『ジャズ喫茶ベイシー Swiftyの譚詩』試写&『ロングデイズ・ジャーニー この世の涯てへ』
3月10日
アップリンク渋谷にて『ジャズ喫茶ベイシー Swiftyの譚詩』の試写へ。
岩手県にあるジャズ喫茶のオーナー菅原正二さんのドキュメンタリー映画。だが、菅原さんやジャズの有名なミュージシャン(村上“ポンタ”秀一、坂田明など)たちだけではなく、様々なジャンルの人(小澤征爾、安藤忠雄、鈴木京香など)が出てくる。
70年代、80年代という菅原さんが若い時代に出会った師匠のような人たちや阿佐田哲也さんなどの著名な小説家などとの交流、そして音響へのこだわりをインタビューと音源で聴かせる映画だった。単純に渋くてかっこいい、ダンディーである生き様を観れた。最後のエンディングがちょっと長くないかなって思ったけど、音楽聴かせたい作品だから、ご愛嬌かな。
前に試写で観た『三島由紀夫 vs 東大全共闘』もだし、今作もだけどある種の知性というか色気みたいなものがあって、現在の社会ではこの二作品にあるようなものはどんどん失われていると思う。そういうものが淘汰されたのか、どこかに追いやられたのかわからないが意識高い系と自己責任論みたいなものに特化している人たちの言っていることはわからなくもないけど、結局知性からくる色気みたいなものが感じられないんだよなあ。
古き良きってこととは違うものなんだよな、きっと。
3月12日
ヒューマントラスト渋谷にてビー・ガン監督『ロングデイズ・ジャーニー この世の涯てへ』を鑑賞。最後の60分ぐらいから3D・ワンシークエンスショットの作品。
十数年ぶりに故郷に帰ってきた主人公のルオ・ホンウは亡くなった友人のことを思い出し、彼との出来事で知り合っていまだに忘れられない女性との出来事を反芻しながらも不思議な世界に迷い込んでいく物語。最後のワンシークエンスショットになってからは「夢」というかあちら側へ行っているような世界観を描いている。
僕は観ながらこれって「村上春樹」作品じゃんって思ったし、そこに『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』を合わせたような作品だなって思った。だから、中国の新鋭監督がこういう世界観を描いているのだから、村上春樹作品は中国でも売れるよなって思ったりもした。イメージが先行していく感じの映像だけど、あちら側に行ってからの卓球のくだりとか空を飛ぼうとするのとかわりと笑ってしまった。