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「回転銀河4巻」より第14話百花繚乱 海野つなみ

信頼する百合ソムリエさんから「片思い」をテーマに読んでみない?と薦められた一冊。

逃げ恥で話題になった海野つなみさんの作品で、当時は私も恋ダンスを踊り狂ったクチであり、全国をときめかせた作者が百合も描いていらっしゃったなんてちょっと意外だったし、嬉しかった。
(正しくは、14話の百花繚乱というお話が百合もので、他にも素晴らしい短編が詰まったオムニバスです)

ついエンターテイメント性の強い百合作品にばかり触れていると忘れてしまいがちだが、隣にいる誰かを想うということは、現実にはこの物語にあるような矢印がどこにも悲しいほどに向き合わないすれ違って消えていく想い……すなわち「片思い」というが”普通”なんだと思う。

私の持論(?)で恐縮だが、人生の中で本当に好きになった人とは結ばれないと思っている。
そのたった1人の影や香りを追っているうちに結ばれる人が運命の人であり、現実は案外ケチだよなと舌打ちをしたもんだ。

蛇足だが、確かに好きで好きでたまらなかった、魂の片割れだという人と添い遂げた人もいるだろう。
そういう人は前世で村の洪水を止めるために人柱になるなど、徳の高い人だったんだと思う。この世で誰よりも幸せになってほしい。

そんな皮肉を、なんと切なく優しい物語にしたことか。
さすが逃げ恥。恋愛作家の仕事って、こういうことかと関心させられました。

他の短編も素敵でね。
クエーサーという短編は百合ものではないけど凄まじい話だった。いい一冊でした。他の巻もぜひ拝読させて頂きたいと思いました。
ごちそうさまでした。

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