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夏の日

暑い夏の日、浴衣姿の女の子が一人、神社の境内を歩いていました。

日が沈みかけ、空が赤く染まる時間帯。

蝉の声が響く中、彼女は境内の奥にある古びた祠に興味を持ち
足を運んでみました。

祠の前に立つと、ひんやりとした空気が漂い、まるで時間が止まったかのような静寂が広がっていました。

彼女は祠の扉をそっと開け、中を覗き込みます。
薄暗い中に、古びた紙人形が並んでいるのが見えました。

その紙人形の中には
何故か彼女の名前が書かれたものが混ざっていました。

驚いて後ずさりしようとした瞬間、
背後から冷たい風が吹き抜け、浴衣の裾を揺らしました。

振り向くと、そこには誰もいません。
しかし、再び祠に目を向けると、紙人形が一つ動いたような気がしました。

不安を感じながらも、その場を離れようとすると
境内の出口が霞んで見えなくなっています。

慌てて歩き出すも、どこへ向かっても同じ場所に戻ってきてしまうのです。足音が次第に速くなり、恐怖に駆られて走り出しました。

その時、突然耳元で囁き声が聞こえました。

「帰らせないよ...」

振り向くと、紙人形が動き出し、彼女に向かって歩いてきます。

必死に逃げようとするも、足が動かなくなり
次第に紙人形に囲まれていきます。

心臓が激しく鼓動し、冷や汗が背中を伝います。

気を失いそうになった瞬間、彼女の手を誰かが強く引っ張り、目を開けると、そこには友人の姿がありました。

彼女は夢中で逃げ出し、ようやく境内の外に出ることができました。

しかし、家に帰ると、
浴衣の袖に一枚の紙が挟まっていることに気付きます。

その紙には、再び彼女の名前が書かれていました。

そして、その下には、「次は逃がさない」と書かれていたのです。

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