コミュニケーションをとらないチームはずっと弱いまま バスケコーチング#6
こんにちは。高校バスケの監督を振り返り、考える記事になります。前回の記事はこちら。
第6回は、コミュニケーションについて。バスケにおけるコミュニケーションの大事さを出来る限り伝わるように書きたいと思います。
その殆どが、あるクリニックに行って、そこで学んだことです。私もそこで気づかされました。
【コミュニケーションの重要さ】
そもそもバスケにおけるコミュニケーションとは何か?
まず、
コミュニケーション≠練習中の無関係なおしゃべり
なので、選手同士や選手とコーチとの関係値を進めるためのコミュニケーションとは別物と考えてください。(選手とコーチの関係については、前回軽く触れているので、そちらを参照。)
では、大きく3つに分割して考えていこうと思う。
練習・試合に必要な
①報告 ②声かけ・鼓舞 ③反省・考えの共有
①報告
“試合”で最も重要なコミュニケーションになる。
勝つために必須の「技術」だと認識して欲しい。
「声出し」=「技術」であるという話は、選手によくする話だが、聞いたことがある人もいるだろう。
少し話が逸れてしまったが、実際どのような場面で使うのか、いくつか例を挙げる。
1.「ラストOK!」「ボール出るよ」
2.「スクリーン右」「スイッチ!」
3.「3線見てるよ!」
4.「打った!」「アウト!」
5.「スクリーンくれ」
6.「コーナー空いてる」
1〜4はDFの報告で、5.6はOF。DFの方がコミュニケーションが多くなるのは必然だと思う。
コミュニケーションエラーで失点するのが、DFだからだ。
1はトランジションDFの場面だ。私のチームではセーフティ1番後ろの人を“ラスト”と呼び、ラストの人は声出し必須というルールにしていた。
ラストの役割はゴール下までハリーバックすることだ。
「ラストOK」と声を出すことによって、もう1人のDFがボールマンにプレッシャーをかけることができる。だから、「ボール出るよ」という声が次に出る。これは、他の人がボールマンにDFに出て被ることのないようにするためだ。
このように重要な役割から順に声出しをすることで、無駄のない報告になるようにしている。
2はスクリーンに対する報告だ。スクリーンはそもそもかからないのが1番良い。そのために、味方にスクリーンが行ってるということを教えなければならない。また、スクリーンにどうしてもかかってしまう場面でも、スクリーンがどこにいるというのを把握していれば、的確に対処できる。
だから、「スクリーン右」の「右」(位置)を言うことも重要となる。そして、対処の方法として、この場面では「スイッチ」を選択している。
この対処の方法には、DF2人の意思疎通が不可欠なので、「スイッチ」の報告は絶対に必要だ。
3は、私のチームの選手たちが自主的に出すようになった報告である。試合中に自然とみんな出るようになっていた。シェルドリルの成果の賜物だ。
3線がいるという報告をすることによって、ボールマンのDFはストロング側を守って、プレッシャーを強めることができる。システムチックなDFをするために、選手たちが必要と感じて、するようになったのだろう。
4は相手OFがシュートを打った時の報告。
「打った」という声に反応して、ボックスアウトをするような訓練をしていれば、反応が早くなるのだ。
5はOFが自分のしたい攻めをするために、周りを動かすという場面だ。主にオフボールで言うことが多い。また、インサイドに対して、「面はれ」とか「勝負!」とか言うこともある。周りの見えていないセンターのために、迷いなく勝負させるためのコミュニケーションだ。
6は空いているところを教えるような報告。これは、実際には、声に出すとバレるのであまり使わないかもしれない。そのような時には、指を指して、ボールマンに見てもらうことがある。これもコミュニケーションの一種だ。
②声かけ・鼓舞
練習でも試合でも欲しいコミュニケーション。
「声出し」≒「コミュニケーション」
ニアイコールのニアの部分の違いは、意図がある声かどうか。声出ししたくない人に声を出させてもそれは、コミュニケーションには繋がらない。
では、どのような声がコミュニケーションなのか。それは、ポジティブな雰囲気を作るための声である。例えば、
ベンチでの「まだいける!絶対勝てる!」
「3ピリから油断せずにいこう」とか。
