夜道
暗い夜道を歩いていると、突然、背後から足音が聞こえました。
静寂を切り裂くような音は、近づくたびに徐々に大きくなっていきます。
振り向いても誰もいない。
しかし、確かに誰かがそこにいる気配を感じるのです。
足音は止まり、周囲を見回すと、影が一瞬だけ視界に入ります。
心臓が高鳴り、不安が募ります。
再び歩き始めると、今度は遠くから囁くような声が聞こえます。
「こっちだよ...」
その声は冷たく、空気を震わせるほどの寒気を感じさせます。
無視しようとしても、声はますます近づいてきて
耳元で囁くように感じられます。
恐怖に駆られ、足を速めて逃げようとするも、道はどんどん暗く、狭くなっていきます。
突然、足元に何かが絡みつき、倒れ込んでしまいます。泥まみれになりながらも立ち上がろうとすると、手元に何か冷たいものが触れます。
懐中電灯で照らすと、古びた人形が転がっていました。その人形の顔は、歪んだ笑みを浮かべています。
その時、後ろから強い力で肩を掴まれ
振り向くと、真っ黒な影が目の前に立っていました。
目が合うと、影は不気味な笑い声をあげながら消えていきます。
恐怖で動けなくなったまま、周囲を見回すと、道が元のように広がっていましたが、もう二度とその道を歩くことはないと誓いました。
その夜、家に帰ると、人形が玄関先に置かれていることに気付きます。
恐怖はまだ終わっていないのです。