ヤニについて
婆さんの葬儀会場で、下の弟が父に言った。
「本物のタバコ一本くれっ!」
めっちゃ笑ってしまった。
父の紙タバコを1本分けてくれということなのだろうけど、電子タバコはやっぱり偽物感があるからすごいわかる。
紙ヤニでしか得られない栄養ってあるよね。くっせぇ煙を肺いっぱいに吸い込んで、だらしのない顔で下品に鼻の穴から放出する瞬間、chill out……
そう、我が家はヤニ一家である。爺さんも婆さんも父も母も私も2人の弟もモクモクヤニヤニ。
もし家族全員が今までヤニを一本も吸わずにいたら、一人一台はベンツを買えたかもしれないと思うとゾッとするね。ほんとに。
ヤニを吸う理由は特にないというか、この世にヤニがあるから。
別にいいこともない。第一に金かかるし、ヤニニュケーションもまぁあるっちゃあるけど、それで特に得をした実感もないし、外出先でヤニ吸えないとすぐに気が狂ってしまう。たかが嗜好品にこんなに支配されてるの、バカバカしいなぁと思うことも多い。
だけど、起きぬけのヤニ。仕事で一段落ついたあとのヤニ。にんにくたっぷりラーメンを食した後のデザートヤニ。友達と談笑しながら味わうヤニ。
数時間禁煙したあとのヤニ。深夜に泣きながら吸うヤニ。イライラしながら吸うヤニ。車に乗りながら好きな音楽とともに吸うヤニ。
これらは、何者にも代えられない感覚をくれる。もはや薬物。
それでいて所持しても使用しても捕まることはないし、覚◯剤やコ◯インや大◯に比べるとめっっちゃ安い。コンビニでいつでも気軽に購入できる。健康への影響も……少なくとも廃人にはならない。
そう考えるとコスパ最強!今すぐ吸え!!
まぁ実際ニコチンがもたらす快楽物質のせいでそう感じさせられてるだけであって、そもそも吸わなければそんな感覚を知らずに済むし、吸わない人はヤニなんかに頼らなくても普通に日々幸せを感じてるらしいよ。『禁煙セラピー』で読んだけど。
あ、そうそう。ヤニを吸いながら読む『禁煙セラピー』は最高だった。読んでるうちにどんどんヤニ欲が増してくるし、チェーンスモークが進む進む。まじで、なんであんなのが超ベストセラーなのかわからないくらい最高の本。みんなも読んでみてね。めっちゃヤニ吸いたくなるよ。
中川家がラジオなどでよく「ヤニを喫(の)む」という表現をしてるのがめっちゃ好きです。昔の小説などにも出てくる表現だけど、なんかかっこいい。
そう、ぼくらがヤニを吸う理由なんて「なんかかっこいい」くらいしかないのだろう。悲しくなってきた。
ちなみにヤニ女はモテないと言われているけどそうでもないというか、ヤニ女をかっこいい?と思う系男子は一定数いるらしい。悪趣味だね。
それでは、ヤニ休憩入ります。