JLCPCBの3Dプリントを評価する!
前回の記事でJLCPCBを使って3Dプリントを発注したので、今回は届いたものを評価(?)していきたいと思います!
今回も動画もあるので動いてるのが見たい方はこちらからどうぞ!
早速恐竜ロボから見ていきましょう!!
Z○ID
組み立てました。
が、関節にうまく摩擦がかからずふにゃふにゃなので、とりあえずマステを巻いて肉盛りして組み立てみました。
おそらくですが表面処理(研磨)の工程で若干痩せているようです。
うるち(データ作成者)に確認をとったところ自家出力時は問題なかったとのことした。(ボールジョイント部分は7mmのオスメスジャストサイズらしいです)
なので摩擦が必要な部分に関してはある程度キツめに設計しても良いのかもしれません。キツい分には自分でやすればいいですし。
この辺りは後日検証用データを作成して記事にしようと思います。
ただ、表面処理は流石です。今回は研磨によるデメリットも有りましたが、自家出力でこの表面の仕上がりに持っていくのはかなり難しいです。
もう一つおもちゃ系で出力したので見ていきます。
ベーゴマおもちゃ
これも同じ友人がデータを作成しているのですが、金属プリントと光造形(8228)を組み合わせて作ってみました。
金属のウェイトがジャストサイズ過ぎてハマらないトラブルが有りましたが、ヤスリで削ってハメました。
こちらは上のときのような組み込みの緩さは一切なく、しっかりと組むことができました。
おそらく形状が入り組んでいて、研磨が接合部分まで行き届かないのが逆に良かったのではと思っています。
実際に回して遊ぶこともできるし、TOP部分だけならデザインもお手軽なので子供が描いたイラストからオリジナルのおもちゃを出力なんかも簡単だと思います。(なお今回のモデルは旧世代型なので最近のものとは互換性がありませんが…)
筐体(エンクロージャー)
ものづくりで一番気になる用途はやはり筐体出力だと思います。(あとはそれに付随する細かいパーツとか)
実際自分もメインで使いたいのはこの用途なので自分で作ったモデルを出力しました。
まずはこちら。
中に基板を入れるようなBOXタイプの筐体です。
光造形で5種類のレジンで作ってみました。
まずは3種類の白色レジンに関してですが、筐体用途では大きな差異は感じませんでした。
なのでこの3種類なら一番安い9000Rがオススメですね。
ただM3のネジタップはうまく出ていなかったです。この程度は自分で加工すればいいのであまり問題にはなりません。
また8228(黄緑色)とブラックレジンもかなり質感がよく、現状色付きの光造形はこの2種類しかないため、少し見た目に変化を付けたい場合は選んでみるのも良いかもしれません。ただしブラックレジンはビルドタイムが他より長くなるようなので注意です。
一応レジンごとの詳細なスペックもWEBサイトに記載があるのですが、これを見ても何かがずば抜けて優れているような項目はなさそうですね。
個人的にはもっとカラーバリエーションが増えると嬉しいかなーと思いました。赤、オレンジ、黄、緑、水色、青、紫、灰あたりはあると嬉しいかも。
あと透明なレジンなんかも。ただ、各色ごとに機械が必要になってしまうので当面は難しそうですかね~。
例えばFDMでも良いので、そのあたりのカラーとTPU(ゴムっぽい材質)にも対応してもらえるとかなりやれることが増えますね。
話は戻って、もう1種類データを出力したのですが、こちらは元々板金で作成予定のデータで、3Dプリンタでの出力用に作ったデータではありません。
その結果出力に失敗しているのですが、そちらを踏まえて解説していきます。
まず3Dプリンタはレジンやフィラメント等の樹脂が硬化する過程で反りが出やすいです。なので薄くて大きいものの出力はあまり得意ではありません。
今回のこのデータも入稿時にJLCPCB側からチェックが入り、サポートの追加を勧められました。
ただあまりごちゃごちゃさせるのも嫌だったのでとりあえず…程度でサポートを追加してデータを入稿し直したのですが、結果こんな感じになっちゃいました。
この辺は3Dプリントの性質を予め知っておけば想定できる事態なのですが、初めて3Dプリントを行う人は戸惑うかもしれませんね。
回避方法ですが、この様なコの字型の形状はなるべく避け、箱型の形状にすることで安定して出力できることが多いです。またその場合も蓋の部分など板状のパーツを出力する場合は薄くなりすぎないようにすると良いです。
模型出力
最後にこれもおもちゃのモデルを作ってくれた友人のデータを出力したものなんですが、
バイクの模型の出力です。
これはかなり精巧かつ表面もキレイで、友人曰く家庭用の光造形3Dプリンタではまず難しいようです。
このサイズだと逆に発送に伴うパーツの破損が不安になるレベルです。(実際届いたときの梱包だと複数個頼んだら破損しそうな気もしたり…)
ただ、出来上がりの解像度は本当に凄かったです。
評価まとめ
ここまでに表面処理という言葉を何回か使っていますが、光造形の3Dプリントは液体のレジンにレーザーを当てて少しずつ層状に固めて出力していくので、出来上がったものは固まっていないレジンまみれになって出てきます。
また、浮かんでいる部分にはサポートと言って、細い柱のようなものを立てて形が崩れないようにする必要もあります。
出力後はそれらを取り除く作業が入ります。なので表面を洗浄、研磨する必要が出てくるのです。(特にレジンの洗浄は厄介で、専用の洗浄液を使うか、水で洗浄できるタイプも洗浄に使った水は下水に流せないため廃棄の工夫が必要です)
JLCPCBではその作業を行った上で発送してくれるのでかなりお手軽に精巧なモデルを出力することができます。
最初のZ○IDではそれ故の課題もありましたが、個人的にはメリットのほうが圧倒的に多く感じました。自分はFDM方式の3Dプリンタは持っているのですが、光造形も欲しいなと思っていたところで、でも後処理の面倒くささを考えるとなかなか購入には至りませんでした。今回JLCPCBの3Dプリントを試してみて、コスト的にも全然これで満足だなと思いました。
ガジェットいじりをやっていると、どうしてもちょうどいい部品が無いなんてことが日常茶飯事で、そんなときにパパっとデータ作成して1週間もすればオリジナルの部品が届くなんていうのは本当に便利です。
とにかく手軽に作ることができるサービスで、十分おすすめできる内容でした!
次は光造形以外も試してみましょうかね~!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?