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男性器の機種変更 【第5章】女の子らしくなるには?

僕は帰宅すると、スーツを脱いで普段着に着替えた。
スカートってスースーして心許なく、落ち着かない。
おまけにタイトだから、歩幅が制限されて大変だったし。
たぶんもう履くことはないだろう、そう思いながら僕はスーツをハンガーに掛けて、タンスの奥にしまった。
翌日から僕は、パンツルックだ。
レディース用だが、ズボンなので違和感なくて歩きやすい。

そして入学式から一週間も経つと、新入生の間に幾つかのグループができ始めた。
でも僕は、相変わらず一人。
それは仕方ない、19年間ずっと男だったし、いきなり女性だけの環境にに放り込まれても、溶け込める訳がない。
まぁ男時代からぼっちだったから、一人は慣れている。
だから僕は、それほど気にも留めなていなかった。

翌日学食で一人ランチを食べていると、同じテーブルの向かいに1人の女の子が座った。
「ここ良いですか?」
「あっどうぞ。」
「ありがとう。確かアユミちゃんだったわよね?」
「はい。」
アユミと言うのは身分証明証に記載されていた女子名で、4年間はこの名前で過ごす。

「私もアユミちゃんと同じ学科のカオリよ、よろしくね。」
どうやらその女の子も新入生で、僕と同じ学科らしい。
「先週の自己紹介の時、アユミちゃんは確か○○県出身って言ってたわよね?私も同じだから覚えてたのよ。」
「へー、私と同郷なのね!」
誰も知らない大都会で同郷の人と会うと、とても嬉しい。
カオルも同じ思いのようで、僕に声をかけてきたみたいだ。

「私ね、○○県の△△市なの。アユミちゃんは?」
僕はカオルの地元を聞いて、僕は思わずギョッとした。
何と、県どころか市まで同郷だったからだ。
もし高校まで一緒だったら、僕の正体がバレてしまうかもしれない。

「あっ、いやその・・・私はXX市なの。」
僕はとっさに他の市の名前を答えた。
「そうよねー、△△市じゃないよね。」
「うん。」
「私△△高校なんだけど、一つ上にアユミちゃんと同じ名字の先輩がいたの。顔も似ているから、妹なのかなーって思ってね。」
「あはは、それは奇遇ね・・・」

僕は笑ってごまかしたが、顔面から血の気が引いた。
だって△△高校は僕の母校だし、僕の名字は学年で一人しかいなかったら、同じ名字の先輩とは僕と言うことだ。
つまりカオルは僕の後輩になる。
何てことだ・・・
頭を抱える僕を尻目に、カオルはどんどん話しかけて来た。

「実はね、最初にアユミちゃんを見た時に、高校の先輩じゃないかって思ったの。でもその先輩は男だから、女子大に入学できる訳わけないし。だから妹かなとも思ったけど違ったのね。それにしても似てるのよ、従兄弟とかでもないの?」
「あっ・・・私△△市に親戚いないから。」
「そうなのね。あっちょっと待って、確かスマホに写真があったわ。」
「写真持ってるの?」
「うん、実はその先輩って、私達の仲間内では人気あったのよ。」
そうカオルは言って、スマホの写真を探し始めた。
僕が一つ下の女子達に人気があった?
嘘だろ、全然知らなかったよ・・・

「あったこの人よ、見てみて!」
そう言ってカオルは、僕に写真を見せる。
その写真は、確かに僕だ。
しかもこの写真は、鮮明に覚えている。
僕は高3の文化祭の時に、無理矢理某戦隊ヒーローのコスプレをさせられた。
僕自身はその戦隊ヒーローに全く興味が無かったから、コスプレ自体が嫌だったけれど、何故か周りの評判は良かった。
特に女子から評判がとても良く、その場にいた女子と何枚か写真を撮ったのだ。
カオルもその一人だったとは・・・

