優秀なキャプテンの共通点
部活などでキャプテンやそれに近しい存在になろうと考えている人、既になっている人であれば、キャプテンや副キャプテンという存在について一度は深く考えたことがあると思います。
キャプテンをはじめとしたチームの顔とも呼べる人たちは、周りとは違う何かを持っていたからこそそのポジションを担っていはずです。
では、なぜ彼らはキャプテンといった肩書を持つことができるのでしょうか。
周りの選手とは何が違うのでしょうか。
僕自身、現在150人を越える大所帯のマネージャーのトップとしてチーム運営をしているため、野球以外のキャプテンという面も少なからず持っています。
時には組織のトップに立ち、時にはキャプテンの右腕となり働く中で、組織を引っ張る彼らがどのように考え、どのように行動しているかが見えてきました。
今日はそんなことを話していきます。
何よりも“信頼”される存在である
ではまず組織のトップにおいて最も重要なものは何か。
それは
“信頼”
です。
彼らは基本的には周りから認められてそのポジションにつきます。
もちろん立候補もすると思いますが、信頼がない人であればキャプテンにはなれません。
だからこそキャプテンは必ず信頼を集めています。
これはどんな分野でも構いません。
最もわかりやすい特徴は、そのスポーツが一番うまい人でしょう。
スポーツとは競技力こそが最も重要視されることは言うまでもありません。
この分野に秀でている人は自ずと周りからの信頼を集めることになります。
高校野球でも「エースで4番でキャプテン」みたいな漫画のような肩書きも珍しくありません。
言い換えてみれば、”その分野の最も重要な技量が高い人”となるでしょう。
また、”人間力がある”ことも重要な要素です。
スポーツをやったことのある人は身にしみて感じているかと思いますが、スポーツは単にその種目をやっていれば良いわけではありません。
礼儀や私生活はもちろん、強豪校と呼ばれるような部活ではその部の歴史や伝統を一身に背負うことになります。
言うなれば、
競技力と同じかそれ以上の人間力を求められる世界
ということです。
好きな競技自体に対しては自分を律することができても、それ以外の分野でまで自分を律することは非常に難しいです。
だからこそ、人間力があり、競技以外でも常に自律している人は大きな信頼を集めます。
ここまで書いてきてわかるように、
信頼を集める人とは人ができないことができる人
ということです。
これが何よりも最初の条件になります。
明暗が分かれる組織マネジメント力
しかし、こういった何かに秀でていて人から信頼を集める人はたくさんいます。
なので、次に彼らが組織を正しい方向に導けるかどうかを考える必要があります。
自分のコントロールは上手い人でも、組織運営になると途端に苦手になる人がいます。
特に野球のエースはその典型例が多いのではないかと思います。
誰よりも練習して、チームの勝利に最も貢献する力を持って(=野球がめちゃくちゃ上手い)いて信頼も集めているのに、一度全体に指示を出すとするとうまくいかない。
そんなことが多々あります。
つまり何が言いたいかというと、
セルフマネジメント(自己管理能力)と組織マネジメントは全く異なる能力が必要
ということです。
信頼を集めることは必要最低限の土台であり、具体的な能力として組織マネジメント力が必要になります。
発信力があり人への情報伝達が上手い、組織の特徴を見極め不足している部分を補う、モチベーションを押し上げるなど、組織全体へのはたらきかけをいかにできるかがポイントになります。
これがヘタクソだと、誰もついていきません。
信頼を集める能力×組織マネジメント力
この掛け算が最も大きい人がその組織を引っ張るにふさわしいと言えます。
例えばとんでもなく野球が上手いがために、リーダーシップがほとんどなくてもキャプテンになる人もいます笑
このタイプは野球における“信頼”が以上に高いからこそ、↑の掛け算の積が大きくなります。
キャプテンたちは何をしている?
