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Tableau パラメーターの利用ケース


はじめに

DATA Saber Bridge -2nd-に挑戦中のNakajimaです。
チャレンジ中のOrdealにおいて、Intermidiateに当たるOrd3とOrd5は、Tablerauらしい利用方法や技を習得する重要な試練の場と感じています。
Ordealの中に登場する重要な技は多義に渡っていますが、特に重要なものの内、今回はパラメーターについてまとめてみました。
パラメーターは、データソースの含まれずに変数としてデータの見方を変更出来る利用価値の高い機能です。実務などで利用が想定されるケースを分かる範囲で網羅しています(Ver.2023.3を利用)。
パラメーターの使い方で、利用目次 的な参照資料になれば幸いです。

下記事例のデータソースは、サンプルスーパーストアを用いています(一部のデータのみ自作を利用)。
本稿内容は、後述のYouTube動画を主に参照し、Ordealの回答作成や日々のTableau利用でパラメーターを利用したケースを追加して記載しています。
また、下記で作成した事例は、Tableau PublicにVizとして公開しています(下線部をリンクして閲覧可)。具体的な設定内容は、Vizからもご参照頂けます。

利用方法(典型的な準備ステップ)

Tableauでパラメーターを利用する際の準備ステップは、次のパターンになります。後述の利用ケースで作業時に、共通した準備ステップになります。

1 パラメーターの作成

作成メニューの表示方法は何種類かあります。
サイドバーのデータペイン内で右クリックを押すと、次のような表示メニューからパラメーターを作成出来ます。
また、パラメーターの作成メニューは、フィルター編集メニューなどから「新しいパラメーターの作成」として利用するケースもあります(これが意外と便利です)。

表示された「パラメーターの作成」から、必要事項を入力します。
DATA SaberのOrdealでは、Tableauのパフォーマンス向上の観点から、データ型に整数を用いてリストで選択(表示名は利用者が分かり易い表記とする)を利用することで進めましょう。

パラメーター作成の記載例

2 パラメーターの表示

作成したパラメーターは、データペインの下部に表示されます。該当するパラメーターのピルで右クリックし「パラメーターの表示」を選択すると、ビュー内に表示することが出来ます。

表示されたパラメーターの例

3 計算フィールドの作成

作成したパラメーターに意図とする機能を付与するため、計算フィールドを作成します。
次例では、軸表示を「売上」と「利益」のメジャーで切り替える機能を付与する例になります。

計算フィールドの例

4 パラメーターの利用

ビュー内に必要なディメンジョンとメジャーをセットし、2項で表示したパラメーターを操作して切替などが行えます。
今回はメジャー項目の軸切替を例としていますが、メジャーを入れるピル部分に作成したパラメーターからの計算フィールドを入れることで、パラメーターの機能が有効になります。 

5 ワークシート、ダッシュボードでのアクションの利用

作成したパラメーターをアクションとして利用出来ます。
アクションの利用で、2項で表示させたものを利用せずにビュー上のグラフ内容クリックで、インタラクティブな自動切替が実装できます。
詳細は、後半に説明項を設けました。

パラメーターの利用ケース

有益な利用ケースを具体的に説明します。内容的に3項目に分けています。

  1. Viz(ビューやダッシュボード)内の表示切替

  2. 変数としての利用

  3. 共通的な軸に関する表示機能

1 Viz内の表示切替

1)ディメンジョンの選択

共通するメジャー(売上など)に対し、ディメンジョンで表示するフィールドを複数選択することが出来ます。
前述の準備ステップ通り、ディメンションを選択するパラメーターを作成し、計算フィールで機能を持たせて行などに作成した計算フィールドを入れると切替動作をするようになります。

パラメーター作成:リストでディメンジョンを選択出来るようにする
計算フィールドの作成:リスト値を選択した際にディメンジョンを選ぶ
Vizの例:表示したパラメーターの内容を選ぶとグラフの表示が切替ります

2)メジャー(集計値)の選択

共通するディメンジョンや順序的な名義(日付など)に対し、メジャー(含む集計値)のフィールドを複数選択することが出来ます。行軸での表示切替などに応用出来ます。
前述の準備ステップ通り、メジャーを選択するパラメーターを作成し、計算フィールで機能を持たせて行などに作成した計算フィールドを入れると切替動作をするようになります。

パラメーター作成:リストでデメジャー(集計値)を選択出させる
計算フィールドの作成:リスト値を選択した際にメジャーを選択させる
Vizの例:表示したパラメーターの内容を選ぶとグラフの表示が切替ります

3)グラフの切替1 (コンテナの利用)

ワークシートで作成した複数のグラフを、パラメーターを利用してダッシュボード上で切替をすることが出来ます。
前述の準備ステップ通り、グラフを選択するパラメーターを作成し、計算フィールでパラメーターの値を引き出す機能を持たせ、フィルター欄で計算フィールドの値を選択する仕掛けをワークシートに入れておきます。

