
すべてが愛おしい景色になる日まで
全日本フィギュアスケート選手権、4日間、観戦に行ってきました。初出場の果敢な挑戦、引退生の全日本ラストステージ。みんな違って、みんないい。スケートを見るたびに沸き起こる想いです。
そんな中、推しはこんな目標を掲げていました。
全日本まであと11日❄️男子No.17
— 【公式】フジテレビスケート (@online_on_ice) December 12, 2021
✨山本 草太(やまもと そうた)✨
21歳/中京大学
「自分にしか出せないスケートを、
全日本の舞台でたくさんのお客さんの前で見せられたら、最後まで滑り切れたら、僕は幸せかな、と思ってます。」
今年こそ‼️🍀⛸🧖♂️#figureskate #中京大学 #スケーターとつながろう pic.twitter.com/PB2fDuuHpI
最後まで自分らしく。滑り終えた後、幸せに包まれてほしい。彼の願いがかないますように。きっとできるよ。と祈りを持って会場へ向かいました。
SP前日の公式練習でステップが改良されていることに気づき、1ヵ月前に見たワルシャワ杯よりさらに進化していて、あまりのエモーショナルな振付に、公式練習の段階でもう胸がいっぱいになるくらいで、翌日への期待が高まりました。
心の壁のようなものを取っ払い、飾りの一切を削ぎ落とし、自らの内面をさらけ出す覚悟のようでいて……
7月末のアイスショーで初めてSPの演技を見た時の感想です。スマホのメモに残っていたのですが、その覚悟がさらに強くなっているように感じました。あふれる感情が音楽にのって、見るたびに感動を増す、彼の代名詞的プログラムに昇華されていく瞬間は、すぐそこまで来ていると思いました。
❄️全日本フィギュアスケート選手権❄️開幕前日の12月22日まで😳#FNNプライムオンライン @リンクサイド⛸ でフィギュアスケート取材班が独自取材🎤した選手情報を毎日投稿📖
— 【公式】フジテレビスケート (@online_on_ice) December 13, 2021
2️⃣日目はケガからの復活、そして成長へ🔥悔しい思いをした全日本でリベンジを誓う山本草太選手🕺✨https://t.co/wOXD3F0u9m pic.twitter.com/ncyfqINPPn
本番、笑顔の先生に送り出されてリンクの中央へ。ジャンプやスピン、進化したステップ、すべてが美しく、強く、エレメンツひとつひとつへの拍手の熱量がどんどん高まっていくのを肌で感じました。滑り終えるやいなや場内スタンディングオベーション。私は「歓声が降り注ぐ景色」を人生で初めて見ました。きらきらしていて、幸せに満ちたあたたかな空間は忘れられません。
#山本草太 93・79点でSP4位発進「自分らしく最後まで滑ることができた」 https://t.co/qOh6ETy1x3
— Sponichi on Ice (@SponichiF) December 24, 2021
そして1日空いてFS。こちらも公式練習で見たところ、ラストのコレオが手直しされて、さらに曲の壮大さにのって、彼のスケートが際立つ振付に進化していました。この短い期間でどんどん魅力を増していく姿は、とても頼もしかったです。どうか、最後まで自分らしくと祈る思いで迎えた本番は、SPのようにはいきませんでした。
全日本男子FS 山本草太選手「4回転の失敗は自分の中では仕方ない。練習通りが出たと思う。アクセルをパンクして、後半の構成を変えてリカバリーしようとしたけれど失敗した」「今年は大きく成長できたと思ったけれど、また最後の試合を気持ちよく終われなかったのがちょっと残念です」
— フィギュアスケートLife (@fskating_Life) December 26, 2021
SP・FS両方を揃えるのは本当に難しい。同じジャンプでも曲や振付が変わると、全然違うものなのだなと素人ながら思い知らされました。
ただ、ジャンプがはまらなかった中でも、プログラムの世界観は壊れなかった。最後まで自分らしく、攻め切った。予定構成を変えて、失敗したアクセルジャンプを再度跳びに行く軌道に入った時、0.01点でも積み上げる、もぎ取る、という強い気持ちは失われてないとわかり、爪が食い込むほど両拳を握りしめて、リンクを見つめていました。
さいたまスーパーアリーナの天井席から見たラストのイーグルは雄大で、体中から「これからも僕はいるよ」と叫んでいるようで、SPとは違った忘れられない景色となりました。
2021年1月から約半年間ひとりで練習してきて、今のクラブに移籍して、7月末のアイスショー直前に今季のプログラムができた……その時のエピソードを思い出しました。
ようやく新たな拠点が決まった。この時点で既に7月に入っており、出演が決まっていた「THE ICE」(7月31日~8月1日)が迫っていた。時間が限られている中、樋口美穂子コーチに新しいプログラムと振付をお願いしたが「練習する時間ないんじゃない?」と返ってきた。それでも頼み込み「それならSPだけ。フリーは長いし慣らすにも時間が掛かるから」と樋口コーチに言われても、首を縦に振らなかった。「今シーズン、SPとフリー両方で美穂子先生の振付で戦いたいです」。強い言葉に、笑みを浮かべた樋口コーチは「その強い気持ちがあれば大丈夫」とGOサインを出してくれた。
困難な道であることは承知の上で、この道を歩む決意をしたんだな。先生たちも一緒に戦う覚悟を決めてくれたんだなと。そう思うと、めちゃくちゃカッコいいな!って思います。今季は五輪シーズンというとても大切なシーズンではあるけれど、もっと先をも見据えているのかなと、またまた素人ながら思ったり。
実はFS表彰式が終わった瞬間、耐えられなくなって人目をはばからず、年甲斐もなく泣きました。泣きながら駅へ向かいました。すぐに駅構内に入れずベンチに座っている間も、ずっと涙が止まらなくて、こんなに胸が苦しく、悔しく、直接会ったこともない、ただ一方的に応援してる人のことで、あんなに泣いたのは初めてのことでした。
2019、2020年も悔しいなという感情はあったけど、泣けなかった。今年の悔しさは去年までのものとは全然違う悔しさだった。
試合が終わった翌々日、まだ前を向ききれず、胸の奥のトゲが抜けないもどかしさを抱えていたのを察してくれたかのようなタイミングで彼のSNSが動きました。
全日本選手権が終了しました。
— 山本草太 Sota Yamamoto (@so_ta0110) December 28, 2021
もっと強くなりたいと心の底から思えました。
いつか報われる時が来ると信じ、腐らず頑張り続けます。
沢山の応援本当にありがとうございました!