「ちょっと笑顔が引きつっているけど、似ていると思わない?」
そう聞かれた僕は慌ててしまい、とんでもないことを言ってしまった。
「このコスプレは、本当に嫌で嫌で仕方なくて。」
「えっ、嫌って?」
「あっ!」
「やっぱり先輩だったのね、首のホクロの位置まで一緒だから、もしかしてと思ってたのよ。」
しまったと思ったが、後の祭りだ。
もう大学に来ることはできないだろう。
僕の大学生活は、たったの一週間で終了か・・・

「先輩大丈夫よ、誰にも言わないから。それにしても先輩の女装は完璧ね、絶対にわからないわ。でも何で女子大に入学できたの?」
「実は・・・」
僕は今までの経緯を、カオルに話した。
現役時の受験が全滅でとても焦っていたこと、浪人中は性欲旺盛で勉強に集中できなかったこと、そして機種変更を繰り返して遂には女性器型に変更したこと等々。

「へー、じゃあ今の先輩は本当の女子なのね?」
「うん、今の僕にはもうおちんちんはないのよ。」
「その胸も本物?」
「うん、半年でここまで膨らんじゃった。それに生理もあるし・・・」
「完全に女子じゃない!だったら女子大に入学できるわよね。でも大学側はこのこと知ってるの?」
「知ってると思う。入学書類の注意事項に4年間は男性器に戻さないこととか、戻したら退学とか書いてあって、チェックして出したし。」
「それなら大丈夫ね。憧れの先輩が女になったのは残念だけど、お近づきになれて嬉しいわ。4年間一緒に女子大生を楽しみましょ!」
「ありがとう。」
こうしてカオルは、僕の友達第1号になった。

それからと言うもの。僕は大学でもプライベートでも、ずっとカオルと一緒に過ごすようになった。
とにかく彼女と一緒にいると、僕は必要以上に女を演じる必要がないので、とてもリラックスができる。
一方のカオルは、僕と友達になれて嬉しいらしい。
もうあの頃の僕じゃないのにいいのかな?と思うが、まぁいいのだろう。

しばらくすると、カオルには僕以外の友達が、何人もできた。
でも僕は相変わらず女性だらけの環境に慣れることができず、夏になっても友達はカオル一人だけ。
そんな僕を見かねて、カオルが言う。
「アユミは女子が近づけないようなオーラを出しているのよね。」
「えっ、そんなオーラなんか出してないよ。」
「自分ではわからないだろうけど、みんなはそう言ってるよ。だから友達ができないの。」
「そんなこと言われてもなぁ、これが僕にとって普通だし。」

「私が思うにね、アユミはとてもガサツに見えるの。女の子としての品に欠けると言うか。」
「だってそれは仕方ないよ、僕は女の子になったばかりだし。」
「アユミはいつもパンツだけど、スカートは履かないの?」
「うん、何か恥ずかしくて。」
「それが原因よ。」
「どう言うこと?」
「スカート履くと、仕草を女らしくしなきゃならないでしょ?座る時は足を閉じなきゃならないし、外では風に気をつけなきゃならないし。」
「うん、だから苦手で・・・」

「私達生まれながらの女の子は、そんなスカートを物心つく前から履いてるの。そして中学・高校は制服だから毎日スカートでしょ?だから自然と女らしさが身につくのよ。」
「なるほど!」
「そんな女の子がズボン履いても女らしさが欠けることはないけれど、アユミの場合は女としての経験値がないから、ズボン履くとガサツに見えちゃうのよね。」
「だってそれは仕方ないよ、僕は19年間男だったんだから。」
「でもこれから4年間は女の子なんだよ?だからアユミも女としての品を身につけなきゃ!」
「どうしたら身につくの?」

「それはやっぱり、スカートを履くことだと思う。スカート履けば自然と女らしくなるからね。」
「えー、恥ずかしいよ。」
「何言ってるの、アユミはもう女の子なんだから、スカートが恥ずかしいなんてことはないの!」
「それはそうだけど、僕スカートなんて1枚も持ってないし。」
「じゃあ今から買いに行こう!」
こうして僕達は、僕の履くスカートを買いに行くために、街へ繰り出した。


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