【書くラジオ】#2 束の間の霧

つい数ヶ月前、母が「ちょっと良いシャワーヘッドが欲しい」と言った。

物欲がない家の母が何かを物を欲しがるのは、結構珍しいことだ。逆に、ちょっと良いシャワーヘッドについては、最近テレビで良く見かけるなぁと思っていた。流行りなのかな?良い、というのは、つまり少々お高いということだ。

父も「良いんじゃない?」「俺も欲しい!」と賛同したので、我が家のシャワーヘッドは本当にちょっと良いヤツに取り替えられた。本当に買ったのだ。

私は家で風呂掃除を担当している(担当しているなんて言い方は多分あまり正しくなくて、成人したのに実家に住まわせてもらっているせめてもの罪滅ぼしとして毎日行っている)のだけれど、最後シャワーで浴槽の泡を落とす時にすごく感動した。水が霧みたいに細かい…!本気でそう思った。その霧の中に、そっと手を差し入れてみたりした。

ところがそれから数ヶ月の今日、気付いてしまった。
このシャワーヘッドに対して、私は一っっっ切感動しなくなっている。

どんなに頑張ってみても、水が霧には見えない。水でしかない。
それに、そもそも私は風呂掃除の時以外にシャワーを使っていないんだった。湯船から汲むから。

水が霧に見えないのなら、このシャワーヘッドはもう「ちょっと良いシャワーヘッド」とは呼べないのかもしれない。両親が買った物だから、両親が良ければそれで良いのだけれど。でも、慣れって怖いね。


書くラジオを名乗った以上、「こんばんは!」みたいなテンションで書き始めようか迷ったけれど、とりあえず止めておいた。日常的に書いていきたくて、毎日そのテンションじゃ持たないかも、と思ったから。

でも、やっぱり最初ぐらいは言わせて欲しい。

こんばんは!読んでくれてありがとう。


#書くラジオ

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