なんて強い人なのか。応援してるはずが、いつもこちらが励まされてしまってる。何度転んでも、何度つまづいても、立ち上がって前へと進んできた姿を思い出させてくれた。立ち上がるたびに強く美しくなって氷上に立ち続けているじゃないか!忘れてたわけじゃないけど、はっきり言葉にして出してくれたことは、めちゃくちゃ効きました。私の胸の奥のトゲを吹き飛ばしてくれるような、強くなった姿を次の試合で見せてくれると信じています。
それでも5日経った今もまだ正直この感情を整理できずにいます。見ると苦しくなるワードや写真はそっと早送りしてしまう。心が狭いというか、大人じゃないな、とも思う。FSはまだ映像を見られない。そういう自分にまた別のところで落ち込んでしまう。
ただ、ひとつ言えることは、歓びも悔しさも、この感情はすべて推しがくれたものだと思うと、今はまだちょっと辛いけど、きっといつか「あんな日もあったね」と言える日が、すべての感情が愛おしいと思える日が来ると考えられるようになりました。
今こそ原点に立ち返り、彼が選んで進む道を、遠くからだけど追い風になるような応援を心がけながら見守っていきたいと思います。「応援ありがとうございます」と言ってくれる彼の心根に恥じない自分でいなくちゃと。
新しい自分を見せたいと作ったふたつのプログラム。試合を重ねて今ではもう彼の代名詞プロといっても過言ではないSP「Yesterday」。静かな情熱が最後のコレオで解放され、曲の雄大さを超えていくようなFS「これからも僕はいるよ」。今季(まだ後半残ってるけど)新しい景色をたくさん見せてくれたふたつのプログラム。まだまだ見ていたい、進化していくと確信できる、特にFSは完成形を見たいと願ってやまないです。
#フィギュアスケート
— 4years. (@4years_media) December 17, 2021
もうすぐ #全日本選手権 です。ワルシャワ杯優勝で弾みをつけた #中京大学 の #山本草太。コーチを変更し新たな一面を見せています。「試合に集中してベストを目指したい」と語りました。(9月の記事より)
※記事から選手へ寄付・応援を届けられます。https://t.co/HUbMUgYDbE
それにしても選手たちは本当に難しいことを極限の状況のなかでやっている、難しい技術と美しい世界を両立させているんだなと。SPの後のインタビューで、極限の状況の一端を垣間見たような、全日本がどれだけ大きな舞台なのかということも改めて思い知らされました。
#山本草太
— 𝓕𝓲𝓰𝓾𝓻𝓮𝟹𝟼𝟻 (@figure365) December 24, 2021
「直前のウォームアップから緊張して呼吸も荒くなり、大丈夫かなと心配になりましたが、トレーナーさんと整えて、それでも直前まで緊張していた。時間ギリギリになってしまい、ダッシュでリンクに向かった時に、自分らしい気持ちに戻れた。それが今回リラックスして自分らしくできた要因」
そんな心理状態を乗り越えて、あの歓声が降り注ぐ景色を見せてくれたのだから、もっと強くなれる。この大舞台で得たかけがえのない経験は、次のステージへ進んでいく糧になる。手にしたものは確実にある!と思いました。
推しはとても剛直で麗しい人だなと思います。スケートも人柄も。会場でバナーを振る時、誇らしい気持ちとともに、背筋が伸びる思いがします。推しに恥じない自分でいたいと、バナーを振るたびに思います。

2021年。草太選手にしか出せないスケート、しっかりと見せていただきました。新しい景色をたくさん見せてくれてありがとう。スケートに向き合う姿に、いつも力をもらってます。素敵なスケーターがたくさんいる中で、私の心を震わせ掴んで離さないのは、あなたのスケートです。
新しい環境で新しい先生たちと新しい種を蒔いた2021年。
2022年が大輪の花を咲かせ、幸せに包まれる年になりますように。
どんなときも、いつだって、ここから応援しています。