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サンストーン ステファン・セジク

一時期ツイッターで話題になっていて、ずっと気になっていた作品。
百合塾でこの本をオススメされた人自ら貸してくださいました。本当にありがとうございました。

しかし、私はずっと思っていたわけです。
アメコミで百合!?成立するのか!?

私の知る限りのアメリカの百合って、ミュージカル「RENT」(今年の夏も来日しますね!観に行きたいなー!)のジョアンとモーリーンとか、ドラマ「glee」のサンタナとブリトニーとかくらいなものなのだが、その辺りも百合というよりはレズビアンの恋の話なんだよなあといった感じでして……。

アメリカの百合だなあと思っているのは、これもミュージカルで「ウィキッド」。劇団四季が何度も再演しているので、日本でもお馴染みだと思います。これはいい百合ですね、ウィキッドはいつかじっくり記事にしたいと思っております。あ、アナと雪の女王も美しい姉妹百合かな。

……そう考えると、別に国とか関係ないな。
成立するもなにも、百合ってどこにでも普通にあるものだな。


そんな中「待って!閉じないで!これは、ホットなレズビアンのボンテージセックスを描いた本よ」と、こう来られるわけですよ。

こりゃ、強めのレズじゃあ。

私の中の千鳥ノブが覚醒。しかし、この声に出して読みたい日本語は、この本の煽り文句ではなくヒロインの一人リサが私小説にしたためる言葉なのである。んもう、衝撃。

私、百合に関しては本当にウブなんです。SMもよくわからないし、ボンテージもキレイだとは思うけど自分がやってみようとは思わない。

なので、なるべく背伸びせず感想を書いていきたいと思います。

……なんてね、結構身構えてページをめくり始めたわけですが、読了してみるとそんなもの杞憂に終わりました。

アリーとリサはとにかくこのような万人には理解され難い趣味を持っただけの、ごく普通の女性。
その二人が、趣味のSNSで出会い、お互いを分かち合っていくその過程が本当に本当に、中学生の純粋な恋愛を見ているようで愛おしいのです。

本当は嫌な思いをしてるんじゃないかしら、こんなものを用意してみたけど気に入ってくれるかしら、変じゃないかしら、嫌われないかしら……。
お互いに相手の気持ちを慮って、勝手に落ち込んだり心配したり。そんなことを繰り返し繰り返しの日々。

そしてとうとう実際に出会い、ことに及ぶ時の喜び、嬉しさ、恥じらい、そういったものの爆発がアメコミのオシャレで美しい絵で存分に描かれていて、語彙失いますが本当に、ただ、美!!

この迫力のある絵でありとあらゆるエロい世界が描かれているのかと思いきや、事前事後の心の機微などの方が丁寧に描かれていて、エロ目的の人にはもしかしたら「思てたんと違う」的な印象になるかもしれませんね。

人と簡単に分かち合えない種類の孤独を持ち寄って、優しくしあえる存在に出会えた時の喜びと戸惑いがものすごくみずみずしく描かれており、二人がじゃれあって眠るシーンは感動すら覚える。

こりゃ、ええ百合じゃあ。
私の中の千鳥ノブが胸をなでおろして、優しく微笑んでおりました。

しかし、アメコミをちゃんと読んだのは初めてだったのですが、やっぱり日本の漫画とは質が違いますね。迫力がある。なんだかリアル。ああ、私、今本を読んでるんだったって時々驚くの。こんな感覚初めてです。

リサがちょっと何か物思う時に下唇を噛むクセが印象的に描かれているのですが、とっても可愛い。アリーの後頭部を掻くクセとか(これがなかなかセクシーでツボでした)、こういうさりげない動きの描写も細かくて、何度も読める。
あるいは絵だけをぼーっとずっと観ていられる。そのくらいキレイ。

まだまだ続くみたいなので、これからも楽しみな作品が増えて嬉しいです。
あとがき漫画やイラスト集もたっぷりで読者サービスも満載。

数々の新しい世界との出会いをさせていただいた一冊でした。

もうすぐ2巻が出るとのこと。気になる伏線もまだまだあるので、本当に楽しみです。

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8・1追記

サンストーン2巻読了。
……本当に、心というものをこういう角度から切り取り表現する世界というものがあるのかと。その凶暴さと美しさにめまいがする。

アリーの傷が愛おしいよ。
リサ、唇噛む癖エロ可愛いよ。

ええ百合じゃあ。

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