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20歳が0歳 5

翌朝、正確にはもう昼だったけど、目が覚めた私はまた彼の家にいた。まだ寝ている彼を起こさないようにそっと起きて水を飲む。

前にも来て同じように寝た、あのときと同じ場所だけど、あの時とは違う関係で今この部屋にいる。彼はまだ起きる気配がないのでスマホを見ながらゆっくり昨日のことを考えていた。あまりにも早い展開に自分でも驚いていた。

財布を探してクラブへ行ってキスをして一緒に寝た。国家の要人でもない私に1日で世界を変えるなんてことはできない。でも人はたった1日こんなに変わるんだと実感した。

しばらくして起きてきた彼と一緒にシャワーを浴びた。東京のユニットバスの中で成人した男女が一緒にシャワーするのは結構大変なんだけど、これが何となく楽しいと感じるのも20歳だからだと思う。そしてまたこの経験が0歳だったから。

着替えてコンビニに行きお昼ご飯を買う。彼はパスタを、私はそのシーズンのよくわからないお弁当を選んだ。2人でレジ袋を持って部屋に戻り一緒に食べる。よくTwitterとかでみる理想のカップルってこんなのだった気がする。

エアコンを思いっきり効かせた狭い部屋のベッドの上でコンビニ弁当を食べるというのも私にとっては0歳で、それも両思いの人とというのは今でも時々蘇る思い出の一つになった。

食べ終えた後、彼が契約していたAmazonプライムで「僕は今日明日の君とデートする」を見た。私的にはこれ結構退屈だったんだけど、彼はそれなりに楽しんでいたらしい。作品に漂うなんとなく暗い感じが私には苦手だった。

ゴロゴロしているとあっという間に夜になっていた。夜ご飯は外に食べに行くことになったので着替えて外に出る。この街のいいところは歩いてなんでも食べに行けるところだ。近所にあるインドカレーのレストランに入ってみた。店内はエアコンが効いてないのかうだるほどの暑さで、インド人は暑さを感じないのかという偏見が生まれるほどだった。

2人ともバターチキンカレーを頼んだ。ここが美味しかったかどうかは印象に残ってないんだけど、私は彼がお会計を出してくれたことに感動した。なんとなくそれが嬉しかった。

家に帰り、また少しゴロゴロしながら時計を見るともう10時過ぎだった。私はそろそろ帰るねと伝えて準備した。今回は何も忘れ物はしていない。

家を出るときに彼が私を呼び止めた。「駅まで送るよ」

駅までの5分間私たちは特に話すこともなく、でも時間を惜しむかのようにゆっくり歩いた。

「次会えるのはいつ?明日?来週?」

「来週になるかな、」

「わかった!連絡してね!」

駅の改札を抜けて曲がり角までチラチラ後ろを振り返る。彼はまだ手を振っていた。曲がり角を抜けた後、私は驚くくらいスタスタと早足になっていた。

正直疲れてる。自分の家の広いお風呂が恋しい。階段を降りて電車に乗る。

出発を知らせるアナウンスと共に電車の扉が閉まり、動き出す。体は家に向かっているのに、心はもうすでに彼の部屋に行きたくなっていた。

次会えるのは来週末。たぶん、経験したことがないくらいの長い1週間だった。


投稿遅くなり申し訳ございません。大きな案件が重なりしばらく執筆できませんでした💦💦これからは週に1️⃣、2️⃣くらいの更新で行きます。

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