パリのマルシェ

私の住んでいる街の隣の通りは、毎週日曜日に大きな市場が開かれる。なんだかんだ日曜日は余裕なくて、今まで結局行けずじまいでいたのだが、今日になってやっと行けたのであった。

いやあ、圧倒されました。人々の活気がすごい。八百屋さんから、魚屋さんから、肉屋さんから、チーズ屋さん、ちょっと変わったのだとスパイス屋さんとかタジン料理やさんもありました。雑貨もたくさん売っている。何よりも驚きなのが、パリという大都会の日曜日の午前中にだけ現れて他の日にはすっかりと消え去ってしまうというところ。なんだか魔法のような気がする。

どれもこれもいい匂いで見た目も美味しそうなものばかりだったのだけれど、今日はある八百屋さんでトマトとじゃがいもとキウイを買って退散しました。本当はお肉かお魚か買いたいなあと思ったのだけれど、並んでいる人を見たらそれだけでいいわ、と思ってしまった。

生まれてからこの方商店街などというものとは無縁で、買い物といえばスーパーという選択肢しかなかった私からすると、このお店の人とお客さんの近さとか、魚を捌く手際の良さであるとか、商売トークだとかにいちいち驚く。じゃがいもを一袋頼んだら「自分で好きなのを取ってちょうだい」と言われるこのラフな感じもなかなか新鮮だった。

毎週日曜日の市場は、確実に人と人と交流を促進している場だなあと思って、自分の街にそれがないのがちょっと残念だと思ったのだった。加えて今日ほどに「私はパリに暮らしているのだ」と感じた日はない。しかし、そのおかげで観光客扱いされるのが嫌でカメラを取り出せなかった。そこにいる人たちにとってはこれは日常以外のなにものでもないのだ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?