練習中の褒める声や盛り上がる声も含まれる。
簡単なやつだと「ナイシュー!」とか。
なぜ、必要なのか。1番大きな理由としては、
逆転・勝利のメンタリティを培うためだと思っている。
負けている時や、相手に追いつかれた時に声を出さなくなるチームは負け癖が付きやすい。普段の練習からこう言ったポジティブな声を出すことによって、試合中にネガティブな考えや行動を起こさないようにして欲しいのだ。
また、個人的に私は“気合“という言葉は好きだ。
バスケにおいても気合いでなんとかなることがある。それを引き出せたら万々歳である。
また、馬鹿みたいに声を出せる環境は部活以外であまりないだろう。楽しくやりたいなら声を出して欲しいものだ。
しかし、こういう声を出すというメンタリティが備わっていない選手たちに声を出させることは難しい。そういう時は、リーダーシップを持つ選手に頼らざるを得ない。
エネルギッシュな監督なら1番その人が声を出すなんてこともあるが。私はそういう監督になりたいわけではない(笑)
③反省・考えの共有
これは、②と被る部分があるが、そこの部分は省いて説明する。
試合中の考えのまとめ、指示は監督が出せば良いので、主に“練習”中のコミュニケーションになる。
練習の効果をより高めるための選手同士のコミュニケーションである。
個人に対するアドバイスや、チーム練に対する各々の反省やこうして欲しいという要求など。
練習の効率を上げるためのコミュニケーションは無数に存在する。
一つ一つの練習に対するコミュニケーションが有るか無いかで成長速度は大きく変わってくる。
私は、練習中ひたすら「喋れ」と言っている。
「声出し」ではなく「トーク」が重要なのだ。
練習中の5on5では、やる前に必ず
「チームトーク」の時間を作る。
今日の目標は何なのか、なにを意識するのか、
どういうOFがしたいのか。
これが、5on5の質と効果を大幅に上げる。
(バスケを知るようになるとこの時に発言できるようになる。逆に言えば、発言できない人は、バスケを何も理解しておらず、知識のインプットが足りない。)
そして、試合後もなるべくチームトークで反省を行う。一方的に監督がこうした方が良いというだけが、反省ではない。
反省のやり方については、また後日詳しく記したいと思う。
また、チームのルールとして、フリースローの1本目の間は集まってトークを必ずする。
元々私の高校では、そういう習慣が無かったので、取り入れた。
これは、“試合”中のミスの修正に役立つ。
コミュニケーションをどれだけ取って練習してきたのかが、チームの質を分けるのだ。
当然、私が監督となったチームでは、コミュニケーションを最重要事項として、練習を組みたていた。
【選手がコミュニケーションをとるようにするには】
まずは、こちらをご覧いただきたい。
NBA選手のドレイモンドグリーンのコート上での「報告・声かけ」である。
バスケのトップ選手はこれほどの声を出し続けているという参考動画。
これは、そのワンシーンだが、上記の①報告の3の
「3線見てるよ!」と一致する。
直訳すると「私はあなたの後ろにいる。プレスを上げろ!」である。この声かけをNBAのトッププロがしていて、高校生がしない理由がない。
私は、選手たちにこのような動画を見せてから、コミュニケーションの重要さというのを話すようにしている。誰かを納得させるには、証拠が必要だろう。それだけの話だ。
参考動画は探せば他にもあるだろうが、この動画はとても良い参考になるので、選手に見せることをオススメする。
これにより、選手が数人でもコミュニケーションの重要さを理解してくれれば、後は、その選手たちが練習中に言ってくれるので、監督はそれほど努力しなくても大丈夫だ。あとは、上に書いたようなことを教えて、言い続けるだけだ。
【まとめ】
バスケにおいてコミュニケーションは最重要事項
①「報告」=「技術」
②ポジティブな環境を作るため「声かけ・鼓舞」
③効果を高める練習中の「トーク」
コミュニケーションをとることの大事さを伝えることができたでしょうか。
これを読んでる誰かの、練習改善に少しでも役立つようなものになっていたら嬉しいです。
かなり文章がまとまらなくて、苦労しました。
次回は、チームの決まりごとについてでも話そうかと思います。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?