チームの土台はOF or DF? 優先度の付け方とは バスケコーチング#4
こんにちは。高校バスケの監督を振り返り、考える記事になります。前回の記事はこちら。
第4回は、優先順位の考え方です。チームとして伸ばす部分の優先順位です。OFが先かDFが先かみたいな話。
【先に考えるのは、OF?DF?】
練習時間が限られた環境では、教えられることも当然限られる。学校で自主練もできない状況で、教えるべきはなんなのか。
まず、考えることは、現状何ができて、何ができないのか。何が足りていて、何が足りないのか。
私が監督になったチームの1番初めの状況を考えるとこうなる。
・身長が低い
・リバウンドは悪くない
・OFのセットは去年のものをそのまま使える
・OFの基礎力が低い
・シュートが入る選手が2.3人
・ハンドリングができるのが2.3人
・DFは県大会レベルにはない
・チームの仲が良い
・ラントレにも前向き
1番最初は、ざっくりこんな感じだったと思う。要するに、何も出来ていない赤子のような状態。しかし、モチベーションやメンタル面は良好。
できているか、否かの基準は県大会レベルに通用するかどうか。
この状況から、優先順位をつけるとこうなった。
①チームDF(マンツーマン)
②一線のDF
③OF基礎(ハンドリング、ピボット、突き出し、
ボールミート、パス&ラン)
④シュート基礎(レイアップ 、ゴール下シュート、セットシュート)
⑤OF1on1
⑥シュート練
⑦オールコートマンツーマン
⑧チームOF
⑨ゾーン
⑩その他
優先度を大体で表すとこうなる。
①≧②>>③>④>⑤>⑥≧⑦>⑧>>>⑨≧⑩
結論、DFを優先すべきである、と考えた。
理由としては、
・DFは考えることが少ない。
・DFはOFよりも圧倒的にシステム化しやすい。
・DFが上達しないとOFが練習で苦しまない。
・OFは放っておいてもある程度上手くなることがある。個人にかかる部分が大きい。
要は、弱いチームが勝つためには守りを固めろってこと。
以下は、それぞれの練習に対する考え方や補足。
1.チームDF(マンツーマン)
身長が低いチームだったので、やはり、マンツーマンDFが1番期待度が高く、その完成度を上げなければならない。
3線のポジション移動の速さや、2線3線のポジション調整は、その理想を選手に求め続けることによって、チームに浸透させていく。
そして、カバーダウン、ローテーション、クローズアウト、それに応じたコミュニケーションが必要。
それら全てを解決してくれるのが、
シェルドリル(4on4)だ。
シェルドリルはどれだけやっても、やり過ぎることはないと思っている。それほど自分の中では重要な練習だ。
つまり、シーズン序盤からシェルドリルをやり続けるべきだ。これだけでDFのシステム化、意識の向上が図れるのだ。
また、シェルドリルだけでなく、序盤は分解練習も必要となってくる。
私が考えた特徴的なメニューでは、3線をプラスした1on2、というものがある。
通常のウイングからの1on1に加えて、3線のDFをつけるものだ。
「3線のDFは、1線が抜かれた後はOFとの1on1になる」という考えを持たせることに特化したメニューとした。
あと、チームとしてシステム化(決まりごと)した方が良いことが、ピック・スクリーンの対処。
私のチームでは、オンボールスクリーンに対しては全てダブルチームとしていた。
その練習も反復して行う必要がある。
DFの話を延々としていたら終わらなさそうなので、また今度の機会に記したい。
2.1線のDF
県大会基準で考えると、1on1のDFの強化も必須である。
シュートチェック、ハンドワーク、フットワークこの3つをある程度のレベルにしなければ戦うことすら難しい。
ステイロー、ハンズアップは常に維持。
そして、もう一つずっと言い続けたことが、
ワンアーム。
腕一本分の距離でつき続けることだ。
1線のDFはプレッシャーをかけて、前に出てナンボである。
弱いチームは、これらの考えが備わっていないことが多い。なんとなくでDFをしてはいけない。
具体的な練習としては、フットワーク、ドリブル1on1、シール練習(コース正面に入る練習)など。
これらは、超重要で習得には時間がかかるので、年間通して、ずっとやる必要がある。
ここまでは、いくら時間を使ってでも必要不可欠なDF練だと考えた。
3.OF基礎(ハンドリング、ピボット、突き出し、ボールミート、パス&ラン)
4.シュート基礎(レイアップ 、ゴール下シュート、セットシュート)
シーズンの始めには、必ず基礎を確認する必要があるだろう。また、アウトサイド中心のチームであれば、ハンドリング技術の向上もある程度欲しい。
また、ゴール下シュート・レイアップが安定していなかったので、イージーシュートを決めて、得点とするにはこれも必須の練習だった。
これらは絶対に必要なことだが、そこまでこだわって時間をかけたくない部類のものである。
基礎練をずっとやっていても試合に勝てる動きは身につかないからだ。
また、なんせ時間がないので、練習中の声かけや注意で改善してもらいたいという思いはある。
5.OF1on1
基礎練と実戦練の間にあるのが1on1だ。
1on1の成功・失敗体験は多ければ多いほど良い。自分の強みを見つける・伸ばすのにも役立つ。
