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第5回闇キャンプ★前編 イルカも黙るGOTOの剛腕 戦慄のドゥーブル初開封!!【今治市・ドルフィンファームしまなみオートキャンプ場】

「マジか・・・!オオゴトやん・・・」
嫌な予感が的中した私は頭を抱えていた。第5回闇キャンプの話が浮上してから、こうして頭を抱えるのはもう何度目だろう・・・。

リーダーとGOTOがドゥーブルを購入してから3日後、次のキャンプが2週間後の週末に今治市の伯方島にある「ドルフィンファームしまなみオートキャンプ場」で行われる予定だと告げられた。そのキャンプが先日買ったドゥーブルテントの初おろしになる。
私はふと嫌な予感で胸騒ぎがした。
ドゥーブルはリーダーとGOTOのダブルオーナーだ。事前予習を欠かさないリーダーだけならこの胸騒ぎはしなかっただろう。私の胸騒ぎの震源はGOTOだ。彼女のモットーは「現地初開封」。今までのキャンプ全てでそれを実現してきた結果、数々の面白ハプニングを起こしてきた猛者だ。この嫌な予感をGOTOにぶつけてみたところ、

的中していた。
やっぱりかぁー!ここで私は1度目に頭を抱えることになる。ネット通販で買ったのではなく、正規店で買っているから本来入っているべきものが欠けている心配は少ないだろう。
しかし、何がセットになっていて何を用意すべきかを見ずして現地で開封するのはオススメできない。
店舗での試し張りの時にペグダウンまではしていないのだ。足りないものが発生するとしたらおそらくそこだ。そう思った私は念の為、ドゥーブルテントの設営動画をYouTubeでチェックしておくことにした。
LOGOS公式だけでなく購入者が設営している動画も含めて幾つかの動画をチェックして気が付いた。パネルを支えるキャノピーポール、これはタープのメインポールと同様にペグダウンするのだが、その時に使っているロープの色がみんな違う。これは、セットに含まれていないから各自準備していると見ていいだろう。
GOTOにその旨をLINEで伝えて、念の為ロープを用意するように伝えた。
GOTOからは、自分のタープで使っているロープを持っていくと返事があった。・・・それで今回のキャンプはいいとしても、その後あなたのタープを張ろうとした時に困るんじゃないか?「ロープがない!」ドゥーブルに使っている事などすっかり忘れて必死に捜しまわるGOTOの姿が目に浮かんで、わたしは頭を抱えた。これで頭を抱えるのは2度目である。
起こりうる心配の種はなるべく早く潰しておきたい・・・。私は、以前GOTO対策に用意しておいた予備のロープを持っていくことにした。

そんなやり取りをした翌日、私は1冊のノートを書き始めた。それはGOTOに渡すためのノートだった。
キャンプを始めた直後から、怒涛のスケジュールでキャンプをこなしていたリーダーとGOTOだったが、ロープワークなど色々覚えたことが飛んでいっている可能性が高い。
事実、GOTOは新しいことを覚えるのと引き換えに何かを忘れた上に、新しく覚えたことをもほんのり忘れることが多い。次のキャンプでは、我々夫婦は設営には立ち会って手伝えるものの、仕事の関係でひと足先に帰るのだ。撤収時には私たちはいない。何か困った事があった時に読み返して解決ができるような「虎の巻」を作ってGOTOに託しておけないか。そうして思いついたのがこのノートだった。
これがあれば安心だ。ノートにはこれまで、レクチャーしたタープの設営方法やロープワークの他に、リーダーとGOTOが購入したドゥーブルの設営の仕方や収納時の注意事項などを図解入りで書いた。
「そこまでするん?」とノートに書き込んでいる私にたっちゃんが尋ねる。テントを購入した時のこと(前回の「闇の散財ツアー」参照)を思い出して欲しい。敏腕ハンターさんの手先としてリーダーにトドメの一撃を刺したのは、他でもない私だ。ならば、ちゃんと設営できる!使える!とする所まで責任を負いたい。それがトドメを刺し、散財を見届けた者としての自負である。
書き上げた「キャンプ虎の巻」をドルフィンファームしまなみでのキャンプの時にGOTOに渡す。もし今後必要な事や教えた事が増えたらまた書き足していけばいい。そう思ってノートを書き始めた。そしてその夜のニュースで、季節外れの台風が発生しこちらに向かって来ていることを知った私は頭を抱えた。頭を抱えるのはこれで3度目になる。

