バズりの裏側ドキュメンタリー「ストリート美食テクニック」誕生秘話
(全4310文字)
あれは11月の深夜の路上、なじみのDJバーでDJを終えた後だ。思えばメシも食わずに現場入りして、そのまま4時間ほど酒とタバコを摂取しながらバーのお客さんを相手にDJをした後の帰り道だった。
そういや、おつまみのスナック菓子を除いて夕方から何も食べていなかった。しかし、時間はもう遅いし24時間やっている牛丼チェーン店や居酒屋、ファミレス、そしてコンビニくらいしかなかった。
コンビニには喫煙者だということもあって毎日行っているが、タバコを切らしていることもあって、コンビニに寄るついでに、弁当やおにぎり、パンなんかの路上でも食べられる系の物を買ってその辺で食べることにした。
昔からコンビニやファストフードの食べ物を買って路上で食べるのが好きだ。
セブンイレブンに入り、一通り品揃えを確認すると、この夜中でもホットスナック棚にいくつか商品が残っている。
弁当はあと数個、おにぎりもあまりピンと来る物が残っていなかった。
とりあえず菓子パンの棚を見ると、調理パンがいくつか残っている。
その中で、ピンと来た「マヨコーンスティック」を手に取る。
マヨネーズとコーンの組み合わせなんて美味いに決まってる。
マヨコーンスティックはちょっと不思議な形状をしていて、平べったく細長いパンなのだが、コーンとマヨネーズが乗っている中央部が溝のように薄くなっていて、ここにさらに何かがハマりそうな形である。
ふと入店した時にホットスナックのケースの中にフランクフルトがあったのを思い出した。
これは!
以前、Twitterでファミマのツナコーンパンにファミチキを挟む「クソデブバーガー」と言うのを紹介していた人がいて、コンビニ食が大好きな自分は、一度試して以来、それが旨くてたまに食べていたのだが、それと同じく、組み合わせて食べたら絶対うまいのでは無いかと言う確信が心をよぎったのである。
このくぼみはきっとあのフランクフルトを置くためのくぼみに違いない!
よし、この合体を試してみてよう!
迷わずマヨコーンスティックを持ってレジに行き、BIGポークフランクを注文、店を出て路上でパンの袋を開けて、パンの窪みに合わせておもむろにフランクを串ごと挿入!!
収まりが良い!
そして、袋を押さえながらフランクの串を引き抜く。
うおー!予想通り、、というか、、これは予想以上の美味さ!!
コーンの歯応えとマヨネーズの味わい、フランクの肉感、それを全て包むパンの食感。
油とタンパク質と炭水化物のハーモニー!
これは美食!
理想的なジャンク感、こってり感!
適度なボリューム!
うまい物を食ってる時特有の充足感!
うぉー!発見だ!
これを俺の他に試みた人はいるのだろうか?
これを早く他の人にも伝えなければ!
と思う頃には、あっという間に食べ終わっていた。
翌日、自分の所属する音楽ユニット「贅沢ホリデイズ」のライブがあった。
後輩がイベント中に「腹が減ったのでコンビニで何か買ってきます」と言っていたので、コンビニに付き添い、「昨夜食ったらめちゃくちゃうまかった!」とこの最高の組み合わせを提案した。
彼は素直にそれを試すことにした。
よし、この写真を撮ってこの食べ方をTwitterで拡散しよう、とその時に思ったのである。
さて、どのような文を添えてツイートしようか?コンビニにある複数のメニューを掛け合わせてさらに美味しく食べる、というのは、古くからの知人でもある音楽仲間のディスク百合おん君が、「コンビニかけ合わせグルメ」として昔から提唱し、書籍を出版し、テレビやラジオにも出演しているほどだし、もしかしたら、これは既に彼がやっているかも知れないという疑問がよぎった。
が、別にそこまで深く考えなくてもイイか…。
俺は俺で思いついたし、と言うことで適当な名前をその場で考えることにした。
「ストリート美食テクニック(SBT)」で行こう!と。
ストリートで食ってるし、うまいし、工夫してるからこれでいいだろ、と。
そして、ツイートしたのがこちらだ。
前のnoteにも書いたことがあったが、俺は10年Twitterをやっていて、いわゆる「壮大にバズる」という経験を一度もしたことが無かった。
まあ、そういう才能が無いのは分かっているので、特にこれがバズると言う期待もさしてないままにツイートしてみた所、一日で思いの外これが伸び、1400いいね、600RT、みたいな感じになり、「これはバズった!」と一人ほくそ笑んでいた。
まもなく「自分も試してみた」と言う人がツイッター上に散見されるようになった。
RT、いいねの数字的には千の桁ではあったが、それでもに一度バズってみたいマン」だった俺としてはとても嬉しくて、これに気を良くした俺は次のネタを考え始めたが、似たような物が全然思い浮かばないし、これ以上やると「コンビニかけ合わせグルメ」のディスク百合おんが、「こいつ同じような事やりやがって!!パクりやがった!」と怒られても困る。
それでも、バズりの快楽に取り憑かれた俺は、掛け合わせにこだわる事はなかろう、と、深夜にコンビニで買ったスイーツを、マンションの敷地内とかわざわざ立ち入り禁止区域のギリギリの所まで行き(犯罪になるので、立ち入り禁止のところには入らない、あくまでもギリギリまで)、その背徳感でさらに美味くなるというストリート美食テクニックを紹介してみたが、たっぷりコーンスティックx BIGポークフランクがあまりにもクラシックすぎて、勢いの足元にも及ばなかった。
やがて、コーンスティックxフランクの #SBT の話を実際に会った人々にされるようになった。
特に熱心だったのが、俺と丸省さんと三人でORETACHIというラップグループを組んでいるラッパーのメテオ君で、「あれはスゴイ!面白すぎる!あの写真に写っていたiyochangのヒゲ面含めて最高だし、あの写真が良すぎてバズってるんですよ!」と札幌遠征の間中絶賛してくれた。
そして、「あれから自分も色々考えても最初のが強すぎて越えられない」ことも彼は指摘していた。
じゃあ、もう美食って事にこだわらずに、ストリートで生きる人達の知恵と技術「ストリートテクニック」の中の一つがたまたまあれだったって事にして、他のをどんどん考えては札幌の路上でゲラゲラと笑っていた。
その中で浮かんだ一例が以下である。
とにかくメテオ君がストリートテクニックを思い浮かべる数が凄すぎた。
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