ダッシュボードに各グラフを挿入する際に、先にコンテナ(垂直、水平どちらも可)を用意し、そのコンテナ内にグラフを入れる様にします。
表示しているパラメーターを切替えると、任意のグラフを表示することが出来ます。パラメーター選択時に見せたくないグラフのタイトルが表示される際は、それぞれのタイトルを「タイトルの非表示」に設定することで、不要なグラフの表示をさせない用意することが出来ます。

グラフ選択のパラメーター作成
計算フィールドの作成:パラメーターの値を使う
各グラフ(ワークシート)でパラメーター選択時の憑依切替設定をする
ダッシュボードでの表示例:各グラフのタイトルは非表示に設定

Tableau Publicで公開しているVizでは、垂直コンテナを利用してグラフ類を縦向きに表示しています。

4)グラフの切替2 (動的ゾーン表示)

前述3)項と同種の機能が、2022年のバージョンアップで実装されました。パラメータを利用して、ワークシートの諸設定ごと表示を切り替えることが出来ます。
パラメーターの設定方法はダッシュボードのレイアウトから行う必要がありますが、慣れると前項よりこちらの方が使い易い(利用価値が高い)と感じています。
グラフの切り替えだけでなく、2つのグラフで片方のグラフは必要に応じて表示と非表示を切り替える(主となるグラフは絶えず表示させている)などの利用方法も対応可能です。

設定の準備ステップは、下記をご参照ください。
なお、ダッシュボードでは、コンテナ(水平、垂直)に各グラフを入れる必要があります。

パラメーターの設定:切り替えるグラフのリストを作成
計算フィールドの作成:グラフ毎にパラメーターの値を指定する
ダッシュボードのレイアウト設定:

挿入した各グラフを単独指定して「レイアウト タブ」の「値を使用して表示状態を制御する」欄にチェックを入れ、事前作成した計算フィールドを選択する。
利用する全てのグラフに同様の設定を行う。

ダッシュボード例:表示したパラメーターを選択するとグラフが切り替わる

動的ゾーン表示でのグラフ切り替えは、前項のパラメーターのみでの切り替えに比べ動作速度が速いと感じます。バージョンアップによるネイディブ機能サポートでのメリットと思われます。

2 変数での利用

1)Top N

ビューに入れたディメンジョンから順位(上位、下位)を指定する。
順位は固定値ではなく、閲覧ユーザーが自由に選択出来るようにパラメーターを用いて数値入力を行えるように出来る。
 (1)ビュー上のピルから順位の選択時にパラメーターを作成する場合と、
 (2)パラメーターの新規作成メニューから作成後にピルの順位フィルタでパラメーター名を指定する2種の方法がある。

順位作成時のパラメーター作成例(ピルから指定)
パラメーターの新規作成からの例
Vizの例:「Top N」のパラメーター利用例

2)移動平均

簡易表計算で作成する移動平均の日数指定をパラメーターで変更することが出来ます。
事前準備ステップで、パラメーターを作成する(下記例では、「Moving N Days」のパラメーターを作成)。
計算フィールドを作成し、パラメーターを利用する機能を付与する
 下記例での計算式 : WINDOW_AVG(SUM([売上]), -[Moving N Days], 0)
作成した計算フィールドを行に挿入し利用する。下記Vizでは行のメジャーを二重軸に設定して表現した。

移動平均でのパラメーター設定例とVizのイメージ

3)データ範囲(リファレンスライン)

日付範囲のリファレンスライン表示の例です。
開始日と終了日をパラメーターで事前作成します。計算フィールドで、作成した2種のパラメーターを利用して表示するデータ範囲(下記例では日付の範囲)を指定します。下記例で作成した計算フィールドは、次の通りです。
 Sales over Time :
          [オーダー日]>=[From Date] AND [オーダー日]<=[To Date]
この計算フィールドをフィルターに入れ、ブール値として扱う(「真」にチェックする)ことで、リファレンスライン(バンド)を2種のパラメーターで指定した日付の範囲でライン(バンド)を表示させることが出来ます。

なお、下記事例では、後述のタイトル表示の切り替え機能を利用して、タイトル内容をパラメーターで変更させています。

日付範囲を表示したVizの例

4)積み上げ棒グラフのソート

積み上げ棒グラフで、表示データの表示順をパラメーターを利用してソートすることが出来ます。
下記事例では、サブカテゴリ毎の売上を地域で色分けして表現する積み上げ棒グラフとなっていますが、ソートさせる内容を次の2種に同時対応させることが出来ます(1種だけでも設定可能です)。

  1. フィールド内の位置変更:列に入れているフィールド(事例ではサブカテゴリ)の表示位置を変える。事例では横棒に対し、サブカテゴリの表示位置を最左(並べ替え順序は昇順)、もしくは最右(並べ替え順序は降順)に移動させ、そのサブカテゴリでの量の推移を見やすくさせる。

