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【LDS活動記】原点回帰できた新潟フィールドワーク
「つくる」ってたのしい!の原点に戻った3日間
11/15~17に、「LIVE DESIGN School」のフィールドワークで新潟・古町へ行ってきました。
新しいものと古いものが混在する、ゆるやかに時間が流れる商店街で
どっぷり過ごした三日間の記録。
(個人的な備忘録のため、駄文です‥🙏)
今回のフィールドワークのミッションは
「35人に話しかけてみる」。そして、「商店街で勝手につくる」。
商店街という狭いエリアにあえて限定して3日間入り込み、より「まちの日常」に近づくからこそ見えてくるものがありそうでワクワクします。
1日目
この歳にして、人生で初めての1人で乗る飛行機(!)。
ちゃんと乗れるのか!?ドキドキしながら向かい、
無事空港で「新潟へようこそ」の文字を見た時には本当にホッとしたものです…。
集合場所の青海ショッピングセンター奥のお食事処へ向かうと、いつもオンラインで見る顔やおなじみの顔がずらり。
久しぶり、はじめまして、と緊張気味に言葉を交わしながらお刺身定食を食べていたら、せっかくの炙りのどぐろも味わうのを忘れていました…。
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食事が終わったら商店街の道端で自己紹介タイム。
今回アテンドしてくださる合同会社アレコレ代表の 迫さんからの「好きなキャラクターは?」という質問にも順番に答えていくメンバーたち。コジコジが人気。(9時5時?と聞き間違える迫さん)
さて、まずはみんなでレンタサイクルに乗り、街を金沢さんと迫さんに案内してもらいました。
自転車に乗って駆け抜けると、なんだかまちの一員になった気分で楽しかった〜。
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商店街から少し自転車を走らせると日本海が広がっていたのにも驚いた!
そこには釣りを楽しむ人たちの姿も。すき間時間にスーツ姿で釣りをしに来る人もいるんだとか。
狭い範囲でコロコロと表情が変わる、住んでいて飽きないまちなんだろうな。
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夕方からは、迫さんと上古町の百年長屋SANの金沢さんとのトーク。
インタビュー記事だけでは知れなかった、SANができるまでのエピソードを聴けてよかった。本当に良いコンビ!良い出会いを逃さないって大事だな。
夜はみんなで手巻き寿司と鍋を食べながらおしゃべり。
庭で焚き火を囲みながら、普段の慌ただしい日常から離れたゆっくり過ごす時間もまたよかった。焚き火って、わいわいした飲み会よりも本音がぽろっと出ちゃいそうな空気があるな〜。
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2日目
翌日は新潟市歴史博物館「みなとぴあ」で新潟の歴史に触れる時間。
信濃川や海など、地理的な環境が時間をかけてまちを作っているんだな~。
(自分の地元・静岡や、住んでいるまち・滋賀のことをどのくらい語れるんだろう…。汗)
新潟名物の笹だんごを食べた後は、「勝手につくる」のリサーチのため各自自由にまちを回る時間。
お昼ごはんに入った「中華料理 楼蘭」では、料理が出るまでに55分かかるという想定外の事態も。
(私は 餃子30分→半チャーハン25分 というコース料理形式だった)
「この店はアトラクションだから」と語る迫さん‥
そういえば、参加メンバーの誰かが「まち全体が急いでない感じがする」と言っていた。待つことすら楽しんでいるような、おおらかなまちだ…!
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待っている時間には迫さんにポートフォリオを見てもらい、デザインのアドバイスもいただく。ドキドキ。
フリーランスかつある程度経験を積んでくると、人に成果物を評価される機会がグッと減ります…自分から積極的に評価される機会を作らないと、デザインのレベルも上げていけないな、と痛感。
お昼ご飯で思わぬ時間の夕方からはグッドデザイン賞にも選ばれた「道の駅たがみ」駅長の馬場さんのトークがあるので、間に合うように急いでまちを自転車で回る。
すると、目が合った地域の方に話しかけられ、おすすめの甘酒を一緒に飲みながらおしゃべり。
「トイレットペーパーを三角に折る本当の理由を知りたくない?」と言われましたが、話せば長くなるらしいので丁重にお断りして次のお店へ‥。(ごめんね)
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ローカルガイドブック「新潟古町100選」で気になっていた笠原豆店さんへ。
本を見せると、自分の店が掲載されていることを知らず、びっくりしていた(笑)
「さっきは愛知の子が来たのよ」と、店主の笠原さんの嬉しそうな表情が印象的でした。
(のちに、同じくFWに参加していたLDS生のゆりちゃんだと知る)
道の駅たがみの馬場さんと迫さんのトークにはなんとか間に合った。
これが、とてもよかった!
「たがみバンブーブー」は運営が大変そうなすごく大きなイベントなのに、関係者はもちろん住人すらも巻き込んで、みんなの自分事にしてしまう馬場さんの人柄がとても魅力的でした。
私も地元でイベントをやりたい!と思っているので、イベント準備をワークショップ形式にする方法などは参考にできそうです。
夜は洋食レストランの「Dr.可児」さんへ。
私は別のテーブルだったので聞けなかったけど、カウンター席ではマスターと奥様の馴れ初めの話をしていたらしく、気づいたら奥様が泣いていた!
