平和教育
今日の学び
先に言うと、この授業おもしろぎた!!(ので、2回受講しました笑。そのまとめ。)
平和教育とは?
「平和教育、すなわち平和の文化を推進する教育は、本質的に変革的なものである。平和教育は、暴力的な紛争を生み出したり、悪化させたりしてきた人々の考え方や態度、行動を変革するための知識基盤、技能、態度、価値観を養うものである。」(Loreta Navarro-Castro & Jasmin Nario-Galace, “Peace education: A pathway to a culture of peace, 2019)
➡︎平和教育とは「人々の考えや態度、行動の変革」
平和教育の目的(Harris I, “Peace education theory”, 2007)
International Eucation:世界市民として、お互いの文化の理解ができるように
Human Right Education :経済的・文化的・政治的正義のために
Development Education:構造的暴力などに気がつけるように
Environment Education:環境問題による経済的問題に気がつけるように
Conflict Resolution Education:ポストモダン社会においてコミュニケーションがきちんととれるように
この論文の中には、それぞれの国によって平和教育の捉え方が違うことも指摘されていた。
例えば、日本だと原爆について学ぶこと。韓国なら、朝鮮戦争について。アイルランドだったら、宗教戦争による相互理解。
このような平和教育を行うことで、紛争予防、紛争解決、非暴力社会の実現、相互理解、ヒーリングにつながるとされている。
平和教育をしたら、本当に「平和になるのか?」〜シエラレオネのケース〜
ざっくりシエラレオネの紛争について言うと、1991年に反政府勢力(RUF)がダイアモンド発掘に向けての政治的腐敗に対して、政府軍と武力衝突したことに始まる。一部のエリート層との貧困格差が大きく、特に、教育を受けても雇用がないこと(それによる貧困)に対しての不満が大きかったため、子ども兵の数が多かったとされている。
詳しくは、以下の論文に書かれているので、具体的に知りたければ。
2002年に和平合意がされたが、それまでに5万人以上の死者と多くの身体の不自由者が生まれた。
また、和平合意されても直接的暴力がなくなっただけで、現実として貧困問題、都市と地方の格差、雇用の問題などは継続した。また、ダイヤモンド採掘も継続し、日々採掘のための爆発、そのための強制移住なども続いた。つまり、negative peaceが継続していた。
その中で、「お互いに優しくしましょう」「思いやりをもったら、紛争解決します」っていう国際機関から使いまわされたマニュアルが適応され、「平和教育」が実地されてきた。
ただ、現場の子どもたちのニーズとしては、政治的変革、貧困層の子どもの政治的排除、雇用の増加、貧困是正、医療へのアクセス。
➡︎平和教育で、自分たちの考えや態度、行動の変革ではなく、自分の置かれている状況の変革が必要とされていた。
結局、国際機関から「平和教育をした方がいい」っていう考えや価値観がトップダウン的に導入され、やり方がわからない現場の教員が手探りでやらされ、ある意味「植民地主義的」な構造が今も残っているという指摘。
この現場の状況を理論(CPE:Cultural Political Economy)に落とし込む
CPE:存在論であり、社会の複雑性を整理するという考え。そのために、さまざまな角度から選択をしないといけない。
その角度は4つに分けられて、
・Discursive:社会の選択
例)部分的または限定的であるために歪んだ説明をしている。
・Structural:制度や政治経済のプロセスは、特定の利益や理想を他より優遇する。
例)一部の制度が経済・文化・政治的に支配して、それ以外が排除される。
・Agential:個人や社会的グループの権力の格差
例)一部が支配して、それ以外が排除される。
・Technical:考えや行動を促す実践的/技術的アプローチ
例)一部の技術が特定の考えを促す。(SNSで拡散されるなど)
(余談)
存在論を詳しく知りたければ。
これを、シエラレオネの平和教育に落とし込んでいくと。
Discursive:
シエラレオネ人の行動は構築的でない、シエラレオネ人の態度を見直さないといけないと選択され、それがシエラレオネ平和教育カリキュラムに書かれている。
Agential:
シエラレオネを他の西洋の価値観から見て、何が適切か選択されている。
Technological:
ケニアの難民キャンプで使った平和教育マニュアルをINEE(緊急教育プラットフォームサイト)に載せることで、すぐにシエラレオネにマニュアルが届く。
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自分の中での不明点
・もう少しCPEを深掘りしたい。
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個人的見解
これは、実際にシエラレオネで平和教育を現場でしていた先生による授業でかつ、自分自身への指摘でもあったんだけど、なかなか興味深かった。
今、修論で紛争中の教育支援について書こうと思っているから、この研究は応用できる気がする。国際機関から緊急教育支援としてマニュアル化されたものが各国で提供されているんだけど、結局ローカルの状況やニーズが考慮されていないという点(まだ仮説)で、類似していると思う。この理論も、自分の修論で使えるかも!と思って、視野が広がった気がして、るんるんしていて授業を終えた。。
のに、修論の担当教員との面談行ったら、「こういうアプローチで研究できそうだね」って、あまり活用できない感じ、でかつあんまり楽しくなさそうなメソドロジーでのアドバイスをもらい、なんか伝えたいこともうまく伝えきれず、不安とモヤモヤいっぱいになった。。そもそも、専攻コース間違えたかなっていう気さえしてくる。。
(見解というより、自分の現状報告なってもた。)