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男性器の機種変更6 少年から少女へ ミクの場合 【第4章】お母さんへの説明
「ただいま!」
そう声をかけると、奥からお母さんが顔を出した。
「おか・・・えり」
お母さんは僕の姿を見て、一瞬絶句したみたい。
それはそうだろう、息子がスカート姿で帰って来たのだから。
でもすぐ隣に彼女達の姿もあったので、何ごともなかったかのような感じで僕達三人を迎える。
「いらっしゃい、さぁ中に入って!」
「おじゃまします!」
こうして僕達は中に入り、リビングのソファに腰掛ける。
そこには人数分のジュースとお菓子が、既に用意されていた。
二人は簡単に自己紹介すると、早速僕が何故スカート履いているのかの説明を始めた。
「お母さん、実は今日の雨でミクちゃん・・あっごめんなさい、ヨシヒサ君の服がずぶ濡れになっちゃって、たまたま学校にあった替えの服がこれしかなくて、仕方無しにこれ着て帰って来たんです。でもいきなりこれで帰ると、お母さんびっくりしちゃうと思いましたので、私達も着いて来ちゃいました。」
「そうだったの、二人ともわざわざありがとね。」
「いえいえ全然大丈夫です、私達友達だからねー。」
こう言って僕に話しかけて来たので、僕も「うん。」と頷いた。
友達か、いい響き。
「それに、女の子のヨシヒサ君って凄く可愛いし。」
「うん、可愛いよねー、男の子にしとくのはもったいないって思っちゃいます。お母さんもそう思いませんか?」
そう聞かれてお母さんは、思わず苦笑い。
そんな話をしていると、知らぬ間に彼女達とお母さんは打ち解けて、楽しそうに会話を始めている。
初対面なのに良くこんなに話せるなぁ。
これが女子トークの凄さなんだ。
でもみんな楽しそう。
僕も時々会話に参加できたから、楽しかった。
そんな時、お母さんが彼女達にこんなことを言った。
「学校でのヨシヒサはどう?みんなに迷惑かけてない?」
すると一人が答える。
「全然そんなことないですよ。最近のヨシヒサ君は大人気で、特に女子達からの人気が凄いんです。」
「そうそう、ほんと可愛いし。」
「そうなのね、それは良かった。おばさんはヨシヒサが迷惑かけてたらどうしようって心配で。」
横で聞いていた僕も、なんか嬉しかった。
人気が凄いなんて、言われたことはないし。
ヨシヒサはナヨナヨしてて気持ち悪いって、裏で言われてることも知ってるし。
それからまたしばらく女子トークをして、彼女達は帰って行った。
そして僕とお母さんの二人きりになると、お母さんが僕に言った。
「ヨシヒサ、彼女達は本当に良い子ね。」
「うん。」
「あなたから友達連れてくるって連絡来た時、お母さん嬉しかったわ。友達なんて一度も連れて来たことないから。どんな男の子だろうって思ってたら、まさかの女の子!それどころかあなたまで女の子になっててほんとびっくり!」
「あはは。」
「せっかくできた友達なんで、仲良くしなさいね。」
「うん。じゃあ着替えてくるね。」
そう言って部屋に行こうとしたところ、お母さんは僕を呼び止めた。
「ヨシヒサちょっと待って、記念に写真撮って良い?」
「えっ、何で?」
「せっかく女の子になったんだから、写真撮りたいじゃん。」
「そんなもの?」
「うん、そんなもの。」
「わかった、いいよ。」
普段の僕なら絶対に断るのに、この日は機嫌が良かったので、お母さんのリクエストに応えて何枚か写真を撮った。
その間色んなトークをしながらだったので、それだけで結構時間がかかってしまい、撮り終わった後も流れでそのままお母さんとお話をした。
お母さんとこんなに会話したのは、何年ぶりだろう?
僕はいつも帰宅すると、すぐに部屋に閉じこもってしまう。
夕飯の時はリビングに行くが、あまり会話もなく、食べ終わるとすぐに部屋に戻る。
うちは母子家庭だから、お母さんにとって話し相手は僕だけなのに、その僕はほとんど話さないから、お母さんは色々と寂しかったのだろう。
そんな中、彼女達のおかげで今日はお母さんとたくさんお話ができ、本当に良かった。
お母さん凄く楽しそうだったから。
その証拠に写真を撮った後も、お母さんのトークが止まらない。
僕も女の子の格好をしているせいか、トークが楽しい。
どのくらい話しただろう、時計を見たお母さんは慌てて立ち上がった。
「いけない、もうこんな時間!夕飯の支度をしなきゃ!ごめん話に夢中になっちゃって、これから夕飯作るから、今日は遅くなるよ。」
「えー、今日は7時から見たいテレビがあるのに。」
「できるのが7時くらいになるかな。」
「30分早くならない?」
「じゃああなたも手伝いなさい。」
「うん、わかったよ!じゃあ着替えて来るね。」
「着替える時間がもったいないわ、そのままで良いから今すぐ手伝って!」
「うん。」
こうして僕は夕飯作りの手伝いを始めたが、自分が夕飯の手伝いをするなんて、何年ぶりだろう?
もちろんテレビの時間までに夕食を終わらせたかったからって理由もあるが、この格好をしてるとお母さんとは女同士みたいに感じるから、接しやすくなったのかな?
そんなことを考えながら、僕はお母さんの横で夕飯作りを手伝っている。
おかげで夕飯は6時半頃完成し、時間がないからそのまま夕食に突入。
食べ終わるとちょうどテレビが始まって、僕はお母さんと一緒にテレビを見た。
夕飯の時もテレビを見ている時も、なぜかお母さんとの会話が弾む。
そしてテレビが終わった後は、せっかくだから夕飯の片付けも手伝って、全てが終わった頃には8時半になっていた。
ずっと女の子のままだったので、ようやく着替えようと部屋に戻ろうとしたところ、お母さんから話しかけられた。
「ヨシヒサ、着替えるならそのままお風呂入っちゃいなさい。」
「あっそうか、着替えてもどうせお風呂でまた脱ぐから、二度手間になるしね。」
こうして僕はお風呂に入り、出たあとはパジャマに着替えて宿題をし、10時頃には寝てしまった。
翌日僕はいつものように男の子の格好で学校へ向かい、学校で女の子に着替えて一日過ごす。
そして帰りにまた男の子に戻って、帰路につく。
学校では女の子とワイワイ話せるけど、登下校は今日も一人。
昨日があまりに楽しい下校だっただけに、今日は本当に寂しくて仕方がない。
やっぱり女の子の格好で通いたいなぁ。
そんなことを考えていた。
帰宅した僕は、いつものように部屋に閉じこもる。
そして夕飯になってリビングへ行き、お母さんと一緒にご飯を食べた。
お母さんは一言二言僕に話しかけたけど、今日の僕は昨日と違ってノリが良くない。
昨日と比べたら、まるで抜け殻のようだ。
というか、これがいつもの僕なんだけどね。
はぁ、女の子の格好したいなぁ。
お母さんに言っちゃおうかなぁ。
やっぱり言えないなぁ。
そんな考えが堂々巡りのように、頭の中で回っている。
「はぁ・・・」
僕は深いため息をついた。