2021年のマンガと2022年にくるマンガの話をしました【マンバ読書会】レポート
どうも、クチコミとランキングでいいマンガが秒で見つかるサービス『マンバ』です!
「2021年と2022年のマンガ」をテーマにオンライン配信イベント「マンバ読書会」を開催しました!このイベントのもようを、マンガソムリエ・兎来栄寿さんによるレポートでお届けします!
配信アーカイブを聞きながら参加者の皆さまイチオシの作品をぜひ読んでいただだければと思います。それではどうぞ!
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こんにちは、マンガソムリエの兎来栄寿です。
1月29日(土)に「2021年のマンガ総振り返り!&2022年にこのマンガがくる!」をテーマにしたオンラインマンバ読書会が開催されました。
今回は普段とは違い、事前に配信トークに参加してくださる方を募集しておりました。
そして、3名の方にお集まりいただきました。
1人目は、百合をこよなく愛するあうしぃさん。
2人目は、島本和彦先生が大好きな古豪のマンガ読みナベテツさん。
3人目は、新作マンガを大量に読みYouTubeで紹介を行うVtuberの紙屋凪さん。
それぞれ得意分野の違うお三方に参加していただいたことで、いつも以上に賑やかで楽しい配信となりました。
■「2021年に完結したマンガ」
最初のテーマは「2021年に完結したマンガ」。昨年完結した作品の中で、特に印象的な作品について語っていきました。
まずは私から、最初ということで王道から挙げさせていただいたのが『大奥』。
序盤から完璧と言える完成度を誇りながら、読み進めると更にその真価が露わになっていく構成は傑作という他ありません。
「途中までは読んでました」
というコメントもいただき、そういう方も多いと思いますが、まだお読みでない方はこれから「『大奥』を完結まで読む」という大変な幸福を味わえるのだと思うと、ただただ羨ましいです。クチコミも多く付いているので、ぜひ併せてお楽しみいただければ。
次にあうしぃさんは百合的なものとして2作品挙げてくださいました。
まず『熱帯魚は雪に焦がれる』。
「百合好きには大名作として完結を迎えられた」
「”優等生”の描き方がすごくいい」
とあうしぃさん。
もう一作は『ひとりぼっちの○○生活』。
「ギャグもあるけど泣けるところも多く読み応えがある」
「主人公の成長を楽しめ、内気な人には特に刺さる」
と熱を込めて語ってくださいました。
「4コマなので割と読みやすいですよね」
と紙屋さんも。
ナベテツさんからは『エルフと狩猟士のアイテム工房』。
「序盤はほんわかしているが、2巻以降雰囲気が変わりおおーっという展開に」
「長命種のエルフと人間の寿命差が描かれるのは『葬送のフリーレン』に通じるものも」
スクエニ系ファンタジーにアジャストさせてもこれだけの物を描ける葵梅太郎さん、今後描かれる世界もとても楽しみです。
他にもナベテツさんは『ノー・ガンズ・ライフ』や『オオカミライズ』の名前も挙げてくださいました。
紙屋凪さんが挙げてくださったのは、『ホリミヤ』。
「高校生の群像劇として最高」
「原作を読んでる方も、アニメ版も観るとより立体的に楽しめる」
そして『キューナナハチヨン』も挙げてくださいました。
「ベースはコメディテイストだが、そうではない雰囲気のお話がある。生きていくのに絶望していた少年があるマンガに出会うが、その作者が死んでしまうというエピソード。それが実は青山景先生のことで物語に落とし込まれていて、それが書かれたあとがきも含めて心に残った完結巻」
なお、9784とはマンガの単行本のISBNコードの最初の数字列。書店系作品に興味がある方も、そうでない方も。
■「いま人気の漫画ってなに?」
次のコーナーは、「いま人気の漫画ってなに?」。
「漫画喫茶に新刊が2冊置いてある時」など、色々なところから感じられる漫画の人気について、そして実際に今周りで人気になっているマンガについて語られました。
「一般層に普及させる意味でも映像化は大きい」
ということで、ドラマが話題の『ミステリと言う勿れ』の名前も挙がりました。
百合界隈ではまったく実写は観ず、アニメだけ観て原作に入るパターンも多く、
「『今更になって盛り上がってるの……?』という気持ちと『原作も良いから原作も読んで!』という気持ちが鬩ぎ合う」
とあうしぃさん。
なお、マンバには「2022年ドラマ化」というようなタグもあり、こちらで見ると今年の実写化作品なども一瞬で網羅的に確認できて便利です。これを使って見て行った時に『舞妓さんちのまかないさん』。
ショートアニメでサクッと観れて心温まり、原作への興味にも繋がるであろう良いアニメ化がなされていました。
「ぜひ二人の関係性を見守って欲しい」
とあうしぃさんは一貫して百合好きの視点から。
「Netflixで(『万引き家族』などの)是枝裕和監督の実写化もあるので、今後もっと注目を浴びそう」
と紙屋凪さん。
ご年配の方でも楽しめそうな作品なので、実写化の意義も大きそうですね。
■「去年私が一番〇〇だったマンガ」
続いては2021年の作品を掘り下げていく「去年私が一番〇〇だったマンガ」のコーナー。
最初のあうしぃさんからは4作品を挙げていただきました。
まず、「去年一番考えさせられたマンガ」として『合格のための! やさしい三角関係入門』。
昨年末に開催したマンガプレゼン大会でも、あうしぃさんがその魅力についてたっぷり語ってくださった作品です。「まったくやさしくない三角関係とその意外な解法」は必見です。
次に「去年一番かわいかったマンガ」は『メイドさんは食べるだけ』。
あうしぃさんのご紹介でありながら、まさかの非百合マンガ!
