ダメだよ
最近、ロングコートダディの堂前さんのnoteで、サンタさんにプレゼントをもらう話を読んで思い出した話がある。
というかほぼ一緒の話だった。
なんかめちゃくちゃ泣きそうになってしまったのは、うちの母が悲しんでいたであろうことがシンクロしたからだろう。
たしか小4か5のとき。
サンタさんに「太鼓の達人のゲームキューブ版と、ゲームキューブがほしい」とたしか言っていたと思う。
そのときはサンタさんを完全に信じていたので何も気にしていなかったが、実際には我が家庭からお金が出ていく、それも姉の分も、ということで今考えたらまじで涙が出そう。この時点で母を悩ませて悲しい。
もちろん、母はそんな高価なものを私のためだけに買えないので、おそらくめっちゃ悩んだと思う。
それはもらったものを見れば自明だった。
12/25の朝、
私の枕元には「ボンゴマニア」みたいな名前の、テレビやハードに繋げるのではなく、それ単体でスイッチを入れて起動するタイプの、サンリブとかで売ってあるおもちゃが置かれていた。
しかし見た目はボンゴとは程遠く、4つのカラフルなプッシュボタンがついているパレットに厚みが出たようなデザイン。
明らかに母の葛藤が今なら見える。
太鼓の達人単体なら買えても、ゲームキューブがないから繋げない。ゲームキューブ単体買っても意味がない。だったら仕方ない、太鼓の達人に似たゲームを探そう。そういう思考の流れが見える。
ただそんなことはつゆ知らず、私は赤と緑の包紙をあけるなり、大泣きした。
太鼓の達人もゲームキューブもないどころか、見るからに面白くなさそうなおもちゃが入っていたからだ。
なんだこのモブゲームは!!!その当時モブという言葉は知らないしたぶん使い方も間違ってるけど、そう思っていたと思う。その表現が一番正しい。
それはいたいけなキッズの私にもわかってしまった。
たしか母か家族の誰かが、やってみたら?みたいなことを言ってきた気がするので、涙をぬぐってゲームを取り出してみた。
見た目は先程述べた通りで、プッシュボタンは案の定押ししろがある。今でもしっかり、そのボタンの押し心地は覚えている。
そして、スイッチをついに入れてみる。
まず、音質が悪すぎる。玉音放送か??と思った。(思ってない)
そして曲のパターンが4つしかなかった。それも「和風」「タンゴ」「サルサ」「ハワイ」みたいな、カテゴリかと勘違いするぐらいざっくりした名前のものだった。
この中から選べると思ったら、それが曲名だった。
ひとつの曲としても、フリー素材の方がまだ豪華だといえるレベル。
もちろんインストゥルメンタルだった。
私は説明書が嫌いな子どもだったので(今もだけど)何もみずにやったことも原因の大きな一つであったが、難易度調整がわからず永遠に1小節に一回たたくぐらいのモードでしかできなかった。
あと、画面とかはないので、鳴った音を再現するという記憶力おためしゲームだった。リズム要素が10だとすると記憶力要素が150だった。
もう一回泣いた。
あとこのゲームのむかつくところがあって、もういい!!と電源ボタンを切にしたら、「ダメだーよ」と外国人が片言の日本語で言ってきてから電源がやっと切れるところ。
さんざんおもんなくて泣きそうになって電源を切ったのに、追い討ちをかけてくるように「ダメだーよ」と言われるのが本当に嫌いだった。むかついた。お前側がおもんないことに非があるのになんでこっちがダメって言われんといけんのじゃと思った。
普通に、おもしろいゲームだったとしても最後「ダメだーよ」って言われたらテンション下がらんか?
もしかしてパソコンみたいにスイッチとは違う方法で電源が切れるのに、スイッチで切ってるからそれは機械の寿命を縮める行為だよダメだーよっていうのを暗に意味してたんか?いやそんなわけない。
モブゲームすぎる。モヤさまに出てきそう。
そのあとだったか何日後かだったかは忘れたけど、私が泣いたところ、そしてゲームを全くやってないところを見たからか、母は「あんた他のゲームはなに欲しいん?」と聞いてくれた。
「まわるメイドインワリオ!」と答えたら「ほなそれ今度買おうか!」と言ってくれて、きゃっきゃ言いながら笑った記憶が深くある。今書いていて泣きそうになった。
これにいたる母の思考回路を考えるのが辛すぎる。本当にごめんなさい。
でも、結局まわるメイドインワリオは買ってもらっていない。
子どもながらにおもちゃを無駄にしたことを申し訳なく思っていたことは覚えているので、私が「やっぱりいらん!」と言ったか母がごまかしたか。どっちもありえる。
どちらにしろ切ない。
その後1年か2年ぐらい経った後に、ひさしぶりに物置からボンゴマニアを取り出して電源を入れたら、音質が玉音放送より悪くなっていた。
しっかりバグっていた。
即座に電源を切ると、途切れ途切れの音声で「ダメだーよ」と言われた。これはしっかり言われた。本当にむかついた。
今思い出すと「ダメだーよ」がゲームとして欠陥すぎてめちゃくちゃ面白い一方で、やっぱり母の気持ちを踏みにじったなあという思いでむなしくもなる、、、
でもこれは私も母も悪くなかったと思う。悪いのはボンゴマニアただひとりだった。
というエピソードでしたが本当に堂前さんのnoteの内容とめちゃくちゃ似てました。
堂前さんのは本当に面白いのでぜひ読んでいただきたい。