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■動画付/市役所に成果をもたらす「経営企画部」の必要性と5主要職務
1.経営企画部の必要性の背景
■成果不足を続ける与党内閣と行政組織の責任
国家経営と地方経営の失敗による「失われた30年」による日本の衰退、そこからの人口減、結果としての消滅可能性自治体の発生など、国家経営と地方経営を担う行政組織(政府と自治体)の失政から、この両組織の存在価値が大きく低下しています(下図参照)。
この成果不足から低成長、貧困、格差などが拡大し、住民と国民の不満が高まっています。与党内閣と行政組織(政府と自治体)には、自ら招いたこの低成長と社会縮小に適応し、地方と日本の衰退を阻止する責任があります。
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■2025年以降、現職の苦戦・落選顕著に
それは、上記の「人口減と成果不足」を繰り返してきた現在の組織運営の継続や強化ではまったく意味がなく、それでは行政リーダーの多くが成果不足から、更迭、または落選になります。
2025年以降は、市民減と成果不足から各地で市民の不満が爆発し、現職の退任、再選時の苦戦、そして落選が顕著になります(下図参照)。
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■ドラッカーの1969年の指摘
このような行政組織の成果不足とリーダーの苦境は、ドラッカーが1969年に刊行した『断絶の時代』(ダイヤモンド社)で、「公的組織は太って巨大になっただけで成果はあげていない」とし、その浪費体質とリーダーの自己改革不足を指摘しています。
その一方でドラッカーは、社会の中核組織として、成果をあげる活力ある公的組織が必要とも語り、1973年に刊行した名著『マネジメント』で、公的組織も含めた組織が、「社会に貢献できる成果」をあげる基本(必要とされるもの)と原則(共通のルール)を、マネジメント(経営)として明らかにしました。
■ドラッカーの指摘を軽視した行政組織
しかし公務員と行政組織(市役所)は、ドラッカーの「マネジメント(経営)が必要とする指摘と助言」にもかかわらず、自己改革が伴うマネジメント(経営)の活用を、意義の少ないさまざまな理由をつけて、長期間、怠ってきました。
結果、公務員と行政組織は、自ら組織の機能発揮を滞らせ、職員を活かせず、市民と国民ニーズに大きな負担を強いる、長きにわたる成果不足と人口減、そこからの自らの衰退である消滅可能性自治体発生といった大きすぎる難題を抱えることになりました。このマネジメント(経営)不足からくる状況を打破しなければなりません。
※以上の引用:『ドラッカーに学ぶ公務員のためのマネジメント教科書』(Kindle)
2.経営企画部の誕生
■経営に関する市役所の無理解
組織に成果をもたらす経営の考え方と体系は、ドラッカーが既に準備しています。かなりの企業や社会への貢献を使命に明記している一部の行政組織(市役所)は、それを活用し成果をあげています。
しかし、多くの公務員と行政組織は、このマネジメント(経営)を、首長は企業の経営者のもの、部課長は目標達成のための管理的なもの、職員は民間の手法と曲解し、自らへの活用を怠ってきました。
しかしこの曲解による「不作為」は、前記した損失の大きさから許されるものではありません。人口減と成果不足の行政は、一刻も早く経営の活用に取り組まなくてはなりません。
■経営の活用
経営の活用では、①経営の考え方と体系の活用、②活用における理解の徹底と浸透が不可欠になります。現在の多くの行政組織(市役所)では、この①②に関する役割が、総合企画部や総務部などに分散し、その役割発揮と成果に対する責任が曖昧になっています。
ここに組織(市役所)全体での経営に関する知識と経験の不足が重なり、経営の導入と展開おける「経営(マネジメント)」の具体的な取組が中途半端になっています。これが市長が議会で毎年「行政改革」を叫んでも、行政組織(市役所)に「経営」が定着しない大きな要因です。
■分権型組織の特徴
ここに、「経営」を担う経営企画部の必要性があります。経営企画部は、環境変化への迅速な対応に必要な分権型組織の成立と並行して、組織に成果をもたらす経営を所管し、①組織トップの全庁的な経営活動を補佐すると共に、②分権された各部の経営活動に助言と助力を提案する組織として誕生します。
分権型の組織には、下図のような特徴があります。㋐組織トップの意思決定が、長期・横断・新規に専念できます(構想力の強化)。㋑各部経営力の向上が期待できます(経営力の向上)。㋓経営企画部の組織トップへの補佐と各部への助力・助言は、経営に関する専門的な知識と情報の提案によって、全庁と各部の経営的活動を促進するものになります(支援機能の強化)。いずれも組織の成果産出に貢献します。
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■経営支援に関する専門性
経営企画部は、経営知識にもとづいて業務を遂行することから、組織の成果をもたらす経営(マネジメント)と、政策に成果をもたらすマーケティングに関する専門的で高度な知織が求められます(下図参照)。
その責任は、人口減時代での組織全体の成果達成(経営目標、市民満足)にあり、全庁と各部の経営活動と政策形成を支援・促進し、組織全体を「市民の幸せ実現」の方向につながる発展軌道にのせることにあります。
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経営企画部は、支援部門であることから、優位的な権限ではなく、現業の基幹部門への経営と政策に関する実践的な提案・支援による信頼によって機能発揮を図ります。
つまり、市民ニーズと各部の能力を客観的に分析し、現在から将来にわたる各部の経営能力を把握し、そこから各部に必要な経営・政策的助言と助力を行うことで各部の成果があがる事実が、経営企画部の存在を確実なものにします。基幹部門の成果達成に貢献できない支援部門では、その存在意義が薄れます。経営企画部は経営とマーケティングの専門家です。
4.動画:経営企画部の主要職務
■経営企画部の5つの主要職務
経営企画部は、組織の将来の方向性を定める重要な役割を果たします。地域社会の動向を分析し、挑戦的な経営目標の設定、それを実現する経営戦略の立案や新規事業の策定、予算の作成、組織の編成などに関して、経営全体を鳥瞰しながら市長と各部長の意思決定を支援します。
また、各部署と連携しながら戦略の実行や成果の評価・改善を行い、全庁と各部の挑戦的な経営目標の達成を図ることも重要な仕事です。
こうして、分権型組織では、①経営トップである市長の全庁的な経営活動の補佐、②分権化された各部の経営・政策活動に助力と助言を行う部門として、全庁に支援部門としての「経営企画部」が設置されます。
この経営企画部の役割は主要職務として下記の5つがあります(下記動画参照)。
(1)経営企画部は「市民起点経営の推進者」
(2)経営企画部は「市長の経営と戦略スタッフ」
「各部の経営との政策の支援者」
(3)経営企画部は「発展機会を探し出す発見者」
(4)経営企画部は「組織の全体最適を実現する調整者」
(5)経営企画部は「自己改革の責任者」
経営企画部の評価は、全庁目標の達成と市民満足の向上であり、それは各部の経営目標の達成になります。市民減と成果不足を続ける行政組織(市役所)の必要なのは、上記5つの役割(職務)を果たす、組織に社会の安定と発展に貢献する「成果産出」を可能にする「経営企画部」の新設です。
―行政経営総合研究所と関連書籍の紹介―
人口減や成果不足といった「行政経営」に関する課題解決の糸口は必ずあります。お気軽にお問い合わせ下さい
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