ひとつのタルトから広がるもの
ある場所でいただいた、ブルーベリータルトの味が今でも忘れられない。
そのタルトケーキを食べたとき、
一つ一つの素材の優しい味が口に広がって、
不思議と生産者さんの顔が思い浮かんだ。
このブルーベリー農場はどんなところで、
どんな方がどんな想いで、育てたものなのだろう。
この生地の小麦は?クリームは?と、次々に
想像が広がった。自然と想像したくなった。
このケーキを作られた方はきっと、
その想いを大事にされている方で、
だから私の元にも届いたのだろうと。
自分が優しい気持ちになりたい時、
誰かにその気持ちをお裾分けしたい時、
私はきっとまたこのケーキが食べたくなって、
少し遠くても、お店に足を運びたくなる。
想いが載った本物に触れたとき、
出逢ったときに、心が動く何かがある。
そこから伝わるものはすごく豊かで、
自分の中にずっとのこり続ける。
いつかいつか、機会があったなら
この方からお菓子作りを学んでみたいと思う。
モノでも人でも、また逢いたいって思えたときは
すごく幸せだ。温かな余韻が続く。
そう感じる感性をなくしたくない、とも思う。
鈍感にならないように、自分にとって良いものを
見極めたい。そして誰かに私も繋ぎたい。