山頂からの眺めです。
眺望が良くなかったため、すぐに下山しました。




下山途中の道中。
YAMAPによるとこの辺りが、本当の荒船山の山頂です。何の目印もありませんし、ただの道中です。
???となりました。





クリンソウ群生地。
行きには立ち寄らなかったので、見ることにしました。
ここでも植生保護のためロープが張られていました。


植物には詳しくないのですが、この水辺に生えている葉っぱの大きい植物がクリンソウなのでしょうか?





次も行きには立ち寄らなかった石碑です。行ってみることにしました。





背の高い石棒が立っていました。





下山中、深い霧が立ち込めてきます。この時は歩くのに支障がない程度でしたが、もしさらに深い霧が断崖絶壁のそばを歩いている時に立ち込めてきたら、それはかなり危険な事態に陥ることでしょう。





道迷いポイント。
最初はまっすぐ進んでしまって、見覚えがないことに気付いて、すぐに元のコースに戻りました。危なかったです。

よく見るとちゃんと太い枝を数本敷いて、このコースは違うというサインが作られていました。




ハシゴや鎖場。こんな所も犬が歩けると思うと、感心します。




無事に登山口まで下山できました。


12:20 下山(内山峠登山口)




下山時の駐車場のようす。
この日は土曜日でしたが、雨だということを考えれば、車が多いですね。やはり人気な山なんだと思います。
さらに帰りの車の移動中にも、荒船山に向かう車を3〜4台見かけました。





まとめ

真夏の登山でしたが、天気が悪かったために、暑さはあまり感じませんでした。気温はちょうど良いくらいでした。真夏時には、あえて曇りや小雨の日に登山をするのもアリかもしれません。ただそのかわり眺望はよくはありませんが、霧に包まれた景色もそれはそれで山の一つの顔なので、味わえて良かったです。

荒船山は普通に登山する上では、特に危険はないと思います。ただやはり展望台付近の断崖絶壁には注意が必要です。強い風が吹くような場所ではないと思いますが、写真撮影に気を取られていたり、油断をしていると、ちょっとした拍子に滑落事故に遭うリスクはあると思います。なので登山に行かれる方は、くれぐれも安全にご注意を!



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