見出し画像

ビジネスマンにとって、勤め先が大企業の方が不利な3つのこと

これから成長していきたいビジネスマンにとって、所属する組織が大企業の方が有利なことが多いのですが、中小企業のほうが有利なことも少しだけあります。

そう意味で、大企業に勤めるビジネスマンが知っておいた方が良いことを3つピックアップします。


(1)ビジネスモデルを肌で感じることができない

中小企業では、自分の仕事が、商品を売ったりサービスを提供したりする営業だとしても、自分の担当以外の業務や仕事のお金の流れにそれとなく触れることができます。

例えば、お金(売上金)の回収に困っているとか、見込み客の獲得がうまくいったとか、商品・サービスを顧客からの要望で改善した、というようなことは、自分の担当外の仕事になります。しかし、直接触れていなくても「なんとなく」肌でわかるのです。

小さな企業では「会社全体の仕組み」つまり「ビジネスモデル」そのものを感じることができるのです。これは経営を語る上で重要なことです。

企業はお金をもらって、初めて成り立ちます。そのために商品やサービスがあり、それ以外にも、多くの業務が必要となります。この企業全体の流れや仕組みをアナログ的に理解できます。ここでアナログ的というのは「流れ」というような意味で使っています。


一方、大企業では、多くの場合では、配属された一つの部署の中のことだけで、毎日が過ぎていきます。もちろん、部門間の折衝をする人もいると思いますが、基本的には分業された一部署の内部の仕事に従事します。そして、部署の評価基準で評価されていきます。出世するために多くの人は部署の評価をあげるように働きます。

大企業では、責任や役割は部署ごとにあります。そして部署から部署へと情報やモノが移動していきます。この仕組みは、少しデジタル的なのです。

大企業では、営業のプロ、経理のプロなどの専門職は育ちますが、どうしても部署の価値観に染まります。自分の仕事を通して会社を見ています。部署によっては、顧客も業界も見ていないという人も多いのです。

経営幹部になれば、ビジネスモデルそのものを、時代に合わせて変えていく必要があります。経営全体をみて、ビジネスモデルを語ることができなければ企業の舵取りは難しいのです。

ついつい、目先の仕事、目先の評価に捉われて、視野が小さくなっていませんか

将来、経営を担う人は、部署の価値観だけではなく、会社全体を、顧客を、業界全体を、社外のバリューチェーンも見ていく必要があります。


(2)実力を見てもらえず、出世できない

中小企業では、従業員の人数が限られています。

サッカーや野球のチームであれば、控えのメンバーも含めて数十人ですから、それぞれどんな特徴があって、どんなコンディションであるのか分かります。同様に中小企業では従業員のことが見えています。(あくまでも、ある程度ですが)

当然、仕事のできる従業員は、社長や上司から認められるのはもちろん、同僚からも一目置かれるようになるでしょう。

一方、大企業では、組織のなかに埋もれてしまいます。その部署のスキル以外は、アピールする機会もありません。

経理担当者にすごい営業能力があっても、新規事業を開発する能力があっても、発揮できませんし、評価もされません。最初の配属で運命の半分は決まってしまうのです。粘り強く異動願いを出さなくてなりません。


大企業では、多くの場合は「昇格試験の結果」と「所属長の評価や推薦」で出世が決まります。あなたの実力は、部署内の評価と試験の点数で機械的に判断されてしまいます。

大企業で実力をつけ、認めてもらうには、コツがあります。

私自身、企業在籍中には気がつかなかったコツです。社外から企業を見る立場になって、わかったことがたくさんあります。このnoteで順次、公開していく予定です。


(3)生ぬるい社内風土に巻き込まれる

中小企業は動きが機敏です。

社長が戦略を変えれば、会社も変わります(そうでない会社もありますが)。ドライバーがハンドルを右に切れば車が曲がるようなものです。社長の意志が変われば社内の雰囲気も変わってきます。

もちろん、人間は慣性の生き物なので、今までのやり方を変えるのは大変なことです。しかし、中小企業では、社長と従業員が近いので、適切なメンバーをリーダーにすることができます。「新しい戦略にはこんなメリットがある」と伝える社長の熱意が、従業員を動かします。結果が出れば、従業員も納得します。

そもそも経営基盤の弱い中小企業では、結果が出なければ存続の危機につながります。そういう意味で、緊迫感があります。人ごとではないのです。


一方、大企業では、どうでしょうか。

会社ごとに長い経験から積み上げられた風土があります。仕事の進め方も、企業ごとに型があります。

企業によって、事なかれ主義だったり、イケイケな感じだったりするわけです。この雰囲気はなかなか変わりません。そもそも「変えようとしていない」でしょう。悪い風土なら変えるべきですが。

会社の新しい戦略が決まっても「また違う戦略に変わるから」と、前向きにやっているポーズをとるだけという企業もあります。本当にいろいろな風土があります。


また、配属された部署には、部署ごとの雰囲気があります。

優秀な従業員が無駄の多い業務手順を改善しようと思っても「面倒を起こすな」という雰囲気だったりすることもあります。

中には、仕事を選り好みして、まったく仕事をしないわがままさんがいる部署もあります。「同一労働同一賃金と言われている今なら、待遇を下げなくてはまずいでしょう」というレベルです。ほんとにモラルが下がりますが、そんな状況でも、そのまま放置している部署が多いのです。


大企業に勤めている人は安定志向の人が多く、争いを好みません。一度、醸成された雰囲気を変えるのは、たいていなことではありません。そんなこんなで、ついてしまったこの風土を前提に物事を進めていかねばなりません。つまり風土を前提として仕事をするようになっていきます。染まっていくのです。

言い換えれば、顧客志向ではなく組織志向になるということです。顧客のために組織が変わることはありません。

組織のために気を使い、組織のことを考え、それが評価につながる。でも、それって、変ですよね?

企業は、顧客のために、最大限に努力すべきなのに、自分のこと、自分の部署のことを考えている。アルバイトや一般職だけでなく、中間管理職、上級管理職さえ、自分の部署のことを考えている企業が多いのです。

そんな風土を放置しているようでは、世界で戦えるような企業にはなれないということにも、やがて気がつかなくなります。顧客を見る目、世界を見る目を失ってしまうのです。それでも「うちの会社は大丈夫」と思えるのが大企業なのです。

あなたは、社内風土のなかで、溺れていませんか?


画像1

大企業で、ビジネスマンが成長するために

いかがでしたでしょうか。

大企業は多くの点で、中小企業より恵まれています。優秀な上司や同僚に恵まれていますし、刺激もあります。

ただ、この記事で伝えた3つのことに注意すると、より早く経営陣に出世できると思います。

(1)視野を広げビジネスモデル全体を見る目を持つこと

(2)大企業で出世するには、コツがある

(3)ビジネスは本来「組織外に働きかけること」なのに組織内の問題が大きい


日本企業の経営システムには、いろいろ矛盾があります。「失われた30年」と言われることもあります。それは政策に問題があったのかもしれませんが、企業にも原因があります。

この記事を読んでいるあなたが、新しい感性で企業経営に携わることで、日本経済にも光が差すと思っています。


わたしは大企業で約20年間働き、その後、中小企業の経営のサポートしてきました。大企業の中から見た視点と企業を外から見た視点という2つの視点から、大企業で頑張っている人に役立つ記事を書いていきます。

画像2


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?