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ライフエナジーにかわるもの (下)【妄想:仮面ライダーKIVA】
こちらのSSは2009年01月25日に某mixiに投稿したものです。
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できれば「ライフエナジーにかわるもの (上)」からお読みください。
https://note.com/manet26/n/n4c41f718a522
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キャッスルドランが奥多摩の「人間工学研究所」(今は嶋財閥とにいさんの率いるFCグループの共同出資になっている)に到着したのはそれから10分もしないうちのこと。
「にいさん!」
「ああ、紅渡様。お待ちしておりました。どうぞこちらへ。」
「あ、どうもお世話になります。兄は?」
「こちらです。太牙社長自らが今回の最終被験体になることをご希望されまして、いま実験棟に」
「え?にいさんが、自分で?」
「はい。ご自身で、自分は現存する最強のファンガイアだから、被験体にふさわしいでしょう?とおっしゃられまして」
「また、無茶なことを・・・。大丈夫なんですか、にいさん」
「お電話でお声を聞かれたと思いますが、大変お元気ですよ」
「そう、そうですよね。よかった」
実験棟に入った。
なんだか暖房が効いている。冬だというのにずいぶんと暖かいというかちょっと暑いぐらい。それに少し蒸し暑い。汗が出てきた。
「こちらです」
「ここ、温室?」
「はい。もともと熱帯植物の試験栽培棟だったものを改造しました」
「ずいぶん暖かくしてるんですね」
「ええ、最終被験体の方々が最も効率良く適応実験が出来るように亜熱帯の環境を整えているんです。もちろん理論的には冷帯から熱帯までのさまざまな環境での適応が可能なはずですが」
「渡!来たのか?」
太牙にいさんの声だ。
「うん、来たよ。にいさん・・・どこにいるの?」
「ああ、大窓際のエリアだ。すまないが今のところ動けないんでこっちまで来てくれるか。渡」
動けないって・・・
「にいさんはまだ何か機械につながれている状態なんでしょうか?」
「いえ、そういうわけではありませんが、いまはまだ。完全にからだが順応してエネルギーを十分蓄えられるようになれば移動も可能です」
「渡!よく来たね!」
「・・・にいさん?」
目の前にヘンな植物があった。
「どうした、渡。すばらしいだろう。これが未来のファンガイアの姿だ!」
「にいさん・・・」
「皮膚細胞中のミトコンドリアと植物細胞のクロロプラストの働きを組み合わせることで光合成が可能なあたらしいファンガイア、それが私達だ。十分な日光と土壌から吸収する栄養分。そして空気中の二酸化炭素からエネルギーを合成。さらに酸素を排出することが出来る。考えても見ろ・・・人類が二酸化炭素の排出量をどんなに減らそうとしてもそれには限界がある。そこを補うことがわれわれには可能なんだ」
「す、すごいね・・・にいさん」
「ああ、もともとファンガイア同士の能力を移植する研究を行っていたこの研究所で、植物に近い能力や体質を持つファンガイアも多かったことに着目して植物とファンガイアのハイブリット化の研究を続けてみたんだが、意外なほどうまくいったよ。しかも組み合わせる植物の持つ形質がファンガイア自身にも遺伝するんだ。だから僕は・・・」
「クローバーだね」
「ああ、極めて生命力旺盛で環境への適応度も高く、さらに平和や幸運の象徴でもある」
「なるほど・・・」
「それからね、渡。この実験には他にも何人かメンバーに参加してもらっているんだ。彼女はもう歩ける」
「おひさしぶりです、渡さん。」
その声は!
「み、深央さん?」
「はい。」
「も、もみじ??」
「ええ、紅葉。まだ、体力的な不安があるし、季節も違うので秋になって紅葉するかどうかはわからないんですけど。それにね、じつはわたしにはサトウカエデも組み合わせているんです。今度、甘いの飲ませてあげますね、ふふ」
「のま・・・、あ、あの、うん。ま、またこんど」
「よう、あいかわらずオクテだな、ぼうや」
「じ、次狼さん!?」
「ああ、どうやらファンガイアだけではなくさまざまな絶滅に瀕した種族にとっても有効な実験だというんでな・・・参加してみた。なかなか快適だ」
「薔薇だ」
「ああ、しかも青い・・・この女の趣味らしいんだが」
「うふ。だってとっても美青年なんですもの、次狼さんてば。しかもあの三人で洋館に暮らしているなんて! ねえ、美青年には薔薇よね、渡さん」
・・・この女、意外と腐ってやがった(驚
「あの、飲んでらっしゃるのはコーヒーじゃないんですね」
「うむ、マスターには悪いが、だいぶ嗜好が変わるらしくてな、ローズヒップティーを飲むようになった。これを飲むと花が咲くので、それも理由なんだが」
「はあ・・・」
「あと、奴もいるぞ」
「・・・やつ?」
「人間にしては強靭な体力だ。音也ほどではないが」
「来たね!渡君!」
「な、名護さん!!!」
「紫蘇は体にいいぞ。食べなさい!香りもいいし、殺菌作用もある。そして繁殖力も高い!」
「あ、ありがとうございます」
なんか、頭がくらくらしてきた。そうか、この人たちが興奮すると沢山酸素を吐くのかもしれない。ここ、酸素が高濃度に?
「それで、渡」
「な、なに、なにかな、にいさん」
「お前はどんな植物がいい?」
「え?」
「ラモンは常に水中にいられるから緑藻類がいいと言っていた。リキは貫禄が付くから苔だそうだ」
「ええ?」
「わたし、渡さんが紅い薔薇を咲かせるのが見たいな」
「だね、深央。やっぱりそれがふさわしいよ、渡」
「うむ、それがいい、そうしなさい渡君」
「俺とペアだな、まあ、良かろう」
じりじりと兄さん以外の3人が近づいてくる。
「う、うわ、うわわ。や、やめてください。僕は、僕は~っ!」
二人に手足を取られ、深央さんが馬乗りになってきた、もうダメかもしれない。
「わああっ!」
がばっ!
「うわ!びっくりっ!」
がご、どた。
「なによー、大声出してー。起こしに来てあげたのにー」
「・・・人の上に馬乗りになって起こすのはやめてよ、静香。おかげですごく夢見が悪い」
「えーだって寝顔がかわいいんだもん、渡」
「・・・言ってろよ」
「あ、電話。かかってたよ、さっき」
「え?」
「ハイ、着信はー・・・あ、太牙さんだ」
「勝手に見ないでよ・・・え?」
(楽曲『Break the Chain』 盛り上がって)
++
おしまいw