#028 構想でクリエイティブを発揮しよう|プロジェクト成功の研究日記
こんにちは。management studioの吉見です。
#027では、構想=プロジェクトデザインの最初におさえるべきポイントを記事にしました。
土台になるポイントをしっかりおさえたら、次は価値実現につながるクリエイティブなステップです。
プロジェクトマネジメントのクリエイティビティについては様々な意見があると思います(そもそもクリエイティブとはなんだ?という話もありますが、ここでは個性的なアイデアを出す力や共感を惹きつける力とします)。
「プロジェクトマネジメントは冒険するよりもしっかり手堅く進めるべきだ」
「プロジェクトマネジャーは管理が主であり事業や成果の中身に対してあまり主張すべきではない」
確かに「プロジェクトマネジメントに何を求めるかという視点」でいうと、まずは問題を減らしてゴールすることでしょう。
しかしそれは「プロジェクトに関わるプロフェッショナルの視点」では必要条件であって十分条件ではないと思います。
プロジェクト成功のプロには、手堅さに加えてクリエイティブも大事。
プロジェクトマネジャーに限らず新しい組み合わせや共感といった要素はビジネスには不可欠です。よく言われる0→1や1→10。得意不得意はありますが、二者択一ではなく両方持ち合わせることが必要です。
そのクリエイティビティを発揮する絶好の場がプロジェクトデザイン。
まず、おさらいです。最初におさえるべきポイントは次の3つでした。
前提条件と制約条件
ステークホルダーホルダー
ゴール設定(最低限)
これらは「確度が高く、コントロールできないもの」ですね。
では、次のステップでクリエイティビティを発揮するポイントがこちらです。
ゴール設定(最高)
事前リスク検証
成果設定
まずゴール設定。「え?おさえるべきやつなのでは?」という疑問があるかもしれませんが、おさえるべきは最低限のゴール。最低限のゴールとは、プロジェクトがもし思ったように上手くいかないとしても実現しなければ失敗になるものです。
一方でクリエイティビティを発揮するのは最高のゴール。この設定こそ、つまりチャレンジする山の高さを決めるプロセスこそが、プロジェクトマネジャーが本領発揮する場です。
ただ理想を語るだけなら誰でも語れます。しかし、責任と役割を持った上で理想と現実のギリギリのラインを狙うチャレンジは、シビれるくらいにプロフェッショナルの領域。
次に事前リスク検証。これはディフェンス要素が強いのでクリエイティブな印象が弱いかもしれませんが、本質はリスクの評価にあります。
リスクは通常、保身的に評価しがちです。しかしリスクとは不確実性であって、特に初期段階は危機にも好機にもなります。むしろトレードオフであることが多い。
リスクを適切に評価してチャレンジのハードルを下げすぎないことは、結果的に価値実現の高さに影響します。
そして成果設定。何をつくるのかを明確にすること、目標を合意形成することですね。
おさえるべきことと、最高のゴール、正しく評価したリスクを結実させ最適な成果を提案することはプロジェクト自体の意義を高めます。
成果の設定に受身ではなく、積極的に目指す目標として示すことはチャレンジと実現の最適バランスの提案と言えます。
このプロセス、提案がしっかり受け入れられると長い目で見てもプロジェクトマネジメントがやりやすくなります。
場合によっては「そんなのプロジェクトマネジメントじゃない」と言ってくる人もいるかもしれませんね。それならそれで、構わないと思います。
プロジェクトマネジメントはプロジェクトの成功、つまり世の中に価値を実現するための手段。所詮、手段です。
手段の定義や役割にこだわるよりも、本当に意味があることをやる方がいいですね。
私も自身の胸に刻みながら、日々の実務に向かい合いたいと思います。
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吉見周平
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