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すずめの戸締まりを見てきました

 ここ10年、アニメで面白いと思えることがとても少なく感じてきました。
例えば「鬼滅の刃」は、すごくヒットしていて
確かに面白かったんですけど、もし今自分が10代とかだったら
もっと興奮して、面白く感じたんだろうなと思ったんですよ。
それがなんか勿体無くて。
本当はもっと感動して、周りの人と話したくて
盛り上がれたはずなのに
なんか乗り切れない。
自分もかなりのおっさんだから、これが年をとるということ
なんかなと寂しい気持ちだったんですよね。

 「君の名は」は面白かったけど、「天気の子」は
あまり面白く感じなくて新海誠監督でさえこれなら
「竜とそばかすの姫」なんて大惨敗ですよ。
あのガッカリ感と言ったらなかったなあ。
面白く感じた方すみません。
 ここ数年は、スポーツに感動をもらえることが多くて
村上選手の56号ホームランはすごく感動したし
仙台育英の甲子園優勝も感動しました。
駅伝も面白いし、ゴルフも面白い。
感動するという感情はまだ自分にあるのは
嬉しいことだけど、そのジャンルがどんどん狭められてきてるのかと
思うとこれはこれでほんと寂しいというか
危険というか
人生の折り返しに入ってきてると実感させられている思いがあるのです。

 そういうこともあって
「すずめの戸締まり」を見に行こうと妻に言われた時も
作品を素直に楽しめるかなと
不安な気持ちで鑑賞しました。
また面白く感じない自分を思い知って、ガッカリしてしまうんじゃないか
とね。
 そういう気分なんで、ネタバレは極力しないようにしてたので
主人公が、厄災を起こさせないようにするという
先日、テレビで見た部分だけの情報とどうやら東日本大震災に関わる
お話らしいという情報だけで席についたのでした。

 率直に言えば、最高傑作でした。
映画館に行くと新海誠本という冊子をいただけるのですが
そこに新海誠監督は、

観客が映画館から出た時に、その生が少しだけでも昂揚するといい

と企画書に書かれていましたが
本当に昂揚したんです。
映画を見ながら、笑い、悲しみ、嘆き、恐怖を覚え、愛を感じ、そして希望に満ちていました。
まさに生を感じたのです。

考えてみれば、私がエンタメを楽しめなくなった要因って
年齢のこともあるけど
元々のきっかけって
東日本大震災だったんだな。

 あの当時、私は某アイドルグループのファンで
そのころもいい年したおっさんだったわけで
そろそろこういう生活もきついなと思ってたところに
3.11が起きました。

 幸い、私の周りでは被害はなかったのですけど
そこには娯楽を楽しもうという感情が一切湧いてこなくなってしまった自分がいました。
翌日に某アイドルのコンサートがあって、もちろん中止に
なったのですけど
あの日を境に気持ちはすっかり冷めてしまったのです。
一応、その後もライブに行ってはみたのだけど
以前と同じような楽しいと思う感情は無くなってしまいました。
直接の被害がなくても、これですから直接被害を受けた方にとっては
想像したくない現実だったのです。

 その大災害を取り上げようと思った制作サイドの勇気は大変なものだったと思います。
私が見た回でもいらっしゃいましたが映画館を途中で退席する方もいると後から聞きました。
大勢の人から手放しで大絶賛はないかもしれません。
でも、この作品は見るべきです。

私を感動させてくれたからです。
これからも生きていこうと思わせてくれたからです。
あの日、失ったものを再びこの手に戻してくれます。

また、地震があちこちで起きています。
注意しようと思ってもできるものではありません。
ただ、毎日大切な人との挨拶は欠かさないようにしたいものです。

 

 

 

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