難民のIntegration

今日の学び

integration と social cohesion
どちらも、難民がどうしたら社会統合できるかという理論になるが、「社会統合」の正式な定義はない。
なぜなら、
①社会統合の、統合具合を測れないから。
→市民権を得たら?精神的に受け入れられていると思ったら?など、人によって統合した状態の捉え方が違う。
② 何に統合するのかが不明確だから。
→ホスト国と言えども、さまざまな階級、人種、民族がいる中で、難民は何に統合するというのか。

現在ではintegrationを、統合していくその経緯・プロセスを指している。また、経済・社会・文化・政治などの多面からintegrationを見ていくことが求められている。難民側・ホスト国側、両方が寄り添うという両面性も重要。

integration : どちらかというと「北」の諸国への社会統合で使われる。難民が「北」へ長期定住するというニュアンスが強い。

social cohesion : 「南」諸国への社会統合で使われ、一時的定住のニュアンス。そのため、精神的な面での繋がり(所属意識・コミュニティとの繋がり)に重きが置かれている。

この表でも表されているけど、いかに自分のアイデンティティとホスト国の関係のバランスを取るかが難しい。
理論上は、自分の母国のアイデンティティを保持しつつホスト国との関係が良好な“integration”が一番いい状態とされている。


integrationしていく上で必要なもの

UK Home Office Indicators of Intefration 2004

どの順番に、何が必要になるかは人それぞれだけど、これらのものが必要とされている。

Social bridge : 苦手とか、他者と思っている人との橋渡しをどうしていくか。
Social bond:好きな人との関わり。たとえ同じ国出身でも仲良くなるとは限らない。違う国だけど同じ階級の人と仲良くなるなどもありうる。
Social link:政策や方針との繋がり。

(余談)
イギリスでは、自己手段で入国した難民は、難民申請をして許可が降りるまでは「市民」としての資格は何も与えられない。(医療(緊急時は対応)・学業・就業など)申請してから許可が降りるのには時間がかかるが、70%はいずれ許可がおりている。
許可待ちの間、dispersal systemに従う人は政府から行けと言われた町/家に住み、£7.5/日の食費が与えられる。イギリスは深刻な家不足だから、ホテルに住まわされて食事が提供される場合もある。dispersal systemを使わないで、友達の家などに身を寄せる場合は、日々の食費もなく、仕事もできないので、脆弱な立場になる。家との契約の問題で、転々と移動を余儀なくされる難民も多い。
*スコットランドは例外:申請中も市民と同じ権利が与えられる。

UNHCRの再定住でイギリスに来た場合、すぐに市民と同じ権利が与えられ、徐々に支援は減っていくが、5年間、メンタルヘルスや語学・家などの支援を受けられる。


4つのフレームワーク
1. Multi-dimencinal
さっきの表で書かれていた、仕事・家・社会的繋がりなど、さまざまな面での統合をはかる。人によって、その必要度合いや時間のかかり方が違うことも考慮に入れる。順番・統合完了の捉え方も適宜対応。

2. multi-directionality
全員が関わる必要がある。難民・ホスト国政府・ホスト国住人。重荷として捉えるのではなく、利益と捉えるなどの意識。

3.shared responsibility
差別などが起きないようにコミュニティ構築する。受け入れの構造作り(語学学校へのアクセスなど)をすることで、agencyを守ることができる。

4. context specific
地域レベルでの受け入れ、柔軟な時間での受け入れ、個別対応


Social Cohesion
所属意識、寛容性、社会参加が必要とされている。

ヨルダンとシリア難民の学校が例に出されていたけど、
言語・メンタルヘルスなどの個別対応・安全性・社会的規則などにどう対応していくのか。

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自分の中での不明点

・特になし

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個人的見解

個人的にはこれまでさまざまな人に出会って、diversityに対して抵抗がないからこそ、もっと難民が統合できる社会基盤が必要だと思っているし、難民を受け入れることで利益が生まれるっていう価値観への移行ができたらいいなとも思う。だからと言って、強制的にそれぞれのアイデンティティを捨てさせるっていうのには反対で(自ら捨てるのは別)。そこのバランスって難しいなって。

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