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『9人の翻訳家』『海辺の途中』『三島由紀夫 VS 東大全共闘 50年目の真実』『影裏』

『9人の翻訳家』

1月30日

シネクイントで『9人の翻訳家 囚われたベストセラー』鑑賞。確かに内容はミステリー風味でおもしろいんだけど、なんかパンチが弱いというか。でも、いろんな国で違うver.が作れそう。
『ダ・ヴィンチ・コード』四冊目出版される際に遂行されたというあるミッション。それが待望の新作を世界中のファンに同時に届けることであり、海賊行為や違法流出を防ぐために、著者ダン・ブラウンの同意のもと、アメリカの出版元が各国の翻訳者たちを秘密の地下室に隔離して翻訳作業を行ったというどう考えてもヤバい実話を元にした作品らしい。
創作とはなにか、人間の尊厳とはなにかというそのミッションに対して監督からの怒りの抗議のような内容にも思えた。

『海辺の途中』

2月10日

仕事中にポン・ジュノ監督『パラサイト 半地下の家族』がアカデミー賞作品賞など四冠のニュースを見る。ほんとうにめでたい! 同時に日本の映画業界のことも思う。システムを変えるしかない、でも、この快挙を見て奮起する人たちもたくさんいるはずだ。僕らは観ることで応援もできるし、クソみたいな社会に対するためには衣食住は当然ながらも、芸術は必要なんだ。権力に抗うための武器としての芸術を娯楽を。

左から富田未来監督、遠藤史也さん、坂田秀晃さん、大浦美蘭監督、大根田良樹さん、外山文治監督

仕事が終わってからアップリンク渋谷にて『見逃したMOOSIC LAB 2019+』をば。『ビート・パー・MIZU』『Afterimage』『海辺の途中』三本立て、それぞれ三十分ぐらいだった。

観たかった外山監督『海辺の途中』をようやくスクリーンで。兎丸愛美さんが出演している作品。とても静かなのに深いところを震わせてくる内容で、三作品で比べると作品のレベルが突き抜けていた。兎丸さんどんどん女優さんになっていっているし、いい作品に巡り合っている気がする。リスカのある風俗嬢の役だったんだけど、脱ぐ役でなくてもいいのになあって思ったりもした。陰のある役じゃない笑ってる感じも素敵なんだけどなあ。

『三島由紀夫 VS 東大全共闘 50年目の真実』

2月13日

『三島由紀夫 VS 東大全共闘 50年目の真実』試写に。はじめてきたよ、GAGA試写室。家から歩いて一時間二十分ぐらいだが、以前赤坂見附でバイトしてるときには青山通りを自転車で通勤していたので通っていたので場所は把握していた。青山墓地にすぐのところなんだよね。
三島と東大全共闘のやりとりでは知的であるということはユーモアと色気があるということを強く感じた。めちゃくちゃおもしろいのでオススメ。公開は三月二十日。僕らぐらい下の世代が観てもわかるぐらいには説明あるので、上の世代からすると説明しすぎと感じるかも。言葉でしか世界を作れないのだ、と三島由紀夫は言っているのが印象的だった。
三島由紀夫が学生に対して非常にフェアで魅力なんだが、東大全共闘の芥正彦さんも途中から三島より気になる存在感だった。知的なゲームにすら見えるようなやりとり、向き合い方、言葉による対話ができた最後の時代だったのかなあ、とも思えなくもない。
観終わったら現在70歳過ぎている芥さんも観にきていらした。同じ試写を観に来てたV6の井ノ原さんと芥さんが話をされていた。

『影裏』

2月16日

曇り空の中、歩いてヒューマントラスト渋谷に向かう。大友啓史監督『影裏』を鑑賞。原作小説は一応読んでいた。たぶん今公開中の今泉力哉監督『his』と呼応してるんじゃないかなってことだった。『his』は観れていないけど、同性愛を扱っているというのは知っている。映画『影裏』は小説読んだときにあったその雰囲気みたいなものがより前面化していた。実際の人物が演じてスクリーンに映れば、その関係性や互いの雰囲気でより気配は濃厚になる。
大友監督は『龍馬伝』とか映画『るろうに剣心』を手掛けている。男同士の死線のやりとりは友愛にすらなりえるのかもしれない。そして、その先を今回は原作を使いながらさらに向こう側に向かった感じがした。大島渚監督『御法度』でデビューした松田龍平を主役のひとりで起用してるとかも考えればそうだよね。綾野剛の撮り方も女性ファンへのサービスというよりはBL的な文脈で考えれば画的にはわかると思った。

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