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スクラムマスターとは、人を幸せにする仕事なのです。マジで。

ヤバい本を読んでしまった。
このお盆休みは時間があったので、積読を2冊消化したのだが、そのうちの1冊のことだ。今日は、この本を読んで気づいたことをまとめておこうと思う。

その前に。

この本は、「データの見えざる手」という本の続刊なのだが、先にそちらの話を少ししておこう。

この本では、腕の動きを加速度センサで計測し記録するウェアラブルセンサにより判明した、人間の行動と生産性や幸せとの関連について書かれている。それによると、

  • 一日の総活動量と帯域は決まっている。

  • 幸せはウェアラブルセンサで測れる。

  • 社員のハピネスを高めると会社は儲かる。(←生産性が上がるから)

のであった。非常に科学的な本なのである。詳しくは、ぜひ本書をお読みください。

さて、本題である。

「予測不能の時代」は、「データの見えざる手」から更に一歩進め、予測不能な世界で企業は、そして個人はどう生き残っていくか?が書かれている。
かなーりザックリした結論を言うと、

  • 多様で変化するニーズに対して、アジャイルで対応すべし

  • 幸せな人や組織は生産性が高いので、そこを目指すべし

  • 幸せは測れるので、データで改善でき、訓練や学習で持続的に高められる。

と、いうものである。

予測不能な未来を生き抜くために

昔の開発や生産というのは、「未来は予測可能である」という認識に基づいていた。計画を立て、それに沿って実行する。マニュアル化し横展開する。生産ラインはスケールアップし、安い労働者を充てる。それが、正しかった古き良き時代。
でも今や、未来は予測できなくなった。そんな時代には、PDCAというやり方は合わなくなってしまった。
この本では明確に「アジャイル」とは書いていないけど、多様に変化するニーズに対応する策として書かれているのは、アジャイルそのものである(実験と学習を繰り返す、手段ではなく目的が大切、自己完結的な機動力を持つ)。1つだけ追加されているのは、「自律的で前向きな人づくりへの投資が必要」ということだ。

幸せとはなにか?

人づくりへの投資。それこそ「人や組織を幸せにすること」なのである(この本で明確にそうは言ってないけど、私はそう読んだ)。
その前に、幸せとはなにか?を確認しておこう。

よく幸せとは「旅先の露天風呂にのんびり浸ること」とか「おいしいお酒を飲むこと」とか皆言うのだが(てか私は言うw)、それは「幸せという、良い状態の実現のための手段」なのである。
ここで論じる幸せとはそうではなく、望ましい状態になった結果、経験する身体的変化(生理現象)という側面を指す。気持ちが高揚するとか、胸がいっぱいになる、とか、そういうことだ。そこで。
ウェアラブルセンサで身体の動きを加速度として継続的に記録し、同時に人の主観的幸/不幸を数値化するため、質問紙による計測を定期的に行う。この質問紙で「幸せ」と回答したタイミングと、ウェアラブルセンサで取得したデータパターンに、合致するものがあったのである。

人の幸せは測れる、ということなのだ。しかも、今やスマホレベルで。

先の本にもあったように、幸せな人や組織は生産性が高い(業務の生産性が37%も上昇するケースもあったという)。ということは、会社が組織の幸せを追求することが、会社の利益に直結すつということなのだ。では、そのデータパターンはどういう時に出るのか。恣意的に作り出せるものなのか?

結論は「作り出せる」。前述の方法で割り出した幸せな組織の特徴は4つあり、

  1. 人と人とのつながりが特定の人に偏らず均等である

  2. 5分から10分の短い会話が高頻度で行われている

  3. 会話中に体が同調してよく動く

  4. 発言権が平等である

「コミュニケーションが上手く行っている」「Have Fun!」みたいな、ぼんやりしたものではないのだ。超具体的で、何なら計測可能なのである!!

そこで気付いてしまった。

で、これを読んでいて思ったのだ。あれ、これってスクラムマスターのやってること・やるべきことだよね、と。
変化に強い開発組織にするために。ソフトウェア開発をこれまでのように土方や体力勝負の仕事ではなく、楽しくて創造性にあふれた仕事にするために。私たちのやっていることだ。

スクラムマスターの仕事は、組織を、そして組織の中の人を幸せにする仕事だったのだ。なんということだ。
私がアジャイルと出会った頃に考えていたこと。もうデスマで不幸になる人を見たくない、ソフトウェア開発はもっと創造的で楽しいものであるはずだということ。それを「皆を幸せにする」という最上の形で叶える仕事だったのである。

そして。これまで読んだ数多の本が言うように。開発が楽しくメンバーが幸せならばチームは良い結果を残せるということは、根性論でも経験則でもなんでもなく、科学的な根拠があったということなのだ。

最後に

意を決してスクラムマスターになって、もうすぐ半年になる。まだまだ手探りで進んでいる状態で、これまでやっていた職種を続けていれば、こんなしんどい思いしなくて済んだかも、、と、思わなくもない勿論。

でも今回この本を読んで、私の選択は間違ってなどいなかったと、また前向きに気持ちをリセットできたのは僥倖であった。
この出会いに心から感謝するとともに、皆さんにもこの気持ちを、少しお裾分け出来たら幸いです。

今回、実はこの本の半分しか紹介できなかった。女性はスクラムマスターに向いてるんじゃないか?とかも、入りきらなかった。。
この本の後半には「個人の幸せは、訓練や学習で持続的に高められる、スキルの一種である」という話が残っておるのだが、長くなるのでまたそのうちに。。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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