今日の天使(5)
単調な日々の中で、鬱々とした時間の波が襲ってくることがある。そんなとき、ふと微笑みかけてくれる今日の天使。
今日の天使『秋の長雨』
エアコンも付けてたし、なるべく早く寝るようにも心がけてた。
そうやって1日1回、ちゃんとシャットダウンしているつもりだった。しかしバックグラウンドで、その生身のシステムは異常をきたしていたらしい。
つまり私の脳は熱暴走を起こしていた。
浅い眠りのうちに、不快な夢を繰り返す。夢たちは私の人間性と、これまでの後悔と焦燥と孤独の全てを突きつけた。
そのうち夜になると頭が冴え、眠れなくなった。
どうでもいいニュースを追いかけるために、気がつけばスマホを貪っている。否、いまやニュースさえ追いかけていない。ただアプリを開いたり閉じたりを繰り返している。
もう一人の私が、お前は病的だと言っている。わかっている。それでもやめられない。
昼も夜も、頭の隅のほうに、いつももやっとした感覚がつきまとう。
殺人的猛暑を舐めていた。それに気づいたのは、秋の長雨が頭を冷やしてくれた後だった。
エアコンの機械音の代わりに、雨の音を聞き、風が通りぬける部屋で眠る。
そんな涼やかな夜が数日続き、脳をターミナルとする私のシステムは、ようやく正気を取り戻しつつある。
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一人の人間の一日には、必ず一人、「その日の天使」がついている。
これは中島らも「その日の天使」へのオマージュです。