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シンガポールに生きる女性たち:Melissa Lim(メリッサ・リム)さん

シンガポールで出会ったさまざまな女性の生き方をご紹介するインタビュー"シンガポールに生きる女性たち"。多種多様な人種がひとつの国で共生する多民族国家シンガポール。こちらの企画では、その中でも国籍や民族、育った環境など様々なバックグラウンドを持ちながら、何かしらの理由でシンガポールを選び、現在シンガポールで活躍している日本人以外の女性に焦点を当ててインタビューを行っています。

Melissa Lim(メリッサ・リム)さん 27歳
シンガポール出身・シンガポール在住

■職業・肩書き:Cr8・Director/ BiTS・Marketing Director/ Lady Boss・Co-Founder■これまで住んだことのある国(都市)と年数:シンガポール25年・ミャンマー(ヤンゴン)2年■話す言語:英語・中国語■家族構成:独身

シンガポールで生まれ育ち、世界的に有名なラクジュアリーブランドのマーケティングからキャリアをスタート。ミャンマーでの在住・起業経験を経て、現在は自身のマーケティング会社のほか、”Lady Boss Asia”というシンガポールで活躍する女性起業家のオンラインメディア・コミュニティの共同創立者もつとめるメリッサにお話を伺いました。

Mana(インタビュアー):今日はお時間をいただきましてありがとうございます!まずはじめに現在のお仕事について教えていただけますか?
Melissa:はい、現在私は自分自身の会社を中心に、大きくわけると3つの仕事に関わっています。一つ目は私自身の会社、”Cr8(クリエイト)”というマーケティングエージェンシーを経営しています。こちらの会社では、比較的従業員人数規模の小さい会社、オンラインショップのオーナーなどに対してブランディング・マーケティング活動を手伝っています。二つ目は、今のパートナーである彼が起業したB to Bのソフトウェアシステムのマーケティングを手伝っています。そして3つ目は”Lady Boss”というシンガポールを中心にした女性の起業家・ビジネスリーダーに関わるオンラインメディア・コミュニティの運営、特に私は共同創立者、クリエイティブディレクターの役割を担当しています。ソーシャルメディアでの発信のための記事やマテリアルを作ったり、メディア・コミュニティを運営するにあたってのパートナーを探したり、といった活動を主にしています。

Mana:ひとりで何役もこなしているんですね。

Melissa:そうですね。現在の仕事をする前にも一度起業したことがありました。彼が仕事でミャンマー・ヤンゴンに行くことになったのをきっかけに、私自身一度はシンガポール以外の国に暮らしてみたいと思っていたこともあって、一緒にミャンマーに移ることにしました。ミャンマーで立ち上げたのは、現地に暮らす外国人向けの家具のオンラインショップ"Wallfloors"です。自分自身が実際に生活をしてみて、好みの家具やホームデコレーションをするアイテムを見つけられなかったことをきっかけにそのビジネスを立ち上げることにしました。

Mana:ミャンマーでビジネスを立ち上げるのは大変ではなかったですか?

Melissa:そうですね、ミャンマーはそもそもインターネットの回線環境がよくないことが一番大変でした(笑)ビジネスを始める上では、父がもともと中国でビジネスをしている関係で家具のサプライヤーとコネクションがあり、それを利用することができたのは運が良かったです。またミャンマーでも知人が何人かいたので、そうした人たちの力も借りてスタートすることができました。ショップを立ち上げてからは、facebookページやグループを中心にマーケティングを行って、徐々に認知度を向上させていきました。そうする中で、ミャンマーに駐在する外国人には比較的知られているサービスを作っていくことができました。


Mana:現在そのミャンマーでのビジネスはどうされているんですか?

Melissa:正直なところ、ビジネスとしてあまりリターンがよくないこともあって、シンガポールに戻って来る際に、現地のパートナーに運営を任せてきました。現在でもショップ自体は運営されていますが、私自身は運営から離れています。

Mana:Melissaさんの仕事を始める前のことについて少し詳しく聞かせていただけますか。

Melissa:実はもともとポリテク(シンガポールの高等教育機関のひとつ)ではChemical Engineeringを勉強していました。でも正直なところ全然面白いと思えなかった。そこでKaplan(民間の教育機関。様々な大学等と連携して教育プログラムを提供している)を通じてオーストラリアのマドック大学でMarketing/ Businessを専攻することにしました。特にMarketingはとても面白く、その分野での仕事をしたいと思うようになりました。

Mana:起業する前の最初のキャリアは、どんなきっかけでどのような仕事をしていたのですか?

Melissa:今でもよく覚えているのですが、大学の試験の次の日にある会社から電話がかかってきました。当時、インターンシップ先を探していていくつかの会社に応募していました。そのうちのひとつの応募先だったカルティエから連絡があり、インターンシップの機会を得ることができました。連絡をもらった次の週、大学を卒業する前からインターンをしはじめ、その後は大学卒業後に社員として登用され、2年間カルティエのマーケティングで仕事をしました。

Mana:カルティエでの仕事はどうでしたか?

