骨が強く!?なる薬:骨粗しょう症治療薬1/2 #00063
「1/2」を目にするとらんま1/2がよぎる世代の船原です。
しかしながら内容がらんま1/2とは全く関係が無くて申し訳ないのですが…。(船原)
つい先日薬剤関連顎骨壊死のオンライン勉強会に参加しました。歯科の先生と整形外科の先生による講演会だったのですが、歯科視点の情報のアップデートだけでなく、主治医である医科の先生の治療の流れやその治療に至る思考の流れを知る事ができて学びが深くなりました。それにつけても動画撮影の前に参加したかった…。
勉強会では骨粗しょう症治療薬の選択までの流れについても知ることができたのが収穫でした。その患者さんにどういった基準で薬が選ばれるのか、これまでの研究結果からきちんとフローがあり、薬によってはその薬を使い続ければ良いわけではない、あの薬を使用した後にこの薬を使うのには注意が必要、などを知ることができて大変勉強になりました。単に休薬、薬を変える、というわけではないのはなるほど…!といったところです。
マナビ研究室の動画撮影時も思うのですが、同じテーマに関わる他職種の方や、同じ歯科でも基礎研究をされている先生と臨床研究の先生では違う視点を知ることが出来てとても楽しく刺激になります。時には笑うポイントも違い、エッ?そこが面白い…?となったり、今の笑える~!と思っていたら真剣なお顔で質問タイムが始まったりします。普段だとちょっと空気が読めなかった…?となっちゃいますが、そのような事も恥ずかしがらずにどんどんできてしまう雰囲気があるのでとても居心地が良いです。質問しやすい空間や雰囲気作りは学びには非常に重要だと身をもって日々学んでおります(話が逸れました)。
さて動画では上記のような主治医の先生の目線ではなく歯科目線の内容なので、【骨粗しょう症】とくくると大幅に足りない部分もあると思いますが、大切な骨粗しょう症治療・予防を歯科からも支えるべく、知識のアップデートや整理の一助になればと思います。
02:35 骨代謝の生理のおさらい
04:11 ビスフォスフォネート製剤の作用機序・副作用
05:37 ヒト型抗RANKLモノクローナル抗体製剤の作用機序・副作用
08:04 SERMの(簡単な)作用機序・副作用
補足
「骨代謝」=古くなったり悪い骨を吸収→新しい骨の形成、というのが正常な骨代謝なのですが、このバランスが崩れると骨粗しょう症になります。
このことから、骨粗しょう症治療薬は、
①吸収を抑制する(骨吸収抑制)
②形成を促進する(骨形成促進)
③骨代謝のバランスを整える
のどれかで骨粗しょう症を予防したり治療したりします。
①にはビスフォスホネート製剤、ヒト型抗RANKLモノクローナル抗体製剤、SERM(Selective Estrogen Receptor Modulator)があります。
ビスフォスホネート製剤とヒト型抗RANKLモノクローナル抗体製剤は副作用に顎骨壊死があるので、歯科としては要注意です。
言葉で説明しきらない…と思い、一所懸命絵を書きましたので、詳しい機序はぜひ動画で見てみてください!
つい口腔に影響のある薬につい興味が行きがちですが、現時点では顎骨壊死が確認されていないSERMというお薬がまたすごいので、女性は知っておいてもらいたいです。
動画で吉野先生から質問のあった、顎骨壊死は「顎骨」だけなの?他の骨は壊死しないの?ですが、怪我などで骨に血流が滞ると骨壊死は起こしますが、薬剤の関連する壊死については現在(私が)確認しているところでは顎骨のみです。
ビスフォスホネート製剤や抗RANKLモノクローナル抗体製剤はまだまだ新しい薬なため、なぜ顎骨壊死が起こるのかの真相については現在進行形で研究が進められています。またSERMはもっと新しい薬なので、こちらも現在進行形で注目されているお薬です。
また♯00063動画では顎骨壊死については「お話ししない」と言いましたが、♯00063で説明しないだけで、後ほど薬剤性顎骨壊死だけを説明予定です。
その際には、上顎と下顎で発症頻度に違いはあるのか、顎骨壊死を予防するためにはどうしたらよいか、起きてしまった場合どのような処置が受けられるのかなどなどをお話できたら良いなと思っています。
動画クイズの答え
【クイズ】:顎骨壊死の副作用リスクがある骨粗しょう症治療薬は、ビスフォスホネートともうひとつは?
答え:ヒト型抗RANKLモノクローナル抗体製剤
骨粗しょう症治療薬のなかで、現在顎骨壊死の副作用があるのはビスフォスホネート製剤とヒト型抗RANKLモノクローナル抗体製剤と覚えておいてください。
ちなみに骨粗しょう症治療薬以外にも副作用に顎骨壊死が挙げられている薬があります(血管新生阻害薬:ベバシズマブ)。また今後の動画でほんの少し触れる予定です。