「主人公はぽやんとしているけど前向きで癒やされ、楽しい」
美味しく食べてる姿って無性に癒やされるので、「作りたい女」の気分になれる作品です。
「去年一番女が格好良かったマンガ」としては『SHWD《シュード》』。
「肉体的にも精神的にも強い女同士が熱い百合」
「『先輩のために強くあらなきゃ……!』といった熱い想いにドキドキする」
「3巻完結が既定路線で連載継続が困難かもしれないので皆さん読んでください」
という辛いには司会のTさんも「私も大好きなので、応援したい!」の声が。
最後に「去年一番爆笑したマンガ」として『となりのフィギュア原型師』。
「一癖も二癖もあるメンバーたちに新人が心の中でツッコんでいく様がめっちゃ笑える」
「楽しいことも辛いことも全部笑いに変えていて、業界ごと愛しくなる」
という名作です。
『フードコートで、また明日。』や『かけあうつきひ』も入れたかった、とのことでした。
ナベテツさんは「去年一番考えさせられたマンガ」として『はっぴーえんど-新型コロナ編-』を上げてくださいました。
「元々、在宅での終末医療を取り扱っていた作品のコロナ編」
「第6波の時世もあって、色々考えさせられました」
「今こうしてオンライン開催しているのもコロナのせい」
「『家栽の人』以来のドラマ化をして欲しい」
紙屋さんは「去年一番この作品を布教したマンガ」として、『キョーダイシャッフル』を挙げられました。
「Vtuberの集まりの自己紹介の場で、4分の自己紹介の内3分はこの作品の紹介を初対面の人にし続けた」
「一聴すると複雑な関係性だが、読むと解りやすいので実際に読んでみて欲しい」
あらすじを聞いただけでも司会のTさんは興味津々でした。
紙屋凪さんの『キョーダイシャッフル』紹介動画はこちら!
また、私からは「去年一番やばいことになった長期連載マンガ」として連載39年目にして超常的な展開になっている『銀河伝説ノア』を。
「去年一番エネルギーを貰えたマンガ」として「読むモンエナ」こと『ニックとレバー』を挙げさせていただきました。
公式で「ハイスピードクソマンガ」と呼ばれるこの作品は試し読み数ページで雰囲気は解るので、体感してみて欲しいです。
■タコピーの原罪、どう?
ここまでは2021年の作品を中心に語ってきましたが、ここからは2022年に来るであろう作品を取り扱っていくことに。そして、その代表作として現在大いに話題になっている『タコピーの原罪』について語っていきました。
あうしぃさんは「全話読了済み」。
ナベテツさんは「普段は読まないが今日は課題図書として読んできました」。
紙屋凪さんは「単行本派としてあえて読まずに貫いて今日は貴重な読んでない人ポジションとして参加」。
最近単行本が発売になった『ムムリン』ともども、『ドラえもん』との類似点と、一方で現実的でシビアな面もある人間の被造物であるドラえもんに対して、イノセントすぎる宇宙人タコピーの対称性が語られました。
「タコピーのお陰で素敵な大晦日とクリスマスイブになりました」
というコメントには思わず複雑な胸中で笑みが漏れました。
他にも
「タコピーの星での倫理観がどうなっているのか」
「『原罪』というキリスト教的なタームから解釈していくとアダムやイヴや悪魔は誰に当てはめられるのか」
「タコピーは林檎ではないか、あるいは蛇か」
「4話のタイトルバックは衝撃」
「犬を飼い始めた身だと4話は辛い」
「唯一共感できるのは『タッセルってなんだよ!』というセリフ」
「とにかく絵が上手い」
「本来ならアフタヌーンやIKKIやビームっぽい作品」
「俺の金曜日はいつも『働かないふたり』だったのに……」
などなど、様々な視点から語られました。
3月と4月の上旬に上下巻完結なので、終わりまで見届けていくッピ!