Melissa:とっても楽しかったです!20代・30代といった世代の近い女性が多かったこと、また誰もが知っているラグジュアリーブランドのマーケティングということで、イベントを運営したり、同じリッチモンドグループの他のブランドのマーケティングにも関わったり、本当に楽しい仕事・職場でした。

Mana:仕事内容も環境もとても充実されていたようですが、どうしてその仕事を離れることを選んだのでしょうか?

Melissa:確かに仕事も一緒に働く人もとてもよく楽しい環境でした。一方で、やはり大きな組織の中での仕事なので、自分の仕事の範囲が限られていること、また昇進するのに数年待たなければならないことなどを考えると、自分自身で自分の仕事をつくりたいという気持ちが徐々に大きくなっていきました。もともと、父も母もそれぞれに自分のビジネスをしているということも影響していたかもしれません。

Mana:そう考えていたタイミングで、彼のミャンマーへの引っ越しが決まり、自分自身もついていこう!ということになったんですよね?彼とはまだ結婚とかそういうカタチがないなか一緒に引っ越して、自分の仕事も変わる、というのは普通だったらすごく不安だと思うのですが、そのあたりはどう考えていましたか?

Melissa:そうですね、不安なことはたくさんありました。でも、もともとそろそろ自分で何かビジネスを始めたいと考えて、何のビジネスをはじめようかを考えていた。そんな流れの中で彼がミャンマーに引っ越すことになり、先にもお話ししたように、私自身も一度はシンガポールを離れて暮らしてみたいとおもっていた。まさかそれがミャンマーになるとはおもってなかったですけどね、ロンドンとかオーストラリアとか、そういう場所をイメージしていたけれど(笑)また同じようなチャンスが来ることはないだろうなと思い、このリスクをとってみようとチャレンジすることに決めました。なので”彼についていった”というよりは、自分がやりたいとおもっていたこと・欲しいとおもっていた環境を与えてくれる存在だったのがたまたま彼だった、という感覚です。引っ越しにあたって、彼が一緒だったので、家のことや生活のベースのことを心配しなくてよかったというのは、恵まれていたし、リスクがある中でもチャレンジしてみようと思えたきっかけになったと思います。

Mana:そういう理由だったんですね。お話しを伺っているとMelissaさんはとてもフットワークが軽いし、挑戦することをこわがらない性格のように感じるのですが、昔からそうだったのでしょうか。

Melissa:そうですね、確かに昔から新しい世界をみたり、自分のやりたいことをやりたい!という気持ちは強かったように思います。人生のいろいろなチャンスって、二度と同じものがやってくることはないと私は考えています。私自身はまだ結婚もしていないし、子どももいないので、そういう意味ではいろいろとフレキシブルに動きやすい状態。そういう状態でいられる間に、やりたいことはやっておこうとおもっています。生まれ育ったシンガポールにいれば、安全だし、清潔だし、快適な生活ができます。でも自分の住み慣れた快適な空間、confortable zoneから出て新しい経験がしてみたかった。そういう意味でミャンマーでの生活は自分の幅や視野を広げる大きな経験になりました。あとは、万が一うまくいかなかったら、シンガポールに戻って仕事を探せばいいや、とも考えていました。地理的にもシンガポールとミャンマーは飛行機で3時間の距離なので、何かあったらすぐに帰ってこれるし、とも(笑)

Mana:シンガポールには今年2016年のはじめに戻ってこられたんですよね?戻ってきたきっかけはなんだったのでしょうか?

Melissa:戻ってきたきっかけも、彼がミャンマーでビジネスパートナーと進めていたビジネスを、シンガポールで自分自身でするということになったのがきっかけです。彼が関わっているB to Bのソフトウエアビジネスは、ミャンマーではまだ若干時期尚早で、市場に広く必要とされるまであと数年はかかるだろうということがわかってきたこと、またシンガポールでもまだまだできることがいろいろあるということになり、シンガポールに戻るということになりました。

Mana:それでMelissaさん自身もシンガポールに戻って自分の仕事を始めるということになったのですね。

Melissa:そうです。ミャンマーで家具のオンラインショップをやっていたときに、どこからか私のショップの評判を聞いた会社から、オンラインのマーケティングやブランディングを手伝って欲しいという話をいくつかもらっていました。なので、シンガポールに戻ってからは自分の会社を改めてつくり、その会社でそうしたオンラインビジネスや小規模のビジネスオーナーのマーケティング等をビジネスとして手伝っています。

