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寿命の28倍生きた弟から与えられた使命 パート1

「使命」

突然ですが、「あなたの使命はなんですか」
と尋ねられたらなんと答えますか。
「病気で苦しんでいる人を救う」
「社会の正義と戦う」
「子供を守る」
どれも素晴らしです。

私の使命は
「命の大切さを伝えることと」
具体的に言うと、
「人が人の命を奪う戦争」や「不平等な分配から起こる飢餓」の問題を根本からなくすことが、自分が今この時代のこの世界に生まれた使命だと思っています。
難しいことなのは百も承知です。誰もが無理だというでしょう。
でも、自分自身で決めた使命なのだから、そこに限界はないと思うのです。そしてこの使命は弟が気がつかせてくれたのです。
これは毎日を一生懸命に生きて寿命を全うした弟が、私に使命を気がつかせてくれるお話です。

弟の誕生

私が4歳になってようやく自分のお尻を自分で拭けるようになった頃、弟が生まれました。私はこの日をお母さんのお腹をさすりながらずっとずっと待っていました。
弟と一緒の生活は一体どんな毎日になるのかしら。それはもう楽しみでした。

初めまして私の弟

動き回る弟との日々

それからというもの、一緒に様々なところに遊びに行きました。
いたずらが大好きな男の子で、私もたくさん振り回されました。
でも元気に動き回る弟の姉として、愉快で幸せな、楽しい毎日を過ごしていました。

動き回る弟との日々

救急車の音

弟が歩けるようになった頃、夜中に突然救急車の音が聞こえてきて、家に救急隊員がバタバタとやってきました。そしてそのまま、弟は家からいなくなってしまいました。
次の日私は友達の家に預けられ、その後東京に住んでいるおじいちゃんの家で過ごすことになりました。幼稚園も変わりました。
「弟が、何か大変らしい。」ということ以外は、何が起こったのか、5歳の私には理解ができませんでした。

救急車、私の弟をどこに連れて行くの

帰ってきた弟

私がランドセルを背負い始めた頃、弟がついに、帰ってきました。病院で色々検査などをしていたらしいですが、どうしてしばらく帰ってこなかったのかわかりませんが、それでも元気に帰ってきました。
歩くことができなくなって、首も座わらなくなって、食べることも少し難しいからと、鼻にチューブが入っていましたが、そんなこと関係ありませんでした。私はお父さんとお母さんと一緒に住んでいた家に戻り、家族4人で過ごせるようになったことが、とにかくとても嬉しかったのです。

おかえり!!!!

両親は家にいる間、弟に付きっきりになりました。
前までは家族4人で一緒にいろんなところに遊びに行ったのに、今はどこにもいけない。
弟のお世話で忙しくて、家族4人でゆっくりご飯も食べられない。
弟が生まれる前までは私にメロメロだったお父さんとお母さん。
両親から弟の説明も詳しく受けていなかったため、状況が全くわからない私は、どんどんパニックになって行きました。

そしてご飯が食べられなくなって栄養失調になり、そして遂に、歩く事ができなくなってしまったのです。
自分でも、どうして歩けないのか全くわかりません。
両親は私を大学病院に連れて行き、いろんな検査をしました。
しかし、どこの病院に行っても、全く異常は見つかりませんでした。そして下された病名は
「心の病気」

小さな私の心で一生懸命考えた結果、もし私がお父さんとお母さんの前で歩けなくなったら、両親は弟じゃなくて、また私のことを愛してくれるようになるのではないかと、小さな私の心は考えたのでしょう。
私の意思を超えて心が下した決断でした。

それから両親は弟を1ヶ月間宿泊型の施設に預けました。
その間、私をテーマパークや海や川、素敵なホテル。
私が好きなところに、たくさん連れて行ってくれました。
1ヶ月間べったり両親と過ごす中で、私にはささやかながらしかし大きな
「自信と確信」が生まれました。

”お父さんとお母さんは私を嫌いになったわけではなかったんだ。愛してくれているんだ”

そこから私はどんどん元気になり、心の病気もすっかり治りました。愛されている実感とともに、性格面でもすごく積極的に活発に育って行きました。

弟は歩くことも話すことも喋ることも出来なくて、体が成長するにつれてどんどん自分で食べることも息をすることもさらに難しくなりました。
食事は胃に穴を開けて管を通して栄養を取り入れ、喉に穴を開けて人工呼吸器をつけて過ごすようになりました。
弟は、美味しい食べ物を食べたり、机の上で勉強したり、サッカーボールを蹴って走り回ったり、女の子をナンパしたりしたかったかな。

こんなこと、してみたかったかな

歩けない、話せない、食べれない、自分一人では息をするのも難しい。
そんな弟ができたこと
それは、笑うとこ。
弟はどんな時でも、笑顔でした。

弟の笑顔で、学校のお友達、看護師さんや介護士さん、弟の周りにいる人たちはみんな笑顔でした。弟が笑顔になると、周りの人も笑顔になる。
だから私は、笑顔が大好きでした。

弟は、不満顔は一切見せず、自分の全てを受け入れていたのだと思います。ありのままの自分を受け入れて、どんな時でも笑顔になれる。
なんて強いのだろうと思います。

笑顔の弟の周りはいつも笑顔になる

私も、人を笑顔にさせたい!毎日生きることに一生懸命な弟に負けないくらい、一生懸命頑張りたい。

そんな私は大学に入ると、チアリーダー部に入部しました。
チアリーダーは人に「元気と勇気と笑顔」を与える存在
様々な部活動の応援やイベント活動などで、人を笑顔にすること、人を応援することの魅力に魅了されました。人を笑顔にすること・人を応援することは、相手を思いやること。そんなチアリーディングスピリットと言われる
「思いやりの心」を深く学びました。

私も目の前の人を笑顔にさせたい!

寿命の28倍生きた弟から与えられた使命 パート2に続きます。

#創作大賞2022
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