考察の投稿も待ってるッピ!
■わたしが推してる新連載
続いては、今年注目の新連載や、この作品が来る! と期待している作品を挙げていくコーナー。
まずは私から『タコピーの原罪』と同じ金曜日更新のマンガとして、最近サイコミで始まった『東京深夜少女』を紹介。『明日、私は誰かのカノジョ』のをのひなおさんもタコピーと併読する作品として挙げており、今後注目です。
また、コミックDAYSでこのイベント当日から連載が開始された『私の胎内の中の化け物』、LINEマンガで連載中の、Netflixあたりで実写化されそうな『しっぽとりゲーム』の2作品を挙げました。
あうしぃさんからは、これから連載が始まる社会人百合の『君と観たいレースがある』を挙げました。
更にもうひとつの社会人百合として『君としらない夏になる』。
『夢の端々』の先にある、「その日に残るかけらのために」
『異聞百合拾遺集』という作品を描いていた方で「その日に残るかけらのために」を含めた短編集を出してくださるのが楽しみ、とあうしぃさん。
もうひとつ短編集が楽しみな作者としてあうしぃさんが言及したのが「裸のマオ」のもぐこんさん。
「きしむ家」や「あつい皮膚」など他の短編も非常に良かったので、出版社の垣根を越えて短編集が発売されたらとても嬉しいので講談社さん、新潮社さん、よろしくお願いします。
また、今年複数発売される台湾マンガの日本語訳版を紹介してくださいました。
『用九商店』
『綺譚花物語』
その他、時間が無くて紹介できなかったものの事前に紹介したい作品として、以下のタイトルも挙げていただいていました。
『母の元カノと暮らした。』
『女ともだちと結婚してみた。』
『晴れ晴れ日和』
『アンナ・コムネナ』
『瑠璃の宝石』
ナベテツさんからは『青騎士』で連載中の久慈光久さんの新作『鋼鐵の薔薇』の名前が。
また、2月22日発売のイブニングで始まるサライネスさんの新連載『誰も知らんがな』も楽しみとのこと。
麻生みことさんの新作『下足痕踏んじゃいました』にも注目しているそうです。
また、この時代に出て誰もが「なぜこの時代に」となった(※40周年だからです)『Get truth 太陽の牙ダグラム』の話題も。太田垣康男さんも精力的でファンは嬉しいです。
同様に雨瀬シオリさんも多作ですが『ぜあ』も連載化してくれたら嬉しいです。
紙屋さんは基本的に連載は追っておらず単行本派ではあるものの、未刊行で注目しているのがVOCEウェブで連載していた『僕はメイクしてみることにした』を挙げてくださいました。
こちらは何と、後日発売日の試し読みツイートが10万いいねを超え、Amazonのランキングでも『ちはやふる』や『東京卍リベンジャーズ』の新刊を超える快挙を見せました。
その後、スレッドに寄せていただいた作品を駆け足で見ていきました。
『光が死んだ夏』
『まじめな会社員』
『ホテル・メッツァペウラへようこそ』
『テンカイチ 日本最強武芸者決定戦』
『はじめラブコメ オガベベ』
『白山と三田さん』
『日本三國』
■最後に
会で名前の出た『なないろ探訪記』が後日の朝日新聞一面の広告にも掲載されていたそうです。
早速『運命の人に出会う話』を買ってキュンとしました、という方も。
こうしてどんどん素晴らしい作品を称賛する連鎖が生まれていくのは嬉しいですね。
今回は、複数人数での座談会形式ということで、いつもと違った感じでしたがまた新鮮さもあり、私自身も非常に楽しくお話させていただきました。
配信に参加してくださったお三方、またご視聴してくださった皆さん、どうもありがとうございました。
2022年もたくさんの名作が現れると思うので、存分に読んで、語って、輪を広げていきましょう!
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たくさんの作品に触れることができ、2022年の開幕にふさわしい素敵な会となりました。
さて、2月のマンバ読書会は「いい冬を描いたマンガ」です!
春が来る前にみんなで冬のマンガの魅力を語り尽くしましょ〜!
それではまた次回〜!