台風は迷走を続けながらこちらに向かっているように見えた。「マジか、勘弁してくれぇ!」と願う私。
その台風の名前は「チャンホン」。なに、闇の通貨単位CP(ちゃんぽん)みたいな名前してるんだ(※「闇の散財ツアー」を参照)。頼むチャンホン、あっちに行って!
そんな願いも虚しく、迷子のチャンホンはふらふらとこちらに近づいて来ていた。強風圏の大きな台風だけに遠くにいたとしても影響がありそうだった。
そして、迷走台風チャンホンの存在はすぐにリーダー達にも知れ渡る。闇界隈で、あっという間に我々アメフラシ夫婦が呼び寄せたと認定されるチャンホン。いーや、断じて呼んでない。向こうが寄ってきているだけである。
「ドルフィンファームしまなみ」はその名の通りイルカがいるビーチ沿いにあるため、台風など荒天時には閉園となり利用が出来なくなる。万一キャンプ当日に閉園になった時には、東温市にある「かすみの森公園」でデイキャンプをしようという代替案も立てた。チャンホンはまだ高知辺りでウロウロしていた。
こうしてキャンプ前日、チャンホンの動きは気になるが、GOTOに渡す虎の巻ノートも完成した。翌日のキャンプに差し入れに持っていこうと栗山のある実家から届いた栗を使ってマロンクリームコロネを作っていた時、GOTOから連絡が入った。警報が出ていないため、ドルフィンファームは明日営業!当初の計画通りイルカを見ながらキャンプが出来る!チャンホンめ、ドキドキさせてくれるんだもの。
こうして、2020年10月10日、キャンプ当日を迎えた。

今回我々闇チームがキャンプをする「ドルフィンファームしまなみ」はイルカを見ながらキャンプができる海辺のキャンプ場である。綺麗な芝のサイトで、区画に分けられた場所とフリーサイト、グランピング用のゾーンまであるので、自分たちの好みのスタイルでキャンプを楽しむことができる人気の場所である。

リーダーが友人からレコメンドされ、「イルカに会えるなんて素敵!」とドゥーブル初おろしの場所に選んだのだ。すぐ隣に道の駅があり、少し車で走ればホームセンターやスーパーマーケットもある便利な立地が魅力のキャンプ場だった。

先にキャンプ場に到着したのは、リーダーとGOTOが乗るアーバンカーキのRAV4。2人は受付を済ませて、車をフリーサイトに進めると海に面した場所を確保する。人気のキャンプ場とあって、フリーサイトのいい場所を確保するために前日に車中泊を強行しようかと考えていたリーダーだが、チェックインが始まる時間よりも早めに到着した甲斐あって納得の場所を確保出来た。
車を降りて身体を伸ばす2人。空は台風の影響か雲が多めだが、青空が見えている。台風独特の湿った風が吹いていた。「雨が降らんで良かったね」と話しながら2人は荷物を降ろし始めた。
その頃、ドルフィンファームのある伯方島に向かってしまなみ海道を走るソウルレッドのMAZDA CX-5の中では、たっちゃんとまなみん夫婦が頭を抱えていた。これで頭を抱えるのは通算4度目である。高速道路走行中に突如、車の警報音が鳴ったのだ。タイヤの空気圧が規定値より下がった時になる音だ。

自称・「嫁の次に車を大切にしている」たっちゃんは、普段からマメに空気圧のチェックをしていた。給油の際はもちろん、遠出をする前にもチェックを欠かさない。もちろん、このキャンプに出掛ける数日前にもチェックをしていた。
にもかかわらず警告音が鳴るということは、何かを踏んでパンクをしたか、警報機能の誤作動のいずれかだ。できるだけ早くタイヤのチェックをしたいが、しまなみ海道に入ってしまうと、途中で島に降りなければチェックをしてくれるスタンドがない。最寄りのガソリンスタンドは目指している伯方島のICを出てすぐのENEOSだった。走行音に異音はないし、走っている感じも違和感はなかった。警報の誤作動の可能性は高いが、万一に備えてたっちゃんは気持ちゆっくり目に車を走らせていた。

助手席では、私・まなみんが現状と最悪タイヤがパンクしていた場合、到着に時間がかかる旨を伝えようとGOTOに電話をしていた。しかし、GOTOは応答しない。仕方なくLINEでメッセージを残して、ふと顔を上げる。車が渡っている橋の下に道の駅が見えた。間もなく伯方島だ。

一方、GOTOとリーダーは、荷物を降ろし終えてカメラを構えていた。後からやってくるアメフラシ夫婦を受けの画で撮ろうとしていたのだ。そこへ椅子を片手に持った我々夫婦が現れた。ICを出てすぐのENEOSで事情を話してタイヤを見てもらったところ、幸いにも異常がなく、警報の誤作動だろうという結論になり、無事にキャンプ場に到着したのだ。
我々夫婦のみ宿泊はせずに先に帰ることを考慮して隣接する道の駅の駐車場に車を停めて荷物だけ持ってキャンプ場に入場したのだ。