そういえば、二件目のお店で出てきた郷土料理「のっぺ」が美味しかった。各家庭で味が違う、ハレの日の料理らしい!こういう情報もたくさん知りたいな~~
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3日目
いよいよ最終日。この日は「勝手につくる」制作がメイン。
それぞれがまちでふれあった人やものから感じたことをもとに、こんなものがあったらいいな、というものを「勝手に」作ります。
朝はゆっくりモーニングを食べ、地域で愛されるパン屋さんを二軒巡り、ゲストハウスをチェックアウトして余裕をぶっこいてSAN二階の作業場に行くと、すでにみんな血眼で制作モード…。急に焦りだす私。
私の「つくる」テーマ
さて、私の制作について。
まちに降り立ってからずっと商店街のお店の看板に注目していて、「個性的で味のある文字が多いな」と感じていました。
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こういう文字って、ずっと暮らしている人にとってはそれが単なる文字情報を超えて、ふるさとの風景として頭の中にビジュアルで刻み込まれると思います。
でも、古いお店は後継者不足でこれからきっとどんどん減っていく。
今から新しくデザインするのは絶対に無理であろうこの文字たちを、どうやって残せるだろう?と考えた結果、
「フォントを作ろう」と思いました。
気になった看板の写真から一文字ずつひたすらトレースし、フォント化していきます。
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でもそれだけでは何だかつまらない…。
人とのかかわりの中でハプニングが次々起こる、おもしろ劇場のようなこの商店街らしさやあたたかさがもっと出せないだろうか?
そう思い、「狙い通りの文字が打てない」しかけを作ることに。
「む」と入力すると、喫茶店「ムーラン」の看板の女性のイラストが出てきてしまったり…
(単に足りなかった文字を補うため、というのはここだけの秘密です)
データ化した文字はフォント作成サービスを使ってOpen Typeフォントにして、パソコンにインストールして使えるように。
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新潟FWの目玉、制作発表会
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さて、いよいよみんなの制作発表の時間。
お店の「営業中」の看板を集めてカルタを作る人。
わらしべ長者をまちで実践し、サイトにまとめる人。
事業計画書を書いて物件候補まで見つけちゃう人。
オリジナル商品を開発しちゃう人。
イラストを描く人。ZINEを作る人。
歩いてたら偶然受注しちゃったという(!)ロゴのデザインラフを見せる人。
街角にほっこりする仕掛けを作る人。
文章を書く人、マップを描く人…。
とにかく全てアイデアが面白くて、誰かが喜ぶ素敵な遊び心にあふれていて、鳥肌が止まりませんでした。
みんなクオリティも本当に高いものばかり。
同じまちで3日間過ごしたのに、視点の違いでこれほどまでに多種多様なアウトプットが出てくるのか!とめちゃくちゃワクワクしました。
それと同時に、久々に「くやしい!私ももっとできたのでは?!」という感情も…。
こういう感情を久しぶりに感じられたのは、クリエイターとしても良いことだな、と感じました。
最後はみんなで感想タイム。
「帰りたくない」と涙する参加者に、思わずみんなもウルウル…。
ほんと、濃密な3日間でした。
解散後、私はもう一泊するため一人ホテルにチェックイン。
「最終日は人に疲れて一人になりたくなるかも」と、ゲストハウスからビジネスホテルに変えたのですが、いきなり一人になってめちゃくちゃ寂しかった…
翌朝。ホテルから空港行きのバス停までの道中、行きはただ長いと感じていた萬代橋も、また違った気持ちで渡りました。
知ること、体感することで、見えるまちの景色はこんなに変わるんだなと実感。
果たして自分のまちのことは、ちゃんと知ろうとしていただろうか?
帰ったら、まちの良いところを改めて探してみよう。
さて、滋賀に戻り、駅からスーツケースを引いて歩いていると「どこまで行かはるの?乗せっててあげようか?」と知らない女性が声をかけてくれました。
「湖南市の人はシャイだから」と思っていたけど、こんなこともあるのか!
自分の暮らすまちでも、もっと人と関われるかも、と思えた瞬間でした。
その日は私設公民館マメコーを地域の方が開けてくれていたので、そのまま立ち寄ってお土産の笹団子を食べながら、私が過ごした3日間のこと、新潟と比べた自分たちのまちのことを色々話しました。
なんのためのフィールドワーク?
フィールドワークに行く目的や意義は色々ありますが、その一つは
「自分のまちの良さを見つけるため」なのかも、とふと思いました。
数日間、そのまちの「良い所探し」のアンテナを張り続けることで
自分のまちに帰ってきたときもその感覚がそのまま研ぎ澄まされているような感覚。
少しの「よそもの目線」を持って帰ってくることで、わがまちの解像度が上がる。
これが、単なる観光とフィールドワークの違いなのかもしれません。
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新潟FWの収穫
今回のフィールドワークでの収穫は、まちで人と関わるおもしろさ。
そして、誰かを思う遊び心をもって、「つくる」を楽しむ心。
この旅で印象的だったのは、参加者みんながそれぞれにまちの人たちと関わり、しっかりドラマを作り、また出会った人たちを思って楽しくものづくりしていたこと。
クライアントワークに日々追われていると、つい「つくる」ことの楽しさを忘れてしまいがち‥。でも本来、つくるってめちゃくちゃ楽しくて嬉しいことだし、作ったもので誰かが喜ぶ顔を見るのはもっと嬉しい。
そんな原点に返ることができました。
ヒッコリースリートラベラーズの「日常を楽しもう。」の言葉通り、
遊び心を持ってどんどん人、ものとの関わりを楽しんでいきたい。
商店街で実践した「勝手につくる」。
さて、自分のまちで作るなら、何を作ろうかな?とワクワクしている自分がいます!