勉強力における、自信と興味と集中力の関係性
今回は勉強力の関係性に関する研究を紹介したいと思います。コロナ渦でひとりで過ごす時間が長く、なかなか集まって勉強することができないという人も多いのではないでしょうか。あらためて「勉強力」の重要性を強く感じます。
さっそくですが、本題に入っていきたいと思います。どうやったら、私たちはうまく学ぶことができるんでしょうか。
実はうまく学ぶことができる力(勉強力)というのは、研究で様々なことがわかっているのです。もちろん研究ごとに呼び方は違うのですが、私はざっくり以下の5つに整理して伝えています。
(1)自信コントロール : どれぐらい学ぶことに自信があるか。
(2)興味コントロール : どれほど学ぶ内容に興味があるか?
(3)実行コントロール : どれほど集中して学ぶことができるか。
(4)理解コントロール : どれほど深く学ぶことができるか
(5)持続コントロール : どれほど長く学ぶことができるか。
今回はそれぞれの関係についての研究を紹介したいと思います。今回ご紹介するのは、1999年に中学生449名に対して行われた調査です。ポイントを先に言ってしますと、それぞれのコントロールはつながっているんだよ、ということです。それでは、研究の概要です。
伊藤 崇達, 神藤 貴昭(2003)自己効力感,不安,自己調整学習方略,学習の持続性に関する因果モデルの検証 : 認知的側面と動機づけ的側面の自己調整学習方略に着目してhttps://www.jstage.jst.go.jp/article/jmet/27/4/27_KJ00003905691/_article/-char/ja/
本研究は,自己効力感,不安,自己調整学習方略,学習の持続性に関する因果モデルの検証を行うことを目的とした.自己効力感尺度,学習時の不安感尺度,認知的側面の自己調整学習方略尺度,自己動機づけ方略尺度,学習意欲検査(GAMI)の下位尺度である持続性の欠如が,中学生449名に対して,試験の1ヶ月前と1週間前の2回にわたり実施された.共分散構造分析によって検討を行った結果,以下のことが明らかとなった.(1)自己効力感が高いものほど,認知的側面の自己調整学習方略と内発的調整方略をよく用い,外発的調整方略は用いていなかった.(2)学習時の不安感が高いものほど,認知的側面の自己調整学習方略,内発的調整方略,外発的調整方略をよく用いていた.(3)内発的調整方略の使用は,学習の持続性の欠如と負の関連を示し,外発的調整方略の使用は,学習の持続性の欠如と正の関連を示していた.
いかがでしょうか。
簡単にまとめてみます。研究者たちは試験の前に中学生に調査をおこなったようです。
すると、勉強に不安を感じている人は「勉強終わったら遊ぶぞ」といったご褒美をよく利用し、勉強に自信がある人は利用しない傾向がある。しかも、ご褒美をよく利用する人は、集中力が切れがちである。また、勉強に自信がある人は、ご褒美ではなく、勉強の楽しさを大切にしていて、しかも集中もできちゃっている。ということのようです。
最初に紹介した整理的には、(1)→(2)→(5)のつながりです。知っているよという人もいるかもしれませんが、あらためて明らかになると面白いですよね。
(1)自信コントロール : どれぐらい学ぶことに自信があるか。
(2)興味コントロール : どれほど学ぶ内容に興味があるか?
(5)持続コントロール : どれほど長く学ぶことができるか。
やっぱり、勉強は気合いだけだとうまくいかないんです。「好きこそ物の上手なれ」ではないですが、今回の研究では(2)興味コントロールの効果が際立っていますね。
以上、「勉強力における、自信と興味と集中力の関係性」でした。