「来たよ、我らが救世主www」
リーダーがそう言いながらこちらに向けてカメラを回している。GOTOとリーダーは手を振って我々を迎えてくれた。
無事に合流を果たして、いよいよ設営に取り掛かる。事前の打ち合わせでは、私が現場監督として設営を見守る中、リーダーとGOTOがドゥーブルを建て、たっちゃんは2人をサポートするように動くことになっていた。
イルカたちがキューキュー鳴く中、まずはGOTOによる初開封の儀である。嬉しげにナイフを片手に持ったGOTOは、躊躇なくナイフを深く箱に刺す。

一瞬、不穏な空気を感じたイルカが鳴き止んで静かになる。リーダーもたっちゃんも息を飲み、私はこれで5度目になる頭を抱える動作をしていた。GOTOの手元、ナイフは切腹する武士の腹のごとくザックリと刺さっている。
ビビビビビビッ!と音を立てて一気にナイフを引きテープを切り裂くGOTO。「マジか!?オオゴトになるやん・・・」冒頭のセリフを呟く私の横で、リーダーが震える声で「怖い怖い怖い怖い・・・」と声にならない悲鳴を上げている。闇の通貨で総額260CP(ちゃんぽん)のテントが初開封で真っ二つになっていたらと思うと当たり前である。震える声で「えと・・・、ごっさん、ケーキご入刀くらいな感じでナイフ刺したけど・・・大丈夫?」と聞くリーダー。
「え?」GOTOが言いながら箱を開く。恐る恐る中に注目する一堂。
良かった、テントは無事だ!!本当に良かった。これから初開封の時にGOTOに刃物を渡さない。心はひとつ、誰もがそう誓っていた。
こうして無事に取り出したテントを出して、まずは外側のフライシートから組み立てる。LOGOSのテントは初心者でも建てやすい工夫が随所に凝らされている。骨組みにあたるポールを差し込むスリーブには色が付いていて、同じ色のポールを差し込めばいい。実にわかりやすい。ポールをスリーブに差し込んでいく我々。

それが終わったらスリーブの根元の縫い目を手繰ってピンを見つけて、それを少し曲げたポールの先に刺して固定するだけだ。少し力はいるが、パワー系作業を得意とするGOTOにとってはおちゃのこさいさい。片手で超々ジュラルミン製のポールを力任せにひん曲げてピンを刺した・・・。それまでキューキュー鳴いていたイルカ達が、また黙った。
我々はまだ気づいていないが、この時既にとある異変が新品のテントに襲いかかっていた。

同じ要領で、全てのポールをスリーブに刺して止めていく。ほぼ、テントの全景が見えてこれが終わるとテントは建ったも同然になる。本当に工夫の凝らされた素晴らしいテントなのだ。
我々もその事に感心して、LOGOSとこれを勧めてくれたハンターさんを褒め称えていた頃、GOTOが不思議そうな顔で最初に刺したポールを見つめていた。


我々はそれに気づかずにデビルブロックやインナーテントを付けて行っていた。残すはペグダウンのみになった時、GOTOが実に不思議そうな顔で最初に差し込んだポールを指してこう言った。
「あのさ、コレ、なんか曲がってない?」
その刹那、またイルカ達が鳴き止んだ。

—— 飛行機の機体にも使われている軽くて丈夫な「超々ジュラルミン」という素材でできているので曲がりにくくて安心です。

ニコニコとテントを設営して見せながら説明するあの日のハンターさんの声が、我々の脳裏に悲しげにリフレインしていた。

♪どおして どおして ジュラールーミーンー
曲がってしまったのだーろー?

(GOTOソロ→)壊れるーほどーひん曲げたー♪

そして同時に我々は頭を抱えるのを忘れて、笑い転げていた。

初開封から10分足らず、新品のドゥーブルプレミアムパネルにGOTOの洗礼が降り注ぎ、見事に味付けが施されて闇のテントと化した。
「後で逆に曲げれば大丈夫❤」と言うGOTOと一緒にみんな元気にペグを打った。危機が去ったことを感知したイルカたちはまたキューキューと可愛く鳴き始めていた。
恐るべし、GOTO。彼女は利き腕ではない左腕1本で、この飛行機の機体にも使われる超々ジュラルミン素材のポールをひん曲げたのだ。イコール、GOTOは飛行機を曲げられるということになる。今日も元気に電磁波を出しながら、飛行機を曲げるGOTO。そのうち何処かの国の諜報部員にスカウトされるんじゃないか。

爆笑の連続のドゥーブル初開封の様子は、こちらの動画でチェックできるので、ドゥーブル所持者の方々、または大型テント購入を検討されている方々は是非チェックを願いたい。
我々は説明書を見ずして建てているのだ。

次回、新品のテントが曲がったあまりの衝撃に動画化されてない後編部分を書き記す。
怒涛のアウトドアクッキング。スペシャルゲストを連れたディレクターが遅れて登場!そして、彼らをもう1つの闇が襲いかかる!?空気を読むイルカ達の賢さも際立つ後編は、月曜午前中に公開予定!
まさに動画供養のお焚き上げマガジン「闇キャンプマガジン」に相応しい内容でお送りします。

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