圧巻、塚本晋也監督『ほかげ』趣里,森山未來
塚本晋也監督の「ほかげ」を観ました。
(U-NEXTの配信ですが、私のU-NEXTはなぜか15分ごとに切れてホーム画面に戻り、再び再生させると15分前から15分送らないといけないという謎現象がおきます。検索しても解決策が出て来ないので、誰か同じような現象が起きてる人教えて…)
ほかげ、圧巻でした.. 趣里は「生きてるだけで愛」を観てなんて細くて暗い子なんだ…本当に何か障害を持っている子..?と思いながら、実家で母に「ブギウギ」の歌って踊るシーンを観せてもらって日本人でこんなにミュージカルが上手な子がいるのか!と感動し。そこからの、ほかげ。
凄い女優ですね。か弱さの中に、太さ、芯の強さがある幅の広い女優です。あっという間に惹きつけられました。
森山未來の演技も狂っていました…異色を放ちすぎて、口をあけてポカンとしてしまう程、凄いものを見てしまった気がします。ひとつひとつの表情と、その奥にある感情が重苦しくて一瞬で深く感情移入させられる何かがあります。それと同時に、目を背けたくなるような..なんだろうあれは、孤独な得体の知れない何か。アウトロー、はみ出しもの、無法者のように見えるのに、優しい心、傷ついた心、繊細さ。
商業映画に嫌気が差して、作品を消費している自分を感じる不快さの頻度が上がる中、この「ほかげ」は異色で圧倒的な作品でした。
塚本晋也監督の意思と祈りが痛い程伝わってくる。戦争がもたらすものを、目を背けるなよ!!という声が聞こえてくる。
感想と解説を検索していろいろ見ていたら、「ALWAYS 三丁目の夕日」は綺麗事のク○映画だと書いてる人がいて、なるほど…. と目から鱗でした。
ほかげは、誰も見ようとしない暗闇を穴から覗いてそのまま進んで直視させられる、吐き気をもよおすような現実を突きつけられる、素晴らしい作品でした。