ここまで抽象的な話をしてきましたが、具体的に彼らは何をしているのでしょう。
競技力を上げるなどは当たり前すぎるので割愛するとして、僕の周りにいる非常に優秀なリーダーたちの特徴を紹介していきます。
① 主語が「俺たちは〜」
これはかなり重要なポイントです。
少し目を瞑って考えてみてください。
最近いつ「私たちは〜」という思考をしたでしょうか。
「私は〜」「俺は〜」ではありません。
ほとんどない、もしくは2,3個とかではないでしょうか。
人間は基本的に主語を自分単体に置く生き物です。悪い言い方をすれば結局は自己中心的な性格なのです。
この本能に抗いながら、組織全体を考えなければ「俺たちは〜」なんて主語は出てきません。
練習ももちろんそうですが、日々の積み重ねで人は成長します。
だからこそ、組織を運営するにも「俺たちは〜」と常に考えていなければ組織マネジメント力は上達しません。
② 「監督の考えでは〜」が口癖
再び言葉の話です。
そもそも、言葉は思考が色濃く現れるものなので、言葉=思考法と考えてください。
この口癖は言うなれば“先人に学んでいる”ということです。
部活のキャプテン的ポジションで最も難しいことの一つに監督の存在があります。
キャプテンというリーダーのポシジョンでありながら、その上にさらなる大きな決定権があるわけですから。
ただやはり、監督の存在は絶対です。
というか、監督の存在が絶対でない組織は弱いです。
監督とは長年の経験から組織の進むべき方向を定めるプロです。
その監督の目指すべきチームこそ、自分たちの理想のチームであるべきなのです。
監督と選手の考えが対立しているチームは一体感もなく脆弱です。
だからこそ、組織マネジメントのプロである監督の考えを積極的に取り入れることは、キャプテンには必要不可欠です。
僕の周りのリーダーたちは「監督は〜と考えていると思う」と、監督の考えの本質を捉えながら実に巧みに自分の意見を説明していきます。
このようなリーダーがいる組織では、自然と監督と選手が目指すべき方向が一致し、ものすごい推進力でチームが作りあげられていきます。
③ 軸がブレない
組織だと多様な意見が乱立します。
特にチームスポーツであれば尚更です。
この場合の最悪な状態は、各々の意見に左右されすぎて、結果どの方向にも進めないということです。
ここでキャプテンの軸が重要になってきます。
なぜなら、キャプテンは組織の顔であり、先頭を走るものだからです。
少し考えが異なる人でも、キャプテンが全力で先陣を切っていれば、その後ろを追いかけます。これが普通の人だと周りから見放されますが、キャプテンだけは違います。
皆さんの経験でも、「論理的には賛成ではないが、この人が言うなら」みたいな感情的に納得した経験がある人もいると思います。
ただし、この効果が発揮されるのは“軸がブレない”ときのみです。
いくら全力で走っていてもコロコロと方向を変えられたら、後ろはついてこれません。
ただでさえキャプテンは全力で走っているわけですから、周りはそのスピード感についていくのに必死です。
そこに加え方向転換が重なれば、確実に振り落とされます。
世界最速のボルトでも、直線で走っていれば少し遅れてでも彼の通った道を辿れます。しかし、ジグザグに走られたら同じ道は通れませんよね。そんなイメージです。
また、軸がブレないことと頑固も違います。
僕としては、
“組織を良くするために必ず合理的に方針を決める”
という考え方で軸を持つこともかなり大切だと思います。
総じて重要なのは“一貫している軸”があるかどうかです。
まとめ
では、今回のキャプテンに必要な素質についてまとめていきます。
① 組織のキャプテンになるためには“信頼”が何よりも必要
② 信頼だけでなく組織マネジメント力を用いて初めて組織を動かせる
③ キャプテンと呼ばれる人の共通点を捉えられるとその本質が見えてくる
学生組織であっても、その組織を束ねるキャプテンには競技力とは全く異なった能力が求められることが多々あります。
だからこそ、彼ら・彼女らはとても優秀ですし、強い信念を持っています。
もしあなたが何らかのキャプテンになりたいと思ったのであれば、まずは自分をコントロールするところから始めてみてください。
自分がコントロールできるようになれば、自ずと周囲への影響力が増していくと思います。