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【過去レポート】第2回マンガプレゼン大会2018を開催しました!
いよいよ『平成マンガを振り返る会』の開催が明日に迫ってまいりました。(参加連絡はこちらから!)
それに先駆けまして「マンバのイベントってどんな感じなの?」っていうのを知っていただければと思い、昨年のイベントの様子をまとめてみました。
参加お悩み中の方は参考にしてくださいね〜。
※以下の記事はマンバスタッフブログにて2019年1月7日に公開したものを一部改定したものです。
2018年12月15日、渋谷マンガサロン『トリガー』にて、マンガプレゼン大会が行われました。
制限時間5分という限られた時間の中で己の推すマンガをプレゼンし、「誰のプレゼンが一番その作品を読みたくなったか」を競う「マンガプレゼン大会」。
今回のテーマは「今、私が一番推しているマンガ」でした。
会場のマンガサロン『トリガー』が年内で営業終了となるということもあり、今回は2018年の終わりと共に最後のお祭的な意味合いも込められての開催となりました。
そして、前回に引き続き今回も多種多様な作品が多大な熱量を持って紹介されました。
その様子の一端をお伝えしていきます。
1.『スローニン』
トップバッターのワタナベテツオさんが紹介したのは『湘南爆走族』や『荒くれNight』などでも有名な𠮷田聡さんの『スローニン』。
ワタナベさんがラグビーに興味を持つきっかけになったマンガだそうです。
しかし、
「ラグビーに興味がある方は『オールアウト』を読んでください」
とのこと。
「一夏の青春の物語」
「フィジカルな『ジゼル・アラン』」
「『夢持ってる人間がいて、そのヒトがそれを貫こうとすれば………だれか一人まわりに迷惑をかけてしまう相手があるもんよ』など、社会に出るに当たって良いセリフが一杯ある!」
と『スローニン』ならではの作品の魅力について語っていきました。
内藤泰弘さん、宮崎駿さん、安西信行さん、村枝賢一さんなど大御所の推薦コメントも引用。
最初だったため、5分という時間の短さに対する配分の難しさも感じ取れましたが、上手く時間内にまとめてくれました。
2.『村井の恋』
二番手の妹尾さやかさんが紹介したのは、島順太さんの『村井の恋』。
何と、イベント当日のこの日にちょうど1巻が発売した作品という、タイムリーな選書です。
「田中先生と結婚するためなら俺は家康をも越えて行く!」
など、キャラとセリフに非常にパワーのある『村井の恋』の魅力を丁寧に一つ一つ解説して下さいました。
「村井はラブコメをバトルマンガに変えるというマンガ界史上最強の奇跡を起こしたのです」という、印象に残るシーンを説明するキメ口上。
観覧者に、贈呈用のコミックスまで用意して頂いていました。
3.『無能の人』
三番目の発表者であるにゃんたんさんは、つげ義春さんの『無能の人』。
まず、知らない人のためにつげ義春さんやマンガ雑誌ガロ、代表作『ねじ式』の紹介から入っていきました。「ダメな人を描くのがすごく上手い人」と評します。
漫画家に嫌気を刺して色々な仕事をして、奥さんと息子に反対されながら最終的に多摩川で拾った石を多摩川で売り渡る男を描いた『無能の人』。
それに対し、にゃんたんさんは「石」は「人生の夢」の暗喩であり、無能の人とは夢を叶える才能がなかった人ではないか、と評します。
こんな時代だからこそのつげ義春、という言葉に強い意思が感じられました。
4.『はびこる愛 ー関根美有傑作選ー』
四番手のヤツハシさんの紹介作品は、関根美有さんの『はびこる愛 ー関根美有傑作選ー』。
何と、ヤツハシさんが用意したのは今回のスピーカーの中でも圧倒的な最多となる100枚を超えるパワポ! ふんだんなスライドを用いて最初はマンガを人に薦めることがいかに難しいことなのかとうとうと説きます。
