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20歳が0歳 7

あれからまた1週間が経とうとしていた頃、思い出したかのようにアディルからメッセージがきた。内容は薄いけど、最終的に土曜の午後に食事に誘われた。

正直良くないかな?と思った。でもアディルは私とカルロのことを知っているし、おそらくあの調子じゃアディルは友達がいない。インキャとは言わなくても海外ノリまでは行かない私なら友達になれそうだと思ったのだろう。

それに私はカルロを通して知り合った人とカルロの付属品だと思われたくなかった。私のことを知ってもらいたいし、アディルだけじゃなくてソフィアとも昼に会って食事したいと思っていた。クラブだけの薄っぺらい話だけじゃ寂しいから。

私は彼に🆗と返事した。ちょうどその週の土曜日は大切な試験が午前中にあって、クラブに行かない予定だったのをカルロに話していた。

勉強しなきゃと思いつつ大して勉強もしないまま土曜の試験日になった。心の中でこれはヤバいと思いつつも冷静さを保つようにした。

もちろん私はやらかした。手ぶらで試験に来たのでペンを持っていなかった。何度か会ったことはあるけど、話したことはない子にペンを借りるという恥を晒した。
しかし、拍子抜けするほど試験はよくできたし、内容も難しくなかった。

その後、私は家に戻って着替えてアディルと待ち合わせの駅へ向かう。

いつもは行かないような高級エリアの駅で待ち合わせだったが、新宿からすぐの場所だった。

また黒い服を着ていたのですぐにアディルだとわかった。暑そう。7月の昼下がり、外は晴れている。

合流すると「何が食べたい?」と聞かれた。この質問、難しいと正直思った。私が食べたいものを彼は嫌いかも程度は日本人同士でも考えるが、彼はペルシャの出身だからおそらく好みだけじゃなく、宗教的な制約がつくはずだ。

「何かおすすめはある?」と返すと「ペルシャ料理は試したことある?」と返された。

もちろんない。何がペルシャ料理かも良くわかってない。そもそもペルシャ料理レストランなんてあるのかな?日本人が食べてもおいしいかな?と不安になったが、今日の0歳はペルシャ料理にしよう。

「いいね、ここから近くにあるの?」と答えた。

店までは本当にすぐで歩いて2分もかからなかった。外観はペルシャ風に飾られていて本当に素敵だった。

窓側の席についてメニューを見てみると、ケバブとかもあった。ケバブってペルシャ料理なんだ!私が知ってる姿とは違くてお肉が本当にメインのお皿に盛られた姿だった。おいしそう!

私はケバブに決め、彼は何を頼んだか覚えていない。でも多分米を使った何かだったと思う。

食事中、彼は特に話さなかった。私の方から日本に来た経緯とかを話したけど、何となく日本は安全で〜みたいな決まり文句だけだった。

食事もほとんど終わった頃、彼の方から質問が来た。「カルロのことは好き?」

「好きだよ!」と返した。素直に。

アディルは単調に「OK」とだけ返事した。意味不明だし、根暗にも程があるだろ。

食事も終わって、お会計。驚くべきことに彼はスマートにお会計を済ませていた。なんか意外。

お礼を言ってお店に出る。まだ暑い昼下がりに何もすることがない。私の方から解散を切り出そうと思うと、彼が家でゲームしようと誘ってきた。

いくら何でもいきなり男の家に行くのは違うと思った。いやカルロのときは簡単に行ったんだけど、そういうことではなくてなんか、私はもう付き合ってるも同然だったから。

でも良く考えたらカルロから付き合おうと言われたことはない。なんか心にずんと来た。

「いいよ。ゲームしよう、マリオ?」

半分ゲーム、半分たぶん違うだろと思いつつ私は彼の家について行った。

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