◆経済指標に翻弄される米市場
おはようございます。株の学校 マナカブ.com講師の中山です。
【相場概況】
◆きのうの日米株価指数終値
日経平均株価 27,413.88 -44.01
TOPIX 1,926.39 -12.25
マザーズ 660.54 -14.79
NYダウ 33,248.28 +435.05
ナスダック総合 12,316.90 +322.44
S&P500指数 4,176.82 +75.59
きのうの米国市場は金融引き締めへの警戒感が後退しハイテク株
中心に上げ幅を拡大しました。
取引開始前にマイクロソフトが業績見通しを下方修正したことから
投資家心理が悪化し主要指数は続落スタートとなりました。
しかしきのう公表された5月のADP雇用報告が前月比で12.8万人と
市場予想の30万人増を大きく下回ったことで積極的な金融引き締め
にはならないのでは?という思惑が台頭し、米長期金利が低下。
ハイテク株中心に徐々に買い直され、テスラ、エヌビディア、メタ
などが4%超値上がりし、結局マイクロソフトもマイナス圏から
プラス転換となりました。
ただ、雇用の伸びが鈍化したことは喜ばれるべきではなく、再就職
支援会社のチャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスが2日に
公表したリポートによると、米テクノロジー業界の人員削減数が
5月に4044人ととなり、1-4月の合計459人の9倍近くに急増している
ことを公表しています。
フィンテック企業も同様に1-4月440人の削減だったものが、5月だけ
で1619人とインフレや金利を巡る懸念もありコスト削減に向けた
人員再編の動きが見られています。
◆経済指標に翻弄される米市場
きのうADP雇用報告は市場予想より悪化、これを受けて金融引き締め
への警戒感が和らぎ米市場は上昇となったようですが、前日のISM
製造業景況指数が公表されたときには市場予想を上回ったことで
利上げの警戒感が高まり反落となりました。
これからも分かるように今の米国マーケットは
「良好な経済指標」→利上げ警戒→株安(ISM製造業景況指数)
「経済指標の悪化」→利上げリスク緩和→株高(ADP雇用報告)
と経済指標の良し悪しを素直に受け止めない値動きとなっています。
今晩は21:30に5月の米労働省が発表するNFP(雇用統計)が公表され
ます。
上図を見ても民間の給与計算代行会社のAPDが公表する数字と米労働省
が公表するNFP(非農業部門雇用者数)とそれとでは月によって大きく
乖離することが多々あります。
稀になら良いのですが、これが多々起こるため今回の5月のADPが
予想の30万人増に対して12.8万人だったからとて、NFPも同様の
数字になるとは限りません。
今晩発表されるNFPの予想は32.5万人となっていますが、ADPと異なり
仮に予想を上回る数字となれば、上述した良好な経済指標の流れから
株安へとつながるリスクもあります。
加えて投資家心理というのは気分屋であり、今は経済指標と株価が
相反する動きとなっていますが、インフレの落ち着きなどが見られ
始めるようになるとこのデカップリング相場は解消され素直に反応
するようにもなってくると思われます。
日本株は先日もお伝えしたように米国株が上げても下げてもあまり
影響なく目先は上昇しやすい展開を予想しています。
今晩の雇用統計が良かったとしても悪かったとしても円安や
ガラパゴス化した金融緩和、経済再開などが支えとなり多少の乱高下
はあるにせよ目先は上値を追う展開が続くものとみています。
※本日の経済キーワード※
【ADP雇用報告】
民間給与計算代行業者大手のAutomatic Data Processing(ADP)社が、
自社の持つ全米約50万社、約2400万人のデータを元に発表する雇用調査
レポート。
市場の注目度が高い労働省による雇用統計のうち、非農業部門雇用者数
(NFP)の民間部門との相関性が高いとされており、雇用統計の先行指標
として注目される。
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