そして過去にトリガーで行なった注文「モノローグが良い」「手紙が出てくるマンガ」「優しい嘘」などを実例として挙げながら、そのすべてを満たせるのは『はびこる愛』であると力説。
トリガーに来るようになって久々に行ったコミティアで出会った「ママール・フ・モール、なりに」が運命の一作となった、とのことでした。
「(主人公の男に)感情移入をしないように」というモノローグから始まる本作に、感情移入できるマンガが良いマンガだと思っていたのでドキッとさせられたという経験が語られ、その他の収録作の魅力についても触れて行きました。
5.『弟の顔して笑うのはもう、やめる』
プレゼンの最初に、ベストスピーカーになるのとは別に「今日の勝利条件」を掲げ、「会場で誰もこの作品を読んだことがなければ自分の勝利」として、神寺千寿さんの『弟の顔して笑うのはもう、やめる』を紹介して下さったのは、前半最後のスピーカーとなるソゴールさん。
松文館から紙の単行本として出たのは三年間でこの作品のみというレアさで、会場の並みいるプレゼンターたちを含めた聴衆の中に読んだことのある人は誰もおらず、見事に勝利条件を達成されていました。「会場には紙の本派も多く、電子書籍限定の作品の方が知られていないのではないか」と読み切っての巧い選書でした。
作品内容として義姉弟の間の絶妙な関係性と、もう一人登場する重要人物との間で織り成される物語の魅力を具体的なシーンを複数例示して説明されていました。
6.『土竜の唄』
ソゴールさんのプレゼンが終わると10分間の休憩に。
その休憩時間中に、会場に笑い声が起こると共に異変が起きます。
この日最もユニークな紹介を行ってくれたのは、前半最後のスピーカーとなったカネコシュンさん。
何と、普段は芸人をしており、漫才の相方でもあるペッパー君を用いての人間とロボットによるマンガプレゼン! 『機械仕掛けの愛』が現実になったような世界観でした。
30kg以上あるペッパー君を自力で運んで来たカネコさんは、「本日も色んな人に盗撮されて来ました」「プレゼン時間は5分だが、ペッパー君がもし途中で止まると再起動に2分以上かかるので心配」と様々な苦労を語っていました。
そして肝心のプレゼンでは、ペッパー君が「ぼくドラえもんです」と大山のぶ代さんの声で自己紹介を行う掴みから、「本日は『土竜の唄』を紹介したいと思います」「土竜の唄 レビュー 検索」などのボケを軽快にかまして行きます。
笑いだけではなく、「兄弟が飛べねぇって言うんなら、オレが兄弟の羽になる!」といった名言のある『土竜の唄』の熱さを、「コンビでやっているので、二人とも好きなマンガを用意しました」という熱い理由と共に紹介して下さいました。
7.『灼熱カバディ』
裏サンデー・マンガワンをこよなく愛するのれん雛さんが紹介したのは、武蔵野創さんの『灼熱カバディ』。
カバディがどれくらい知られているか街頭インタビューをしたところ「カバディカバディ言ってる」「伝統的な踊り?」「銀魂の山崎がやってた」などの反応で知名度が非常に低いので、まずカバディの紹介から入ります。
カバディを知らない主人公視点だからこそ知らない人も楽しめる作品であり、「日本カバディ界の救世主」であると断言。
「すげースポーツ選手が見たけりゃ金を払うし、遠くにだって足を運ぶ。労力を使うモンだろ。俺にとってはその対象が佐倉(お前)だっただけだ」
というシーンを例示して、マンガ好きならマンガのためにお金を払うし遠くに行くし労力も使うという点で共感できるのでは、と共感性の高いセリフや魅力的なキャラクターとその関係性が良い王道スポーツマンガとして『灼熱カバディ』を紹介してくれました。
8.『AIの遺電子 RED QUEEN』
プレゼン用のスライドを用意している人が多い中、マイク一本で勝負して下さったのはつうさん。