Mana:シンガポールに戻ってきてからの仕事でチャレンジングな部分はどんな点ですか。

Melissa:そうですね、先にもお話ししたとおり、自身の会社のビジネスはもちろんのこと、彼の会社のマーケティング、それにLady Boss Asiaでの仕事もあるため、どの仕事をどのように割り振って、効果的に成果を出すか、ということが今の一番の課題でしょうか。



Mana:日々のいまの仕事の一週間のスケジュールはどんな感じなのでしょうか

Melissa:一週間7日間あるうち、6日間仕事をしています。そのうち外出やアポイントは2日間にまとめて行っています。それ以外の日は自宅兼オフィスで作業をします。自宅での作業日は朝は遅め10時ぐらいから仕事をしはじめますが、夜は作業をしていて気がついたら朝方3時4時になっていることもあります。でも自分で仕事をしているので、仕事の合間にヨガにいったり、ネイルサロンにいったりしてブレイクタイムももちろんとります。週に一度の休みの日曜日は、普段一緒に暮らしていない母や妹といった家族と過ごすことが多いです。

Mana:OFFの日は何をして過ごしていますか

Melissa:そうですね、OFFの日はヨガやショッピング、あとはごはんを食べに行ったり、街をぶらぶらしたり。あと旅行が大好きなので、短い旅行でも2ヶ月に1度は旅行にいくようにしています。

Mana:仕事をするうえで大切にしているモットー、そしてこれからの仕事の目標やビジョンを教えていただけますか

Melissa:大切にしているモットーは“Design a life you life you love”です。みんな『自分自身が自分の人生のデザイナー』であるということ。社会の常識や、周りの人に言われることじゃなくて、自分自身がやりたいと思うことをやること、を私自身は大事にしています。ここから2年ぐらいは、いまの仕事、つまり自分の会社と彼の会社、そしてLady Boss Asiaのビジネスを大きくしていくことに集中したいとおもっています。2年後以降のことはその時の状況にあわせて考えていくつもりです。場合によっては、また他の国に移るということも考えています。自分の仕事は、ウェブ上でできることが多いので、そのあたりはまたフレキシブルに考えていきたいなとおもっています。

Mana:最後にこれを読んでいる日本人の女性のみなさんにメッセージをお願いします

Melissa:この記事を読んでくださっている日本の女性に伝えたいメッセージは”Believe in yourself -自分自身を信じること、また自分の可能性を信じて、自分のやりたいことを追求してください”ということをお伝えしたいです。もし特に自分のやりたいことがない、という場合は周りにいるやりたいことがある人のお手伝いをするのでもよいと思います。そして何よりも、いつもHappyでいること、が大事かなと思います。

Mana:Melissaさん、ありがとうございました!

いかがでしたでしょうか(インタビュアーあとがき):Melissaさんとは、彼女が共同創立者を務めるLady Boss Asiaのイベントにはじめて足を運んだ際に初めて出会いました。そのイベントは、私にとってシンガポールで初めて参加してみた女性起業家関連のイベントでした。当日のイベントには、国際都市シンガポールならではの、シンガポール人のみならず、様々な国籍やバックグラウンドの女性起業家やビジネスウーマンの方々が参加していて「そうそう、こういう場所に来たかったの!」と興奮したことを今でもよく覚えています。
Melissaさんのお話しを伺っていて、強く感じたのは、もっとフレキシブルに、もっと偶然を大切に生きてもいいのかもしれないな、ということ。彼女自身は、パートナーである彼が仕事の関係で引っ越すことになったことをきっかけに、彼女も住む場所を変え、仕事を変え、それをうまく自分がやりたかったこと、欲しかった環境を手に入れています。そして、万が一うまくいかなかったら、戻ってくればいいや、また別の仕事を見つければいいや、とも。私自身は、見える範囲の現実の中で、自分の将来のことを決めようとしがち。また失敗することを恐れることも多々あります。おそらく、日本で生まれ育ち生活する多くの女性もそういう部分に共感していただける方も多いのではないでしょうか。。Melissaさんのお話を伺って、私自身、もっと肩の力を抜いて、偶然起こること、そこから生まれる自分が想像すらしていない新しい可能性にオープンでありたいなと改めて感じています。

Girls Bee Onlineでは、同世代、もしくは近い世代の、日本人とは異なるバックグラウンドを持ったひとりひとりの女性がどんなことを考えて、どんな生き方を選んでいるのか、を様々なバックグラウンドをもった女性へのインタビューを通してお伝えしていきます。これを読んでくださっているたくさんの可能性をもった日本の女性のみなさんに、何か感じてもらい、それぞれの人生に取り入れられるよい部分を見つけてもらえたら、とても嬉しく思います。ご意見・ご感想等ありましたら、ぜひコメント欄もしくはメールでお知らせください。またGirls Bee Onlineではオンライン記事の寄稿等ビジネスコラボレーションも受け付けています。ご連絡は下記emailにてお願いいたします(Contact: girlsbee2010@gmail.com)

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