  2. 全体の値ソート:選択したサブカテゴリの項目で行方向の値を用いてソートを行う。

パラメーター設定例:地域でのソートに利用するもの
パラメーターを利用する計算フィールド
各フィールド毎の並べ替え設定例:左が地域のソート、右がサブカテゴリのソートに対応

ここでの並べ替え設定は、地域はマーク色に入れたピルから、サブカテゴリは行に入れたピルからそれぞれ設定しています。
この設定が完了すると、表示したパラメーターを切り替えることで、サブカテゴリ毎に縦(行)方向のソートが維持された状態で、サブカテゴリの位置が左右に移動出来ます。

パラメーター利用後のグラフ例(サブカテゴリの値に準じてソートした結果)

5)関係性の無いデータソースのフィルタ

データソースが違うなどの直接関連性が無いデータで、同じパラメータを用いて表示切り替えが行えます。
下記事例では、違うデータソースのデータで日付を共通項としてパラメーターでフィルターする仕掛けをダッシュボードで実現してます。
それぞれのデータから作成したグラフで、同じパラメーターを用いた計算フィールドをそれぞれ作成し、前述のデータ範囲と同じ方法(作成した計算フィールドをフィルターに入れて「真」を選択)で機能させる様にしてます。

1番目のデータ(売上推移)
2番目のデータ(Traffic:自作データ)
ダッシュボードでの利用例:ひとつのパラメーターで両方のグラフがフィルタされる

6)ヒストグラムのビン

ヒストグラムのビンをパラメーターで利用者が自由に変える設定が出来ます。
パラメーターの作成方法は複数あり、下記事例では売上のピルからビンを作成する際に「ビンのサイズ」の項で「新しいパラメーターの作成」から実行する例を示します。

売上からのビンの編集:パラメーターの新規作成
パラメーター作成例
Vizの例:パラメーターの値を変更することで、ヒストグラムのビンが任意に変更出来る

3 共通的な軸に関する表示機能

1)軸のタイトルを動的に変更する

2023.1のバージョンで実装された便利な機能。
軸の編集メニューで「軸のタイトル」、「タイトル」欄からを選択し、「値の使用」でリストされるパラメータを利用して軸のタイトルを切り替え表示することが出来ます。

軸のタイトルを動的に変更する:軸の編集からパラメーターが利用できる

2)タイトル表示をパラメーター条件式での利用(動的なVIzタイトルの変更)

Vizのグラフ タイトルなどに、パラメーターを設定し選択したフィールド名や値を動的に表示切り替え出来ます。「タイトルの編集」で必要事項を挿入することで実現出来ます。
下記事例は、前述の「データ範囲」に示したVizでのタイトル表示例です。

タイトルの編集:パラメーターで日付範囲と計算フィールドの値を表示させている
パラメーターを用いた計算フィールドの例:パラメーターで指定した日付範囲の売上合計を算出表示する
Vizタイトル表示例

3)動的な軸範囲

2023.3のバージョンで実装された新機能。軸で表示する値をパラメーターを用いて利用者が任意に設定出来る仕様が実装されました。
準備ステップでパラメーターを作成し、「軸の編集」で「範囲」、「カスタム」を選択し、「開始値」と「終了値」をリスト表示されるパラメーターから選択することで実現出来ます。

パラメーター作成例:最大値と最小値をそれぞれ選択できる2種を作成
軸の編集での設定例
VIzの例:表示しているパラメーターで値を指定出来る

4)パラメーターアクション (例:ダイナミック リファレンスライン)

この内容だけでひとつの記事が書けそうですが、概要例で使い方を説明します。

分布図(売上と利益の相関)でのリファレンスラン動的利用を事例に示します。
前述の積み上げ棒グラフのソートなどでも、グラフ中の要素をクリックすることでパラメーターを触らずに直感的にソート作業をさせることなどが実現可能です。

パラメーターの作成例:売上と利益のパラメータを作成
リファレンスラインの作成:「線」の「値」で作成したパラメーターをそれぞれ選択
ワークシートアクションの設定例:
売上と利益のデータにマウスポインターをかざすことで、動的にリファレンスラインの表示位置を変えることが出来る
Vizの例

おわりに

DATA SaberとしてTaleauを勉強していて、パラメーターの重要性を改めて実感しています。
実務でかなり利用でき、応用範囲が広い点が使い勝手のある機能と思います。
今回のまとめで自分自身の頭の整理と、知識定着を計っていきたいと思っています。

みなさんにも、何かのお役に立てれば幸いです。

参考資料など

・sqlbelle : Tableau Tutorial - Parameters - Complete Introduction - with 10 use cases step-by-step for beginners

・Tabeal社ナレッジスペース:例 動的な軸のタイトル自動更新 など


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