だから、1on1はアウトサイド、インサイド両方で機会を用意しなければならない。
ただ、1on1はゴール1個に対して2人しか練習できないので、待機が多くなり、効率の良い練習とは言えない。
そのため、どれだけ時間を割けるか、考えることは難しいところだと思う。
6.シュート練
ゴール下シュート、レイアップ、セットシュートよりも発展的なシュート練習である。
例えば、ジャンプシュートやスリーポイント、キックアウトからのシュートなども含まれる。
優先度は低く設定しているが、これらは、習得が難しいシュートなので、年間通してずっと練習していかなければならないと考えている。
これも勝つためには必須の項目なのだ。結局のところシュート力が勝ちに直結する。
7.オールコートマンツーマン
オールコートマンツーマンDFは、主に3つの使い道があると思っている。
1つが、逆転するor差を離すために、こちらから仕掛ける時。
2つ目が、格下の相手に対しての白星を取りこぼさない為。
3つ目が、相手のOFを遅らせたい時。
1つ目について。実際、拮抗しているような試合状況でオールコートを仕掛けて逆転だったり、差を開くということはあまりない、と思っている。
だから、ギャンブルな選択肢であると同時に、そこまでの完成度にすることは難しい。
それこそ、福岡第一のオールコートプレスは代名詞となっているが、そのチームの練度でこそ発揮されるのであって、地区予選レベルではグダグタになってしまうのだ。
であれば、私の指導するチームでは、主に2つ目と3つ目の目的で練習に入れていた。
特に3つ目に関しては、ハーフコートトラップを仕掛けることで、相手の嫌がるDFを目指していた。
実際、去年は練習期間が短くて、精度が上がらなかった為、あまり使わなかったのが残念である。結局、2つ目の為に覚えた感は拭えなかった。
つまり、習得にはかなりの時間を要する。
オールコートマンツーマンを練習に入れるメリットは、他にもある。ダブルチームを仕掛けるタイミング、ディレクション(方向付け)、ハンドワークなどが上手くなることだ。これは、ハーフコートのDFにも通じるものとなる。
8.チームOF
俗に言う、セットプレーだったり、OFのコンセプトを作っていく練習。
私のチームでは、
セット&フリー→4out1in-motion→3-2motion
と変遷していった。細かいことは後の記事で記すが、要は、試行錯誤があった。
DFはOFに比べて、考えることが少ない、と初めに書いたのは、OFが考えることが多すぎるからである。
まず、選手たちはどのようなOFが良くて、どれが悪いのかを知る必要がある。その次に、OFの形やセットを覚える。そして、自分で考えて動き、OFを成功させなければならない。
この自分で考えて動く、というところがポイントで、どのようなOFをするとしても、そこに選手の考え・意思は欠かせない。それが、チームOFだからだ。
そして、チームOFの完成には、多くの時間と経験と反省が必要だ。優先度を低くしているのは、OFの基礎が出来てないと役に立たないから。
私の考えでは、弱いチームほど、チームOFが必要になってくる。個々の力(1on1)で勝てないなら、チームの力で勝たなければ。
9.ゾーン
ハーフコートもオールコートも含めたゾーンDF。
勝利のための最後のピースだ。
ゾーンは、チームの身長、機動力、その他諸々を考慮して、どのようなゾーンにするか決定する。
まあでも、今の時代の主流は2-3zoneだろう。
日本のバスケを見てると殆どのチームが取り入れていると感じる。
また、ゾーンを練習することによって、ゾーンブレイクの練習にもなる。
最後のピースだ、なんて格好つけて書いたけど、実はその考えはかなり危険だとこの1年間で学んだ。
そこで、私の結論としては、ゾーンは早い段階から取り入れる必要がある。
1番最後にゾーンを持ってきたのは、監督を始める前の私の未熟な考えによる優先順位となっているからだ。
はっきり言って、地区予選レベルの高校バスケは
ゾーンゲーである。
ゾーンとは言わば初見殺し。OFが対応できなければそれまでなのだ。だから、ゾーンの精度は年間を通して上げるべきだし、ゾーンブレイクは必須の技術となってくる。
(まあ、ゾーンブレイクは、優秀なPGがいれば割と簡単にできるのだが。)
この辺の話も別記事でしたいと思う。
10.その他
リバウンドや速攻、アウトナンバーのOFなど。
練習しなくて良いのではない。その時必要だと思ったものを練習に入れれば良い。
【まとめ】
DFをつくることが最優先。
OFは基礎→チーム練。
シュート練には時間をかける。(自主練を含む)
ゾーンは早めから始めた方が良い。
要は、全部大事ってことなんですけど、しっかり順序立てて練習した方が良いってことです。
時間のかかり方などもある程度書いておいたので、それを計算して、どれだけの練習が必要かというのを知っておくといいと思います。
非常に長くなってしまい、雑なところもあったと思います。
もし全部読んでくれてる人がいたら、非常に嬉しく、ありがたいです。
P.S. バスケにおいてOFが大事かDFが大事か論争で、OFの方が大事という人に出会ったことがないです。もしいたら、その考えをお聞かせして頂きたいです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?