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「ripple」 青木俊直
波美(なみ)と美波(みなみ)という名前の2人の女の子の恋の物語。
2人の名前もそうなのだが、海や波、波紋、涙、雨などなど、様々な水のモチーフが登場する。
それが表し難いこの時期の独特な概念を2人の心模様として視覚的にわかりやすく表現してくれており、すごい工夫だなと度肝を抜かれた。
シンプルな絵が素直でまっすぐな2人の恋にとてもマッチしていて、なんておしゃれな漫画だと思った。
この物語は心に不純なものが何もなくて「この時期だけトトロに会える」といった感覚で、この時期だけに出来る種類の「恋」だと思う。
大人になりかけたある一定の時期、こういう女の子に出会うことがある。
一目見ただけで親友になるであろうと解る女の子。
気に入るという表現がわかりやすいだろうか。
ほかの子たちとはちょっと異質で、その性質を生かして、自分の中のもう一つ内側へ侵食してきてしまう種類の女の子。
私は何人かそういう子たちに会ったことがある。
波美と美波のような恋愛にこそ発展しなかったが、まわりの友人たちに夫婦のようだとからかわれた。そのくらい、いつもずっと一緒にいて自分の分身かと勘違いするほどの仲良しだった。
そう、なかよしだったのだ。
みんな元気かな。
クラス替えだったり、卒業だったりを機にそれ以来会っていない。
多分、今あったら普通の古い友人だ。
昔話が楽しく出来るだろう。
あの頃の私とあの子だったから波紋のようになれた。
これは、郷愁?
私も女子校出身なのだ。ノスタルジーな一作でした。
ごちそうさまでした。
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