紹介作品は山田胡瓜さんの『AIの遺電子 RED QUEEN』。
世界人口の一割がヒューマノイドで人権もある世界で、人間至上主義とAIの方が優先されるべきという主義が対立する世界観の説明から入り、押井守監督に脚本家に起用したいと言わしめたほどの魅力的なストーリーの魅力を語っていきます。
前作『AIの遺電子』との関係性はいわば『ドラえもん』と『大長編ドラえもん』の関係性であると分かりやすい説明がなされ、世界観を理解するためには前作を読んでいるのがベターだが『RED QUEEN』の方から読んでも問題ないと主張してくれました。
『ヴィンランド・サガ』や『プラネテス』のエッセンスもあるという言葉も。
9.『メイドインアビス』
自ら物騒な名前であると言い、ひと笑い取ったyoudie(ゆうだい)さんが紹介して下さったのは、いわく「可愛い少年少女と不思議な生き物たちがいっぱい出てくるわくわく穴もぐりマンガ」である、つくしあきひとさんの『メイドインアビス』。
youdieさんが最初に『メイドインアビス』に惹かれたのは表紙の眼鏡娘(ヒロインのリコ)の可愛さで、「ナナチは性癖宝箱」といったパワーワードも飛び出します。40時間かけてかかれたアビスの絵など、アビスの底のようにディープな裏情報も交えて謎多き魅力的な世界について語ってくれました。
そして、まさかの二作品目として『神々の山嶺』もあわせて紹介。作者のつくしあきひと先生が参考にした前身となる極限状況など、二作品の共通点も指摘。
作品の布教的な宣伝も行いつつ5分ピッタリで綺麗にプレゼンを締めてくれました。
10.『駆けろ!大空』
トリを飾って下さったのは、色々な物を連想させるSF的なバイザーで登場したせとゲノムさん。
「『駆けろ!大空』の雷の演出」という変わった切り口のテーマで語って下さいました。
マンガの美点は
・日常ではなかなか起きないことが楽しめる
・視覚的に楽しめる
・アニメとは異なり最も効果的な一瞬を作者が切り取ってくれる
といった点であり、それらを集約するとすなわち雷では!?と自論を展開。
『駆けろ!大空』はコロコロコミックの作品で単行本は手に入りにくいですが、作者の好意によりマンガ図書館Zにて全話無料公開されているので、興味がある方はぜひ読んでほしいとのこと。
最後にはまさかの次回予告もあり、次回があれば「『中華一番!』に出てくる一発で悪い人だって分かる顔」というテーマで語って下さるそうで、会場に笑いをもたらしながら最後のプレゼンを締めてくれました。
全ての発表が終わると、投票タイムへ。
「自分に投票してもOK」というルールで、誰が優勝してもおかしくない内容でしたが……
ベストスピーカーは『村井の恋』を紹介した妹尾さやかさんに決定!
妹尾さんおめでとうございました!!
『スローニン』で始まり、『駆けろ!大空』で終わるというこのイベント以外ではまず起こりえないであろう独特の選書センスが光ったこの日のマンガプレゼン大会は、大盛況&大好評の内に終わりました。
紹介された作品はどれも面白いので、ぜひ気になった作品には触れてみて下さい。
また、今後もマンガプレゼン大会は開催予定ですので、次はあなたがベストスピーカーを狙ってみてはいかがでしょうか。
《2018年プレゼン大会作品リスト》
1. 𠮷田聡『スローニン』
2. 島順太『村井の恋』
3. つげ義春『無能の人/石を売る つげ義春作品集 14巻』
4. 関根美有『関根美有傑作選 はびこる愛』
5. 神寺千寿『弟の顔して笑うのはもう、やめる』
6. 高橋のぼる『土竜(モグラ)の唄』
7. 武蔵野創『灼熱カバディ』
8. 山田胡瓜『AIの遺電子 RED QUEEN』
9. つくしあきひと『メイドインアビス』
10. かとうひろし『駆けろ!大空』
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